小田凱人が史上3人目の生涯ゴールデンスラムを達成
「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク)車いすテニス男子シングルス決勝が現地9月6日に行われ、第1シードの小田凱人(東海理化/世界ランク1位)が、第4シードのグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン/同4位)を6-2,3-6,7-6[13-11]で下して、グランドスラムとパラリンピックをすべて制する生涯ゴールデンスラムを達成した。
【動画】小田凱人 涙の“生涯ゴールデンスラム”達成!決勝ハイライト
19歳の小田は、今季1月の全豪オープンでは準優勝だったものの、続く全仏オープン、ウィンブルドンを制している。
昨年のパリ・パラリンピックで金メダルを獲得している小田にとって、すべてのグランドスラムとパラリンピックを制覇する“生涯ゴールデンスラム”に残すは全米オープンのタイトルのみ。
昨年はパリ・パラリンピックのため開催されなかった全米オープン。2022年は8強、2023年は1回戦敗退だった。3度目の出場となった今大会は、1回戦でケーシー・ラッツラフ(アメリカ/同8位)を6-1,6-0、準々決勝でセルゲイ・リソフ(イスラエル/同15位)を6-3,6-2、準決勝で第3シードのマーティン・デラプエンテ(スペイン/同3位)を6-3,6-3で下して、決勝に進んでいる。
決勝の相手となったのは、準決勝で第2シードのアルフィー・ヒュウェット(イギリス/同2位)を6-7(4),6-1,6-4の逆転で破ったフェルナンデス。直接対決では小田が10勝2敗と勝ち越しており、5連勝中としている。
今大会のダブルスを制している2人の対決。小田は、第1ゲームでブレークを許したものの、第3ゲームでサービスキープして落ち着きを取り戻す。すると、持ち味の展開の速い攻撃で次々とウィナーを獲得。流れを自ら手繰り寄せ、0-2から6ゲームを連取して第1セットを奪う。
勢いに乗りたいところだが、第2セットはフェルナンデスが巧みなボールコントロールでテニスのうまさを披露。5ゲーム連取で一気に突き放して、小田は3-6でセットを失う。
運命の最終セット、小田は積極的な姿勢を崩さずに3ゲーム連取で好スタートを切る。だが、フェルナンデスもじわじわと追い上げて6-6に。10ポイントマッチタイブレークにもつれた。
1ポイントの重みが増す中、6-9とフェルナンデスにチャンピオンシップポイントを握られる。しかし、ここでも迷わずラケットを振り抜く小田。鮮やかなウィナーを奪って大ピンチをしのぐと、最後はフォアハンドのリターンエース。
敗戦寸前から優勝をもぎ取り、男子では国枝慎吾、女子ではディーデ・デグロート(オランダ)に次いで3人目となる生涯ゴールデンスラムの快挙を、史上最年少19歳3か月で成し遂げた。
表彰式では「感情があふれてしまった」と人目をはばからず涙を流した。19歳での偉業達成に、「若すぎるとは思っていない。一歩一歩ここまで来た。いきなりジャンプアップしたわけでなく、毎日練習して毎日キャリアを積み重ねてきた」と言う。
7月のウィンブルドン後から常に“優勝”の二文字をイメージし、「このトロフィーを掲げること、勝ってどう喜ぶかまで想像していた。
次の目標は、車いすテニスの試合を大きなスタジアムで行うこと。「僕の旅は、普通にスタジアムでプレーできるまで止まらない。もしそこでプレーできたら、観客に試合を楽しんでもらえる、その自信がある。僕自身のためにも、このスポーツのためにもやりたいことがたくさんある」と、新たなゴールへ向かっていく。