アニシモワが激しい打ち合いを制して自身初のグランドスラム決勝へ


「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン)女子シングルス準決勝が7月10日に行われ、第13シードのアマンダ・アニシモワ(アメリカ/世界ランク12位)が、第1シードのアリーナ・サバレンカ(同1位)を6-4,4-6,6-4で破り、グランドスラムで初めて決勝進出を果たした。

【動画】アニシモワ、世界1位サバレンカを撃破しグランドスラム初の決勝進出 マッチハイライト

アニシモワは、当時17歳だった2019年の全仏オープンで4強入り。
その3年後のウィンブルドンでは準々決勝に進んだ。しかし、それ以降はなかなか勝利を重ねることができず、2023年5月には燃え尽き症候群で休養。メンタルを回復させるため7か月ほどテニスから離れ、2024年シーズンから復帰した。一時442位まで落ちたランキングはシーズン終了時に36位まで戻し、今季は2月に「カタール・トータルエナジー・オープン」(カタール・ドーハ/WTA1000)で約3年ぶりのタイトルを獲得している。

ウィンブルドンは8強入りした2022年大会以来、3年ぶり4度目の本戦出場。初戦でユリア・プチンツェワ(カザフスタン/同33位)を6-0,6-0のダブルベーグルで勝利すると、2回戦でレナタ・ザラズア(メキシコ/同71位)を6-4,6-3、3回戦でダルマ・ガルフィー(ハンガリー/同110位)を6-3,5-7,6-3、4回戦で第30シードのリンダ・ノスコバ(チェコ/同27位)を6-2,5-7,6-4、準々決勝でアナスタシア・パブリチェンコワ(同50位)を6-1,7-6(9)で破り、キャリア2度目の準決勝に進んでいる。

グランドスラムで初めての決勝進出をかけ、世界1位のサバレンカとの準決勝。序盤から激しい打ち合いで、互いに少しでも浮いた球が来れば、それを逃さず高い打点で叩く。

サービスキープが続いて拮抗したセット終盤、アニシモワが鋭いリターン、コートの外に逃げるような角度のあるショットでチャンスを握ると、最後はサバレンカがダブルフォールト。6-4でセットを奪った。

第2セット序盤、サバレンカは耐える時間が長く、流れに乗れない。それでも第7ゲームでアニシモワにミスが重なってしまいサービスゲームを落とし、4-6でセットを奪われて試合は最終セットへ突入。


一進一退の戦いは、第2セットの勢いのままサバレンカが第1ゲームでブレークし先にリードを奪う。しかし、アニシモワも簡単に引き下がらず、ストローク戦で粘り強くプレー。むしろ攻撃てきた姿勢を見せて、直後の第2ゲームでブレークバックすると、第4ゲームでもサバレンカがチャンスボールでミスし4ゲームを連取する。

5-3では目の前の勝利に硬くなったか、ラケットを振り切るサバレンカにブレークを許して追いつかれてしまったが、直後に再びチャンスが訪れると最後はフォアハンドのウィナーを放って、自身初となるグランドスラム決勝進出を果たした。

「まさにジェットコースターだった」「1ポイント、1ゲームのミスが命取りになるのを感じていた」と精神的にもタフな試合だったとしながらも、「最終セットでは攻めなきゃいけないと強く思っていた。相手のレベルもどんどん上がっていたから、ミスを待っていては勝てない。自分のプレーを貫いて、攻撃的にいこうとした」と振り返ったアニシモワ。会見では「まだ信じられない」と実感が湧いていないようだ。

23歳と若いアニシモワだが、10代の時に活躍し将来を期待されていたからこそ、燃え尽き症候群で休養を決めた時には「多くの人に『そんなに(ツアーから)長く離れたらトップに戻れない』と言われた」という。

しかし、復帰から18か月、1年前に予選で敗れたウィンブルドンで決勝の舞台に進んだ。「グランドスラムをいつか勝ちたいという気持ちを持ち続けていた。自分自身を優先することができればトップに戻れる。
そう証明できたことがとても特別ね」と喜びもひとしおだ。

タイトルをかけて第8シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド/同4位)と対戦。「インスピレーションを与えてくれる存在」と敬意を表しつつ、「とにかく一瞬一瞬を楽しみながらプレーしたい」とベストを尽くすとした。
編集部おすすめ