夫が平均年収1000万円の某有名企業に勤務しているというAさん。



「息子が高校生2年生なのですが、そろそろ志望校を決めなくてはいけないんです。

周囲の人は主人の勤務先を知っていて、「お宅は公立でも私立でも大丈夫ね」なんて言ってくださるけれど、息子には「第一志望は国立か公立。できれば自宅から通える範囲でお願い」と言っています。だって、貯金がほとんどなくて、私立なんか行かせたら、奨学金をアテにしても借金生活になっちゃう…」



年収が高い人ほど、しっかりと貯金をしているイメージがあるものですが、なかには、Aさんのように、高年収にもかかわらず貯金がないという世帯もあるようです。そこで今回は、世間の貯金の実態と貯められない人の共通点について考えてみましょう。



■年収1000万円で貯金ゼロ世帯の割合は?



国税庁は、2019年9月に「平成30年分 民間給与実態調査( https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm )」を公表しました。そこでは、5026万人いる給与所得者のうち、年間1000万円以上の給与所得がある人は約248万人と示されています。つまり、年収1000万円以上の割合は全体の5.0%だけなのです。



そんな限られた高収入の人たちですが、貯金がない世帯はどのくらい存在しているのでしょうか。知るぽると(金融広報中央委員会:事務局 日本銀行情報サービス局内)が実施した「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2018/ )」の調査をもとにみていきます。



この調査の結果、「二人以上世帯で金融資産を保有していない世帯」のうち年間年収1000~1200万円の世帯は7.3%となっています。なお、1200万円以上の世帯は3.8%となっています。年収が高くても金融資産がないという世帯は、決して珍しくないといえるでしょう。



※ここでいう「金融資産」とは、家計が保有する金融商品のうち、貴金属や現金、事業のために保有している金融商品、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分を除いた「運用のため、または将来に備えて保有している部分」となっています。
また、「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有しているがそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯を指します。



■年収と貯蓄は関係している?



続いては、先ほどと同じ調査から「年収と貯蓄の関係性」についてチェックしてみましょう。以下の数値は、金融資産を持っていない世帯を年収ごとに分けた割合です。



収入はない:0.2%
300万円未満:5.8%
300万円以上500万円未満:5.5%
500万円以上750万円未満:2.9%
750万円以上1000万円未満:0.8%
1000万円以上1200万円未満:0.3%
1200万円以上:0.1%
無回答:7.0%



やはり、年収が低いほど貯蓄のない割合が高い傾向にあるようです。日々の生活費をやりくりしていると、貯蓄に充てる余裕がないケースも少なくないのでしょう。



■貯蓄ができない人の特徴は?



年収にかかわらず、ある程度の教育資金はきちんと用意しておきたいもの。貯金ゼロの状態から抜け出すためにも、貯蓄ができない人の特徴を学んでおきましょう。思い当たる節がある方は、改善していきたいですね。



お金に興味がない

お金に興味を持っている人は、できるだけ無駄遣いを減らし貯金し取り組もうとする傾向があります。その一方、お金に無頓着の人は「お金を大切にしよう」という意志が薄く、支出が多くなりがち。まずは、自分のお金に愛着を持つように意識してみましょう。



物欲をコントロールできない

「今は我慢しよう」「本当に必要になったら買おう」と自分を律することが苦手な方は、次々にお金を使ってしまう可能性があります。商品を買う前に、一度踏みとどまる癖をつけておきましょう。



貯金の計画を立てていない

貯金をスムーズに進めるためには、目標となる金額や達成したい時期を決めておくことが大切です。そのような計画を立てていない方は、貯金を意識せずにお金を使ってしまうことも。今後の生活や予定される出費を踏まえ、今のうちにマネープランを立てておきましょう。



■まとめ



「年収1000万円でも貯金ゼロの世帯がある」と聞いて、「じゃあ、うちに貯金がなくても仕方がないわね」とちょっとほっとした人もいるのではないでしょうか。しかし、だからといって、「このままで良い」というわけにはいきません。



年収を問わず、お子さんがいるご家庭では、多かれ少なかれ、教育を受けさせるためのお金が必要になります。このため、日頃からしっかりと貯蓄に取り組んでおきたいものですね。



【参考】
「平成30年分 民間給与実態調査」国税庁
「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」金融広報中央委員会



【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。



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