会見する古宮社長

JR九州の古宮洋二社長は2022年9月9日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見。同月23日に武雄温泉ー長崎間(約66キロ)の開業が迫った西九州新幹線、そして2023年夏を予定する日田彦山線のBRT(バス高速輸送システム)方式での復旧開業を「九州における2つの新しい出発」と位置付け、「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループでありたい」とJR九州の針路を示した。

西九州新幹線は、今回があくまで部分開業である点をとらえ、「開業効果を、線から面へと広げるのが最大の目標」と述べた。西九州エリアの在来線を走るのが、〝西九州の海めぐり列車〟をコンセプトにした、新しいD&S列車「ふたつ星4047」で、武雄温泉ー長崎間という新幹線と重なるルートを運行する。

内陸部の「山」を走る新幹線に対し、「海」に面したルートを走行するのがふたつ星で、「新幹線の開業効果を長崎、佐賀の全県に広げたい」と決意を示した。

城野(福岡県北九州市)ー夜明(大分県日田市)を結ぶ日田彦山線は、2017年7月5~6日の「平成29年7月九州北部豪雨」で被災。2018~2020年の6回の復旧会議(福岡、大分両県と沿線自治体、JR九州で構成)でBRTでの復旧が決まった。小型電気バス4台中型ディーゼルバス2台のBRT車両は、添田ー彦山、宝珠山ー夜明ー日田(久大線)間は一般道、彦山ー宝珠山間は専用道を走る。

古宮社長は、BRTは鉄道に比べ駅数を増やすとともに、車両もカラフルなデザインを採用するなど、「ご利用のお客さまや地域の方々に、そして環境にもやさしい交通機関を実現したい」と強調。「BRTひこぼしライン」(正式名称・日田彦山線BRT)の愛称名を付けたBRTラインをアピールした。

このほか、古宮社長は初期は比較的素朴なデザインだったD&S(デザイン&ストーリー)列車が、「ななつぼしin九州」を筆頭に豪華さを増していることに言及。観光列車の今後に関しては、「列車のあり方を見直して、望ましい方向性を見つけ出したい」と述べた。古宮社長は引き続き、東京・六本木で開かれた「西九州観光まちづくりAWARD」にプレゼンターとして出席した。

 記事:上里夏生

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