矢野経済研究所が14日発表した、タイなどASEAN主要4カ国で実施した電気自動車(EV)の消費者ニーズ調査によると、タイの消費者は充電時間やバッテリーの劣化への不安感が強いことが分かった。

同社によると、2024年9月~12月、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムの4カ国で、自動車運転免許を保有し、世帯で自動車を保有する20歳代~50歳代以上の男女1600人(1カ国当たり400人)を対象にアンケート調査を実施。

各国のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。

「航続距離が気になるか」との問いについて、4カ国合計(全体)では「よく当てはまる」が67.1%、「やや当てはまる」は26.1%で、EVの走行距離を気にしている消費者が多いことが分かった。「よく当てはまる」の回答率を国別に比較すると、ベトナムが最も高く76.3%、次いでインドネシア69.8%、タイ67.5%、マレーシア54.8%と続いた。

「充電時間が気になるか」については、全体では「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答した合計は93.4%。特にタイは「よく当てはまる」63.5%、「やや当てはまる」31.8%で、合計の回答率は95%を超えた。

「バッテリーの劣化が気になるか」について、全体では「よく当てはまる」54.3%、「やや当てはまる」34.2%で、合計の回答率は88.5%。国別では、タイは「よく当てはまる」「やや当てはまる」の合計が90%を超え、航続距離や充電時間と同様に、EVのバッテリーの劣化についても消費者の不安が高いことがわかった。

次に、消費者が求めるEVへのニーズとして、具体的な航続距離・充電時間をアンケート調査で尋ねた。

一回の充電で運転できる航続距離は、全体では「201km~300km」が最も多く27.0%。次いで「301km~500km」は24.3%、「151km~200km」が20.1%。一方で航続距離「150km以下」の回答は最も少なく12.8%。国別では、タイの消費者の75.5%が「201km以上」の航続距離を求めており、そのうち29.0%が「301km~500km」と回答した。

「501km以上」を求める声も4カ国中で最も高い24.0%で、長距離走行のEVのニーズが高いと推定できる。

インドネシア、マレーシア、ベトナムでは「201km~300km」が最多で、それぞれ27.8%、25.5%、32.3%だった。「150km以下」と回答した割合は、タイが7.8%で最も低く、マレーシア13.8%、ベトナム14.5%、インドネシア15.0%が続いた。

4カ国ともEVを短距離走行の「街乗り」で利用するニーズは低く、特にタイでは一般的なガソリン車と同じ距離を希望していることがわかった。

また、外出先での一回の充電時間について、4カ国合計では「16~30分」が最多で34.0%。次いで「31~60分」27.8%、「11~15分」が17.6%。一方、「5分以内」「6~10分以内」の回答は少なく、合計の回答率は12.5%だった。

国別では、マレーシアの消費者は「31分以上」の回答率が40%を超え、そのうち「61分以上」は13.0%で4カ国中と最も高く、EVの長時間充電を許容する傾向がややあった。ベトナム、タイは「16~30分」が最も高く、それぞれ39.0%、37.8%だった。

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