第13回鉄旅オブザイヤーの授賞式が17日、埼玉県さいたま市の鉄道博物館で開催され、日本旅行が企画した「北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアー」がグランプリに選ばれた。
鉄旅オブザイヤーは鉄道旅行および国内旅行のプロモーションに資することを目的とした顕彰制度。
第13回目は2023年1月~12月までに催行、あるいは催行が決定した鉄旅が対象で、65商品がエントリーした。プロの企画したツアーとは別枠で、一般の鉄道旅行ファンから「夢の鉄道旅行企画」も募集。42作品の応募があり、「あなたはきっと、福井が好きになる。~雪月花で行く福井横断の旅~」がベストアマチュア賞に選ばれた。
旅行会社部門では、エスコート部門賞(団体旅行)、パーソナル部門賞(個人旅行)、DC部門賞、鉄ちゃん部門賞が1商品ずつ選ばれ、当日の投票で4商品の中からグランプリが決まる。
エスコート部門賞に輝いたのは、SNSを中心に話題を呼んだ「最高速度285kmの戦い 新幹線プロレス」(JTB)、パーソナル部門賞は「新感戦 西九州新幹線かもめ VS 九州新幹線さくら あなたはどっち? JRで行く長崎・佐賀 VS 熊本・鹿児島」(JTB)。DC部門賞は「『茨城DC特別企画』 1日限りの復活運転 大洗エメラルド号で行く鹿島臨港線の旅」(JTB)、そして鉄ちゃん部門賞が「北陸新幹線乗務員お仕事体験ツアー」(日本旅行)だ。
投票前には各部門賞のアピールが行われ、催行に至るまでの苦労話や工夫したポイントなども披露された。たとえば「新幹線プロレス」は当初JR東海から「やんわりと断られた」案を通すため、JTBの会議室にプロレスラーを招き実際の座席配置を再現してリハーサルを実施したというエピソードが明かされた。「新感戦」では「どちらの新幹線を選ぶか」という顧客目線を意識した問いかけや集客の工夫が、「大洗エメラルド号」では「大宮7:04発 大洗10:47着」の大洗エメラルド号が記載された1985年7月の時刻表を提示し、鹿島臨海鉄道の貨物専用線にJR車両の旅客運行承認を得るまで10か月かかったことなど、企画担当者ならではの語りが会場を盛り上げていた。
「北陸新幹線乗務員お仕事ツアー」は北陸新幹線延伸開業前の11・12月に催行。JR西日本金沢支社が全面的に協力した。秘密に包まれた「新幹線のお仕事」を親子で体験できる内容となっており、富山電留線ではW7系の「目の前で」写真撮影も出来た。用意された体験の珍しさや現場のJR職員の対応の素晴らしさなどもあり、参加者の満足度が極めて高い企画に仕上がっていたことがうかがえる。
芦原伸審査委員長は今回の「鉄旅オブザイヤー」について、8月クーデターが生じたときのシベリア鉄道車内の様子など自身の体験にも触れながら「今年は復興と再生がテーマ。南阿蘇鉄道、只見線、大洗の列車があり、再生といえば一番は北陸新幹線、九州新幹線もあった。ウクライナ戦争や能登半島地震などで慌ただしい世の中でも、復興と再生のなか鉄道は走っているとつくづく感じました」と述べている。
授賞式の最中には吉川さん、久野さんとホリプロ鉄道好きマネージャーの南田裕介さんによる特別企画も。今年は「もしオリジナルTV番組を作るなら!?」というテーマでトークショーが繰り広げられた。
南田さんは鉄道好きが知識を生かして活躍できる「鉄オタ刑事」といった「鉄オタ職業事件簿」シリーズ、久野さんは列車や風景にコーデを合わせた「着鉄ファッションショー」、吉川さんは全国の駅名が575で続く区間を詠む「詠み鉄講座」を提案。軽快なトークが会場の笑いを誘った。