2026年春、横浜・関内の旧横浜市庁舎行政棟が、「OMO7横浜 by 星野リゾート」として新たに生まれ変わります。戦後のモダニズム建築の象徴として知られる、建築家・村野藤吾氏が手掛けたこの歴史的建造物が、日本で初めてレガシーホテルとして再生されます。
建築家・村野藤吾が遺したモダニズム建築「横浜市旧市庁舎」
横浜市旧市庁舎行政棟は、開港100周年記念事業の一環として1956年12月に着工、1959年9月に竣工しました。高層8階建ての行政棟、4階建ての議会棟、そして両棟をつなぐ2階建ての市民広場からなる複合施設で、村野藤吾氏が指名設計競技で選ばれました。

村野藤吾氏は戦後の日本を代表する建築家の一人です。1891年5月15日生まれ。早稲田大学建築学科を1915年に卒業し、1918年に渡辺節建築事務所に入所。日本興業銀行本店やダイビル本館など多くの大型プロジェクトに携わり、1929年に独立、1949年には森喜蔵氏と共同で「村野・森建築事務所」に改称。93歳で逝去する直前まで現役を貫きました。代表作は世界平和記念聖堂、日生劇場、そごう大阪店、宇部市渡辺翁記念会館など多岐にわたり、1953年に日本芸術院賞、1967年に文化勲章を受章するなど受賞歴も多数です。
旧横浜市庁舎行政棟は、コンクリート打放しの柱梁をあえて露出し内側を暗褐色タイル貼りとしたデザインや、高層棟外周柱が上階ほど細くなる独創的な工夫が、戦後モダニズム建築の名作として評価されています。
横浜市旧市庁舎の保存活用プロジェクト
横浜市旧市庁舎を保存活用するこのプロジェクトは、 「BASEGATE横浜関内」として、三井不動産を代表企業とする8社により推進されています。
[参考] 横浜 関内の新ランドマーク「BASEGATE」2026年春開業へ!ホテル・ライブアリーナ・飲食ゾーン・オフィスが一体となった大規模再開発
https://tetsudo-ch.com/13008149.html

その中でも旧行政棟は、「ザ レガシー」としてホテルや商業施設に転用され、2026年春のグランドオープンを予定しています。保存工事では、歴史的意匠の維持と同時に耐震補強を実施。
歴史を継承するデザイン
「OMO7横浜 by 星野リゾート」は、「BASEGATE横浜関内(横浜市旧市庁舎街区活用事業)」の核となり、横浜市旧市庁舎の意匠を一部活用して設計されます。客室数は276室で、2026年春の開業を目指します。
ホテルのデザインは、歴史的要素と現代性を融合。建物の意匠で残せるものは残し、老朽化等で取り壊さざるをえない部分に関してもコピーではなく、新たなホテルとしてふさわしい意匠に生まれ変わるような再解釈を行います。


ロビーには、旧議会棟の円形照明モチーフを取り入れます。市民広間の大階段はホテル吹き抜けに移設し、曲線を生かした手すりも再現されます。カフェには彫刻家・辻晋堂氏の泰山タイルアートがそのまま活用されるなど、往時の意匠と新しさを調和させたデザインとなります。客室やパブリックスペースの色彩は、旧庁舎のタイルや家具、絨毯などの色合いがベース。建築や横浜の歴史をたどる展示スペースも設けられる予定です。

OMO7横浜 by 星野リゾートとして生まれ変わる「旧横浜市庁舎行政棟」は、戦後の建造物として初めて「横浜市認定歴史的建造物」に認定されました。これにより、外観の保全改修や維持管理に対しての助成を横浜市から受けることで、その景観が保たれることになります。
横浜の魅力を再発見!
OMO7横浜はJR関内駅南口から徒歩1分の好立地に位置しています。ホテルの周辺には横浜DeNAベイスターズの本拠地・横浜スタジアムや約600軒の店舗が軒を連ねる横浜中華街、レトロな洋館、近代的なベイエリアなど、多様な横浜の魅力が集積しています。ホテルでは、街を知り尽くした「OMOレンジャー」がディープな魅力を紹介する「ご近所ガイド」サービスも提供されます。

旧横浜市庁舎の歴史と建築家・村野藤吾氏の意匠を受け継いだ「OMO7横浜」は、単なる宿泊施設ではなく、横浜の歴史そのものに触れることができる「レガシーホテル」として生まれ変わります。2026年春の開業に向け、予約受付は2025年10月に開始される予定です。歴史と新しさが交差する横浜の街を、ホテルが提供する「ご近所ガイド」サービスと共に再発見する、特別な旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
(写真:星野リゾート、三井不動産、PIXTA)
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