■~桑野が結婚できない最大の理由とは~
前作から13年ぶりに、ドラマ『まだ結婚できない男( https://www.ktv.jp/kekkondekinaiotoko/index.html )』の放送がスタートして、今話題になっています。初回放送の平均視聴率は関東で11.5%(ビデオリサーチ調べ)と2桁での好スタート、さらにTwitterのトレンドにドラマタイトルや主人公の名前が入るなど、幅広い年代からも注目を集めていることがわかります。
ドラマの人気は阿部寛さん演じる独身の男「桑野信介」のキャラクターや、個性あふれる登場人物たちのやりとりの面白さにありますが、加えて”結婚できない”という問題のリアルさに共感する人々が多いからではないでしょうか。今回はそんな結婚できない人、しない人の実情を見ていきたいと思います。
■どんどん増えている生涯未婚率
内閣府が発表した『少子化社会対策白書( https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30webhonpen/index.html )』によると、20代後半の男性の未婚率は72.7%(2015年)にまで上昇。30代前半の男性でも47.1%(15年)と半数近い男性が結婚していないことになります。
さらに50歳まで一度も結婚したことがない人々を指す生涯未婚率は、男性23.4%(15年)となり年々増加しています。ドラマを見た人の声をみると、「前作が放送されていた頃は学生だったから面白おかしく観ていたけど、今作は結婚適齢期になって焦りを感じながら観ることになりそう」などという声も多く、時を経て結婚できない男という題材がさらに人々の関心を得ていることがわかります。
けれど未婚の人々がみんな結婚したいと思っているわけではありません。国立青少年教育振興機構が15年に18歳以上50歳未満の男女を対象に行った調査では、未婚男性の12.0%が「一生結婚するつもりはない」と回答しています。10年に実施された同調査では9.4%だったので、年々結婚したくないと考えている人が増えているようです。
■結婚できないのではなく、結婚しないという選択
ドラマの主人公桑野は、ステータスだけを見ればモテそうです。講演会やテレビ番組のインタビューにも頻繁に登場するような有名建築家であり、高身長でルックスも悪くない、どちらかといえば女性から結婚したいと思われそうな男性です。
しかし桑野が結婚できない理由は、彼の生活や性格にあります。
さらに女心をまったく理解しておらず、余計な一言を言ってしまう皮肉屋な性格もドラマでは描かれています。それ以上に結婚できない男になっている最大の理由は、桑野自身が「自分は自らの意志で結婚しない」と思っていることにあるのではと考えます。
前作は最終的に桑野に恋人ができたような終わり方をしましたが、今作ではあっさり破局して独身生活を貫いており、自らもその生活を楽しんでいるようです。
実際に多くの男性が結婚しない理由として、仕事を優先したい、自分のペースを崩されることを懸念している、結婚という制度にメリットを感じない、所帯を持つ責任が取れるか心配、などが挙げられています。まさに桑野のような悠々自適な独身生活に、憧れや共感の気持ちを持つ人も多いはずです。
■結婚することが人生のゴールなのか
桑野の母親や周囲の女性など、結婚したい、落ち着いて家庭を持って欲しい、と結婚=幸せの形だと考えている人たちももちろん登場します。
一方で桑野の義理の弟は、妻や娘など家庭内で強い女性たちの尻に敷かれ、結婚なんて…と嘆いています。さらに今作では稲森いずみさん演じる岡野有希江という、夫の浮気で離婚を経験する、いわゆる「結婚に失敗した人」も登場します。
このドラマ自体、結婚というキーワードこそありますが、その形にとらわれず自身の幸せを追求する人の姿が描かれているのではないでしょうか。
結婚していないことにどこかしら罪悪感を覚えてしまっている人たちも、このドラマがコミカルに人生の多様性を描くことで、「結婚しないこと」にも堂々と自分らしさを見出せるのかもしれません。
■まとめ
「結婚できない男」桑野は、結婚するのか、それとも独身を貫くのか、どんな未来を選んでいくのかその姿から目が離せません。日本全体をみても桑野のような結婚できない・しない人が増えている今、ドラマを通して自身の将来について、幸せについて少し考えてみてはいかがでしょうか。
ドラマ『まだ結婚できない男』は毎週火曜よる9時から放送中です。
参考
『まだ結婚できない男』関西テレビ
『少子化社会対策白書(平成30年度版)』内閣府
『第15回出生動向基本調査( http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/doukou15_gaiyo.asp )』国立青少年教育振興機構