「新幹線ドーナツ」をご存知でしょうか?
神奈川の有名店「ミサキドーナツ」とJR東海のコラボレーションから生まれ、JR東海のECサイト「いいもの探訪」で2021年3月から取り扱いが始まった「東海道新幹線イメージのドーナツ」です。

6月現在、「いいもの探訪」サイト上では0系新幹線の「鼻」まで再現した「新幹線ドーナツ 0系」、黄色地に青ラインの「新幹線ドーナツ イエロー」(ドクターイエロー風)、白地に青ラインの「新幹線ドーナツ ホワイト」の3種類が「ミサキドーナツ」オリジナル商品とあわせて10個詰め合わせのセットで販売されています。
一つ一つのドーナツを手作りで

新幹線は車両工場で製造されますが、新幹線ドーナツは鎌倉の「ミサキドーナツ」北鎌倉工房で製造されています。
手洗いやアルコール消毒を済ませ、クリーンキャップも被りいざドーナツ製造現場へ。中では製造チーフの恵美さんと数名のスタッフさんが手際よく働いていました。
実際の作業の流れを写真で見ていきましょう。






見ての通り、「ミサキドーナツ」が提供するドーナツは全て手作り。繁忙期にもなると、オンライン販売や催事用もあわせて1日に1200個ほども作るのだとか。
色にも職人のこだわり
東海道新幹線コラボドーナツはチョコレートでコーティングされていますが、この「色」の出し方にも職人のこだわりが隠れていました。
白はホワイトチョコレートで良いとして、東海道新幹線カラーの「青20号」が難しい。なるべく着色料を使わず、元の新幹線に近い色を再現するためにはどうすればいいか……答えは天然の「バタフライピーパウダー」でした。青色のお菓子などを作る際に使用される花のパウダーで、これを混ぜることで青みを調整しています。

ドクターイエローの車体色である黄色は、ホワイトチョコレートにターメリックパウダーを混ぜて再現。クチナシなどの花のパウダーではあまり似たような色にならなかったそうです。
解凍してもふんわり美味しい、実は結構ボリューミー

青と白の新幹線ドーナツの方にはチョコレート、ドクターイエロー・ドーナツにはクリームチーズとお砂糖とオレンジピールを混ぜたオレンジクリームチーズがしっかり詰まっています。中にたっぷり具材が詰まっているのが「ミサキドーナツ」の特徴で、オリジナル商品ではクランベリーなどが入ったものも。
試食してみると、しっかりとした重量感に驚きました。成人男性でも2~3個で1食分になるほどのボリュームで、食の細い人ならドーナツ1個にコーヒー1杯で十分お腹いっぱいになりそうです。また今回は出来立てをいただきましたが、「ミサキドーナツ」の商品は一度冷凍したのち解凍しても作り立てと同じようなふわふわ感が味わえるそうです(通信販売では冷凍で配達。常温で1~2時間ほど置いておけば食べごろになります)。
新幹線ドーナツ、東海道新幹線の東京駅とかで販売してくれないかなと思ったりもしました。たとえば早朝に「のぞみ」で東京を発って午前中に大阪へ、という行程で、ドーナツを車内販売のホットコーヒーと一緒に背面テーブルに置いてゆっくり解凍しながら名古屋あたりで優雅に朝食を……それだとさすがに待ち時間が長過ぎでしょうか。
コラボを持ち掛けたのはJR東海から、最初はなかった「0系」案

「ミサキドーナツ」は名前の通り、神奈川県の三崎エリアに本店を構える地元のお店。現在は逗子店・葉山店・鎌倉店と展開を続けています。鉄道に詳しい方はご存知かと思いますが、この辺りはどちらかといえば京急電鉄のホームグラウンド。JR東海とはあまり接点がないように思えます。
コラボを持ちかけたのはJR東海側でした。沿線地域における魅力発掘やグルメ商品の販売などを行う同社ECサイト「いいもの探訪」で、2021年3月から神奈川エリアの紹介を始めることに。
初期案は「新幹線の白と青、ドクターイエローの黄色と青」のみでしたが、「ミサキドーナツ」側から「0系」案が上がり、3種類のドーナツが商品化されることになりました。ちなみに「ミサキドーナツ」ではクッキーを載せたドーナツも販売しており、0系新幹線の「鼻」をクッキーで表現する案はそこから生まれたのかもしれません。
売り上げは好調で、販売を開始した頃は午前中に完売。3ヶ月ほど経って今でも毎日平均10セット以上の注文が入るそうです。今のところコラボの期限などは特に決まっておらず、新幹線ドーナツは当面の間、継続して販売される予定です。
「可愛さはもちろんなんですけども、食べていただいて嬉しくなるような、幸せな気持ちになるようなふわふわなドーナツを作るように心がけています」と恵美さん。鉄道ファンのお土産やおやつに、美味しい0系やドクターイエローはいかがでしょうか。
文/写真:一橋正浩