才能が絶賛されていたアーセナル時代のウィルシャー photo/Getty Images
怪我でキャリアが崩れた
天才と呼ばれる選手にとって最大の敵となるのが怪我だ。ここは運に左右されるところもあり、個人的なケアだけで怪我をゼロに出来るわけではない。
21世紀のサッカー界を振り返っても、怪我でキャリアプランが崩れてしまった選手は多い。
中でも衝撃が大きかったのはアーセナルでプレイしていたMFジャック・ウィルシャーだろうか。
若手の頃にチャンピオンズリーグでバルセロナ相手に見せたパフォーマンスは圧巻で、順調なキャリアとなっていれば今夏のEURO2020でもイングランド代表の中心だったはず。テクニックならば今注目のMFフィル・フォーデンやメイソン・マウントを楽に超えるレベルだったと言っても大袈裟ではない。
同じイングランドならばFWマイケル・オーウェン、DFレドリー・キングらも怪我が悔やまれる。
特にオーウェンは黄金世代の1人で、万全の状態で戦えればワールドカップやEUROのタイトルにチームを導けたかもしれない。それだけの才能を秘めたストライカーだったのは間違いない。
フランスでは、ウィルシャー と同じくアーセナルでプレイしたMFアブ・ディアビも怪我に苦しめられた。身体的特徴では最もパトリック・ヴィエラに近く、ダイナミックなプレイが魅力だった。32歳で引退することになったのは早すぎたか。

ロイスも怪我に苦しめられている photo/Getty Images
悔やまれるキャリア
ブラジルからは元ミランFWアレシャンドレ・パトだ。インテルナシオナル、ミランでのスタートは順調で、ブラジル代表のエースになると確信していた人も多いはず。
怪我だけではないが、ブラジルではレフティーモンスターのFWアドリアーノもポテンシャルをフルに活かしきれなかった選手として悔やまれる。
『90min』はアドリアーノこそ元祖怪物ロナウドの正統後継者であり、サッカー界最大の「If」と伝えている。もしアドリアーノがサッカーにのみ集中していればどうなっていたか。サッカー史上最強のストライカーになっていた可能性もゼロではない。
ドイツではドルトムントFWマルコ・ロイスか。現ドイツ最高レベルの才能の持ち主で、ワールドカップを制した2014年のチームでも主力になれたはずだ。こちらも怪我さえなければメスト・エジルやトーマス・ミュラーをも超える存在感を放てたのではないか。相次ぐ怪我で代表メジャートーナメントにほとんど参戦できていないのはあまりに残念だ。
こうして振り返ると、怪我に悩まされた選手は多い。1つの怪我が選手の状態を大きく変えてしまうこともあり、こればかりは悔やんでも悔やみきれない。