モジュール部門で文部科学大臣賞の白梅学園の「ガッタンゴー」。奥の赤いトラス橋を走るのが軌道自転車(画像:鉄道模型コンテストオフィシャル)

全国の中高生モデラーが自作の鉄道模型を競い合う、16回目の「鉄道模型コンテスト(鉄コン)2024」全国大会が2023年8月2日から3日間、東京都新宿区の住友新宿ビル三角広場で開かれた。

参加校数が最も多いモジュール(集合式ジオラマ)部門には、過去最多の176校が作品を提出。審査の結果、東京都小平市の白梅学園清修中高一貫部の「ようきてくれんさった~垣間見る岐阜」が、文部科学大臣賞に選ばれた。

コンテストは、イベント名と同じ鉄道模型コンテスト(一般社団法人)が主催し、文科省やJRグループ各社などが後援した。Nゲージのモジュールと写真パネル1枚分の1畳レイアウト(ジオラマ)に加え、Nゲージより大型のHOゲージ車両の3部門で参加作品を募集した。

文科大臣賞の白梅学園がモジュールで再現したのは、岐阜県飛騨市を走るレールマウンテンバイク「ガッタンゴー!!」。2006年に廃止された第三セクター・神岡鉄道の廃線跡を利用して翌2007年から地元有志が始めた、軌道自転車(線路上を走る自転車)による観光アトラクションで、2012年度日本鉄道賞を受賞するなど、鉄道資産を活用した地域振興の優等生として高評価される。

ジオラマは、本線上部をトラス橋で渡るガッタンゴーがモチーフ。軌道自転車をこぐ人形は手足を曲げて躍動感を表したほか、樹脂材にへらで筋を付けた清流や滝、オランダフラワー(ドライフラワー)を加工した樹木などで、自然味満点のガッタンゴーの魅力を模型化した。

製作に当たった同学園鉄道模型デザイン班は、「トラス橋の左側から見た人が、右側に回って見たくなるような作品を意識した」とこだわりを語る。同校は上位の常連で、3年前の2021年にも文科大臣賞を受賞している。

鉄コンは最優秀賞の副賞として、2024年11月のドイツ・シュツットガルトでのヨーロピアンNスケールコンベンションに招待する。

コンテストは年々盛況を極めるが、背景にあるのは部活(クラブ活動)としての学校側のバックアップ。

少子化で高校間では受験生の獲得競争が起きているが、鉄道ファン・模型ファンにとって、「鉄道模型が盛んな高校」は入学の動機付けになる。

しかし、大学や専門学校への進学後も模型製作を続ける学生は多いとはいえない。今回の鉄コン、参加校のOB・OGがボランティアで受付やインフォメーションを担当したが、今も模型製作を続ける学生はほぼ皆無だった。

鉄コンは今週末の2024年8月10、11日には福岡市中央区のエルガーラホールで九州大会が開かれる。

記事:上里夏生

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