刺股で刃物を振りかざす犯人役の男をけん制する駅社員(筆者撮影)

今回、お届けするのはJR、私鉄連携のニュース。成田スカイアクセスを運行する、千葉県の北総鉄道が2025年5月19日に東松戸駅で実施した不審者対応訓練に、沿線エリアが重なるJR東日本千葉支社が参加、現場レベルでの協力体制を確認した。

東松戸は、北総線(京成スカイアクセス線)とJR武蔵野線の接続駅。駅レベルで日ごろからサービス強化策に取り組んでおり、北総の訓練にJRも参加を決めた。

【参考】もしスカイライナーで非常事態が発生したら? 京成電鉄と北総鉄道の合同訓練をレポート(千葉県印西市)(※2024年10月掲載記事)
https://tetsudo-ch.com/12979385.html

鉄道での無差別傷害事件といえば、2021年に小田急と京王で相次いだ重大事案が思い浮かぶ。最近では、2025年5月に東京メトロ南北線東大前駅でも同種の事件が発生。社会を震かんさせた。

今回の訓練はそうした異常時への対応を日ごろから確認する狙い。刃物を持った男が突然駅構内で暴れだし、駅利用客2人に切り付けて負傷させるという想定で始まった。

通報を受けて駆け付けた駅社員は、警察や消防が到着するまでの間、機敏な身のこなしで負傷した利用客を救護。応急処置に当たった。

防犯対応では、北総、JRとも駅に相手の動きを封じる防具の刺股(さすまた)を用意。駅社員は相手との間隔を確保しながら、駅利用客に避難を呼び掛けた。

その後、数分で到着した警察官(千葉県警松戸署員)が男を取り押さえ、松戸救急隊(松戸市消防局)が駅社員に状況を聞きながら負傷者を手当てした。

松戸署の防犯担当者は講評で、「刺股はあくまで時間稼ぎの防具と考え、無理に制圧しようとしないこと。個人ではなく必ず複数のチームでプレーし、何より命を守る行動に徹してほしい」と要請した。

記事:上里夏生

編集部おすすめ