※2020年8月撮影
トップ画像は、JR西日本美祢線長門湯本駅。実に堂々とした立派な木造駅舎ですが、駅舎正面に駅前ロータリーの植木があって全体が撮影できません。
植木を避けて南側から駅舎。屋根瓦が部分的に葺き替えられています。平入りの出入口と庇が瓦屋根でないのが惜しい。

こちらは北側から。左部分の屋根瓦が新しいのが分かります。

建物財産標がありました。大正13年3月30日、駅の開業が1924年(大正13年)3月23日なので、一週間後の登記ですね。

駅出入口を駅舎内から、正面にはロータリーの植木。

待合室はスッキリしています。立派な木製のセット。壁面は絵画が飾られています。

右側が改札口。金属の改札口が残っています。お昼過ぎの時間でしたが、次の上り列車が13時40分、下り列車は14時28分までありません。国道346号線から深川川に沿って温泉街を抜けて駅に来ました。温泉街には湯治客らしき人々がたくさん歩いていましたが長門湯本駅には人の気配はありません。湯本温泉に来る方々は鉄道を使わないのです。山陽新幹線の新山口駅から温泉旅館の送迎バスが運行されている様です。

改札口をホームから、駅名標はこれだけでした。

長門湯本駅は、1924年(大正13年)美禰線(現・美祢線)の於福駅~正明市(現・長門市駅)延伸開業時に設置されました。国鉄分割民営化でJR西日本の駅になります。この立派な駅舎が最初から無人のワケがありません。しかし、無人駅です。
ホームから厚狭駅方面。大きな温泉宿が見えます。

ホームには「ようこそ長門湯本へ」と掲示されています。大きな駅舎に単線というアンバランスを感じます。

かつては相対式ホーム2面2線だったのですね。しかし既に線路は撤去されホーム跡が残っています。

駅舎のホーム側。本当に立派な駅舎です。と言っても利用者が使うのは左の待合室部分だけです。

こちらは長門市駅方面。皮肉なことに美祢線木造駅舎撮影、最後の駅になって太陽が出ました。

長門市駅側に進むと駅前広場が見えます。しかし、雑草も無く植木の手入れも行われています。

厚狭駅起点41.0kmのキロポストがあります。

小用をたしにホームのトイレに入ったら壁面に小さなカエル君がいました。種類は分かりません。

駅から出て駅舎の記録を撮っていたら、男性が駅で何か考えておられました。「次の列車まではまだ時間が開いていますよ」と言うと「実は、移住を考えて出物の不動産を見に来た」とのことでした。

何と九州からだそうで、筆者がこの後、鉄道運行休止中の日田彦山線駅舎を撮りに行く予定であることを話すと、偶然日田彦山線沿線にお住まいの方でした。温泉が出て、閑かなこの長門湯本で暮らしたいと話しておられました。羨ましいな。

長門湯本駅には30分ほどいましたが見かけた人はこの方だけ。総じて美祢線は、木造駅舎が魅力的でしたが利用者の少ない路線でした。

これで美祢線の木造駅舎はお仕舞い。この日は、帰路に山陽本線の本由良駅まで足をのばし撮影して厚狭駅に戻りました。明日からは、特別編で日田彦山線の鉄道運行休止区間の駅を回ります。
余談ですが【木造駅舎巡礼】今回で100回でした。ありがとうございます。明日からも宜しくお願いします。
(写真・文章/住田至朗)