ワウリンカ「情熱は失っていないが、競争力を保ったまま去りたい」名手が語る自身の美学


今年最初のグランドスラム「全豪オープン」の開幕を控え、2014年大会覇者で、今大会にワイルドカード(主催者推薦)で出場するスタン・ワウリンカ(スイス/世界ランク139位)が記者会見に出席し、2026年シーズンを最後に現役を引退すると決断したことに「簡単だった」と明かした 。

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今年3月で41歳を迎えるワウリンカは、昨年10月から12月にかけて自身の将来について考えを巡らせていたという。
それまでは現役続行への強い意欲を持っていたが、昨年末に「来年を最後にすべきだ」という明確な答えにたどり着いた。

「決断は決して難しいものではなく、むしろ簡単だった。今はとても穏やかな気持ちで、この決断に満足している」と晴れやかな表情で語る。引退を決めた大きな理由は、自身のレベルが低下したり、大きな怪我に見舞われたりする前に、競争力を維持した状態で競技を終えたいという美学にある。「怪我をして突然止めざるを得なくなるような事態は避けたかった」と、元王者らしい矜持をのぞかせた。

ワウリンカのキャリアは、テニス史に刻まれる壮大なものだ。2014年に全豪オープンでグランドスラム初優勝を飾ると、2015年には全仏オープン、2016年には全米オープンを制覇。いわゆる「ビッグ4」の全盛期に、3つの異なるグランドスラムタイトルを奪い取った唯一無二の存在である。

さらに、2008年の北京五輪では、同胞ロジャー・フェデラーと組んだダブルスで金メダルを獲得。シングルス、ダブルスの両方で世界の頂点に立った。代名詞である力強い片手バックハンドについては、「あのショットが、私が達成したかった多くの勝利や成功を助けてくれた」と、今も変わらぬ愛着を語っている。

20年以上にわたるキャリアの中で、フェデラーやラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)といったレジェンドから、現在のヤニック・シナー(イタリア)やカルロス・アルカラス(スペイン)といった新世代まで、数多くのスターたちと対峙してきた。


新旧世代の比較については「比較はしない。ただ彼らを見ること、そして彼らと対戦することを楽しんでいる」とテニスファンとしての一面を見せる。特にシナーとアルカラスについては「昨年の彼らのレベルは信じられないものだった」と称賛を惜しまなかった。

直前の男女混合の国別対抗戦「ユナイテッド・カップ」ではスイス代表として決勝進出に貢献するなど、好調な滑り出しを見せている。40歳となった今も「テニスに対する情熱は依然としてあり、全力で集中している」と語る。

「1年というシーズンは非常に長く、多くのテニスが待っている。自分自身の限界を押し広げ、最高の自分を見せたい」。数々の名勝負を演じてきたスイスの鉄人が、ついに最後の1年間となる別れの旅へと踏み出した。
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