杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。


8月17日(日)の放送テーマは、「その医療広告、大丈夫? ルールを知って見極めよう!」。美容医療機関が守るべき広告のルールについて、厚生労働省 医政局の吉岡希恵(よしおか・きえ)さんに伺いました。

“ビフォーアフター写真の加工”“体験談の掲載”はNG!「美容...の画像はこちら >>

(左から)杉浦太陽、吉岡希恵さん、村上佳菜子



◆“美容医療”に関するトラブルが増加

近年“美容医療”が以前よりも身近な存在になってきています。シミ取りや脱毛など、かつては一部の人だけの選択肢だった施術も、今では男女問わず多くの人が関心を寄せ、韓国まで足を運んで美容医療を受ける人も増えています。

そもそも美容医療は、病気やケガの治療を目的とするものではなく、精神的な負担を軽減する効果も考慮しながら、体の各部分をより美しくすることを目的とした医療サービスを指します。ちなみに、医師の関与しないエステ脱毛やリラクゼーションなどは美容医療に含まれません。

国内の施術件数は年々増加しており、特に外科的な手術ではない「レーザー治療」や「ボトックス注射(ボツリヌス毒素の注入)」による脱毛、ワキ汗の抑制、脂肪除去などが人気です。その一方で、美容医療に関する相談件数やトラブルも増加しています。2023年度には、国民生活センターや消費生活センターなどに寄せられた美容医療に関する相談は約5,500件にのぼりました。なかでも目立つのは、契約に関する「消費者トラブル」や施術に対する不満・不安の声です。

なかには「アンチエイジング点滴で全身に発疹が出た」「ボトックス注射で目の腫れと頭痛が生じ、完治まで3ヵ月かかった」など、取り返しのつかない事態に陥った例もあります。こうしたトラブルを防ぐための対策として注目したいのが「医療広告のルール」です。


WebサイトやSNSで目にする美容医療の広告について、吉岡さんは「医療は専門性が高く、受ける前に患者さん自身で判断するのが難しいことや、不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べて著しいことから、広告を出す際は厳格なルールが定められています」と説明。しかし、現状はルールに抵触する広告も存在しています。

医療広告の規制は、あくまでも患者や利用者を守るために設けられているものです。医療機関を選ぶ際に“医療広告のルールをしっかり守っているかどうか”を判断材料にすることも、トラブルを避けるための1つの方法です。

◆主な「医療広告のルール」を紹介

実は、医療広告のルールはたくさんあり、非常に細かく決められています。今回は、そのなかでも特に違反が多いルールを紹介します。

最初に吉岡さんが挙げたのは“ビフォーアフター写真”です。「使われている写真が加工されている場合、虚偽広告にあたり、明らかなルール違反となります。また、本当のビフォーアフター写真であっても、治療の説明としてWebサイトなどに掲載するのであれば、『すべての施術内容、費用、期間、回数、リスク、副作用』などの情報を、写真と一体で記載しなければなりません」と説明。

写真のみが掲載されている状態や、クリックしないと詳細が表示されないもの、説明が不十分なものは禁止となっているため、インターネット広告などでよく見る「詳細はこちらをクリック」といった誘導は、医療広告では許されていません。

さらに、「ヒアルロン酸注入だけで、ほうれい線がすぐに改善!」など、効果を強調しすぎる表現も要注意です。「医療の効果には個人差があり、誰にでも同じ結果が出るとは限りません。
それにもかかわらず、あたかも必ず効果があるかのように見せる表現は、誤解を与える誇大広告にあたるため禁止されています」と吉岡さん。

続いて“体験談”に関するルールです。美容医療に限らず、医療広告では体験談を掲載することは禁止されています。「体験談は患者さんなどによる“主観”です。人それぞれ状態は違い、当然その感想も異なるものなので、広告を見た人に誤解を与えてしまう恐れがあるため禁止されています」と解説します。

一方、SNSなどで個人が発信する感想については広告にあたらないため問題はありません。しかし、それを病院から金銭などの対価を受け取って発信している場合は違反になります。また、医師が個人のSNSで施術内容を発信すると、場合によっては患者を誘引する目的とみなされる可能性があり、ルール違反になることがあります。

最後に取り上げたのは“比較優良広告”です。「日本一」「No.1」「最高」など、他の医療機関と比較して優れていると印象づける表現は、それが事実であっても、見た人に過度な期待を与え、冷静な判断を妨げるおそれがあるため禁止されています。また「〇〇さんも当院で治療を受けています」など、有名人の名前を出してアピールするような広告もルール違反とされるケースがあります。

このほか、美容医療の広告には、法律上で明確に禁止されていなくても避けるべき内容もあります。
それが“品位を損ねる広告”です。例えば「今なら最大〇〇%オフ」「モニター価格で〇〇円」といった価格を強調する広告は、冷静な判断を妨げかねないため、医療広告としてはふさわしくないとされています。また「無料相談をされた方全員に〇〇をプレゼント」など、医療行為と直接関係のない特典を提示して集客を狙う手法も、品位を損ねる内容とみなされます。医療機関を選ぶときは、広告に記載されている情報をうのみにしないようにしましょう。

吉岡さんは「ご紹介したルールなどに違反している広告を見つけたら、自分で正しい情報収集をすることが大切です。そして、医療機関では十分なカウンセリングを受け、納得したうえで美容医療サービスを利用するように心がけてください」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「美容医療広告のルール」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず村上が“美容医療広告のルールをちゃんと知ろう”とスケッチブックに書き、ルールを理解しておく大切さを実感した様子。杉浦は“美容医療を受けるときは下調べをしっかりしよう”と強調。このメッセージに村上も「大事ですね」とうなずいていました。

“ビフォーアフター写真の加工”“体験談の掲載”はNG!「美容医療広告のルール」を専門家が解説

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
編集部おすすめ