※2021年4月撮影
トップ画像は、鹿児島本線荒尾駅。極端に古くはありませんがプロポーションの端正な木造駅舎です。
駅前ロータリーがあります。個人的に荒尾駅の静かな佇まいがすっかり気に入ってしまいました。駅舎とは無関係ですが、スゴイ雲です。
駅舎正面に鉄の櫓があります。2015年(平成27年)に世界文化遺産に登録された三井三池炭鉱万田坑の【第二竪坑櫓】を、国立有明工業高等専門学校の生徒さんが約5分の1で再現したものです。(モニュメントの設置は2012年)
荒尾駅は、三井三池炭鉱の主力万田坑から採掘された石炭を運ぶために作られた駅でした。そのため最初は「万田駅」と名づけられたのです。
万田坑は、1902年(明治35年)から1951年(昭和26年)まで石炭を産出した我が国で最大級の炭鉱でした。閉山は1997年(平成9年)。この【第二竪坑櫓】周辺施設は閉山まで稼働していたことでほぼ完全な形で残ったのです。
このことから1998年(平成10年)国の重要文化財に指定され、2000年(平成12年)には炭鉱施設では初めて国の史跡になっています。
駅前ロータリー南側から駅舎。
駅舎の周囲、構内の一部が月極駐車場になっています。
北側から。石碑が二つ見えます。
手前は「緑化記念」と読めました。奥の丸い方は分からないので見に行きます。
海達公子(かいたつきみこ/1916-1933)さんという詩人の石碑でした。「汽車の音 汽車の音が 雨の音にまじって 停車場についた」と刻まれています。海達公子さん、生まれは長野県ですが荒尾で育ち、小学2年生で文芸誌「赤い鳥」に詩が掲載され北原白秋に賞賛されます。高等女学校卒業の日に腹膜炎で亡くなりました。享年17歳。夭折です。
駅前ロータリーから駅舎と構内跨線橋が見える位置まで下がりました。昨今、合理化、効率化で駅構内は狭くなっていますが、この駅は旧国鉄時代のおおらかさが残る広い駅です。
駅出入口。終戦直前、1945年(昭和20年)3月に改築された二代目駅舎です。
次回は、駅舎内とホームなどを見ます。
(写真・文/住田至朗)
※木造駅舎などJR九州さんの許可をいただいて撮影しています。
※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)他を参照しています。
※鉄道撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。



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