千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市...の画像はこちら >>

千葉ロッテマリーンズの新たな本拠地計画が、ついに動き出しました。千葉市は2025年9月、老朽化したZOZOマリンスタジアム(千葉マリンスタジアム)の建て替え・移転に関する「基本構想」を発表。

移転先として、2023年に開業した新駅「幕張豊砂駅」に近い「幕張メッセ駐車場」を選定し、2034年頃の開業を目指す方針を明らかにしました。
基本構想では「屋外型」が想定されていましたが、ファンや球団からは「ドーム化」を望む声も根強く、議論の行方に注目が集まっています。この記事では、発表された新球場の場所、設備、そして最大の争点となっている屋根の有無について解説します。

老朽化進むマリンスタジアムを約1km北に移動して新規に建設

現行のZOZOマリンスタジアムは、1990年の開場から35年が経過し、設備の老朽化が課題となっています。東京湾に面した立地から、塩害による鉄部の腐食や雨漏りなどが指摘されているほか、強い海風など、ファンにとっては名物とも言える環境が、観戦のしやすさという点では課題にもなってきたとされています。
また、幕張新都心地域は、単一機能に特化した街の配置であることから、各施設間の回遊性の向上や、アフターコンベンション施設の充実などを、将来への成長に向けての課題としています。

新球場は、現ZOZOマリンから内陸側・北へに約1キロ入った豊砂地区、現在の幕張メッセ駐車場の一部に計画され、JR幕張豊砂駅から徒歩約6分の場所に置かれる想定です。

千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市の基本構想とドーム化の可能性を解説! 2034年の開業を予定
新マリンスタジアムの建設予定地(現 幕張メッセ駐車場の一部)

スタジアムの北側に駅、南側に幕張海浜公園や現球場、東西に大型商業施設やオフィスが広がる構図で、鉄道駅とスタジアム、商業エリアをデッキなどでつなぐウォーカブルな導線づくりを進めるとしています。
千葉市は、幕張豊砂駅からのアクセス性の高さを重視しています。

千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市の基本構想とドーム化の可能性を解説! 2034年の開業を予定
新スタジアムは、JR幕張豊砂駅から500m程度でアクセス可能

駅前からスタジアム方向にかけては、歩行者が回遊しやすい広い歩道や滞留空間を整備し、海浜幕張駅側からもスカイウェイやデッキでつなぐことで、「車中心」から「人中心」のエリアへの転換を目指す考えです。野球開催日だけでなく、普段から散歩や買い物のついでにスタジアム周辺を行き来できるようなまち並みを想定しているのが特徴です。

まちとシームレスにつながるエンターテインメントスタジアム

基本構想では、新球場の姿について「まちとシームレスにつながるエンターテインメントスタジアム」を掲げています。
野球場としての「ベース機能」としては、2025年9月の基本構想では幕張の「海・風・空を感じられる屋外型スタジアム」を目指すとしていましたが、ロッテ球団からの要請やファンからの声を受け、2025年11月に「ドーム型」の可能性を再検討すると発表しました。2026年3月頃には屋外型かドーム型かを最終決定する予定です。

ドーム化した場合には追加費用が発生するため、民間の資金で賄う前提として、スタジアムの命名権収入増などを想定することになります。

基本構想では、観客席は現スタジアムから約1割増の3万3000人前後を想定し、多様な観戦ニーズに対応したバラエティシートや、ゆとりを持った座席間隔の確保を検討するとしています。コンコースは球場を一周できる360度回遊型とし、どの位置からもグラウンドの様子が分かるオープンコンコースを整備。飲食や物販の店舗を拡充し、日常的に開放された「まちのストリート」のような存在を目指すとされています。

誰もが楽しめる商業・エンタメ施設などの「拡張機能」

野球場のベース機能に加え、収益施設や誰もが楽しめる施設からなる「拡張機能」の導入を目指すとしています。
広場機能や屋内練習場、商業・エンタメ機能、防災機能などがレイヤー状に配置され、試合の有無にかかわらず人が集まり、滞在できる空間づくりを目指すとしています。

千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市の基本構想とドーム化の可能性を解説! 2034年の開業を予定
野球場以外の「拡張機能」も盛り込んだスタジアム施設を想定

スポーツ・文化でまちをつなぐ構想も

球場内部だけでなく、まち全体の一体感も重視されています。
新スタジアム予定地を含む豊砂地区について、「緑と海と街が魅力的に融合するシティパーク」をテーマに掲げ、幕張海浜公園や豊砂公園、浜田川沿いの緑地とネットワーク化しながら、にぎわいと憩いの空間を広げていく方針が示されています。

また海浜幕張駅周辺には、「幕張メッセ」や「マリンスタジアム」の他にも、駅南西の幕張海浜公園内には日本サッカー協会(JFA)が運営するナショナルトレーニングセンター「JAF夢フィールド」が2020年4月にオープンし、ヒューリックがBリーグ・アルティーリ千葉の本拠地として国内最大級の2万人規模の「新アリーナ」の整備を行う事が発表されています。構想では、これらを繋ぐ形で、緑と水辺によるネットワーク化を検討し、「スポーツ・文化」をテーマ幕張新都心の回遊性・滞在快適性向上を目指すとしています。

千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市の基本構想とドーム化の可能性を解説! 2034年の開業を予定
スタジアム再整備を契機とした幕張新都心のまちづくり

現スタジアムよりも駅近に、アクセスの主役はJR京葉線の幕張豊砂駅に

アクセス面では、最寄りのJR幕張豊砂駅から徒歩圏にスタジアムを置くことで、鉄道利用を前提とした来場を促す狙いがあります。
東京駅から京葉線の快速で海浜幕張まで約30分、その先の幕張豊砂までは各駅停車で数分という位置関係で、首都圏各方面からの乗り継ぎもしやすいルートです。将来的には、駅とスタジアム、周辺商業施設を結ぶペデストリアンデッキや広場空間を一体的に整備し、試合前後の回遊や買い物、食事といった過ごし方の幅を広げていく構想が示されています。

千葉ロッテ新球場は1km移動して 幕張豊砂の駅チカへ!千葉市の基本構想とドーム化の可能性を解説! 2034年の開業を予定
アクセスはJR京葉線利用を前提として想定 (写真:PIXTA)

海風を感じる「屋外型」でいくのか、天候に左右されない「ドーム型」へ転換するのか。

千葉市が示した基本構想はあくまでスタート地点であり、今後、事業主体の選定や球団との協議を通じて計画がブラッシュアップされていくことになります。いずれにせよ、新駅「幕張豊砂」から徒歩数分という好立地に生まれる新スタジアムは、野球観戦だけでなく、買い物や散歩も楽しめる「まちのシンボル」として、幕張新都心の風景を大きく変えることになるでしょう。
千葉ロッテマリーンズは、吉井理人監督の退任を受けて、来季からサブロー新監督が就任します。新体制での今後の球団づくりとともに、新スタジアムの行方にも注目をしていきましょう。
(画像:千葉市、PIXTA)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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