貴重な休日の過ごし方は、人によってさまざま。足を伸ばして遠出をしたり、買い物を楽しんだりとアクティブに活動する人がいる一方、家から出ずに引きこもり状態の人も少なくありません。

このような状況は、今後どのような事態を招く恐れがあるのでしょうか。現状と今後に潜む問題を見ていきましょう。



■「休日ひきこもり」の男性が増えている理由とは



2016年に国土交通省が公表した「第6回全国交通特性調査結果( https://www.mlit.go.jp/common/001156730.pdf )」では、20代の男性の外出率は81.2%、休日は51.1%となっています。全年齢の男性の平日外出率85.2%、休日61.6%という結果と比べると、若い世代の引きこもり傾向の高さがうかがえます。



彼らはなぜ休日に外出せず、あえて家の中で過ごしているのでしょうか。その理由を聞いてみました。



・「外に出かけると、なにかとお金を使ってしまう。お金があれば買い物や食事を楽しみたいが、現実はそうではない。無駄な出費を控えるためにも、家の中でお金のかからない読書やゲームを楽しんでいます」



・「映画館に行けば1人1800円のチケット代がかかるし、ジュースやお菓子を買えばさらに高くなる。それなら、家で動画を観ていたほうが安上がりです」



・「ネットがあれば家の中で時間を持て余すことがないし、スマホがあれば友人と連絡を取ることもできる。わざわざ外出しなくても、すべて自宅で完結します」



こうみると、ネットなどの利便性の向上に加え、金銭的な問題も引きこもりを加速させている原因のようです。消費税増税などにより、出費を抑えようとする意識はますます高まっているのかもしれませんね。



■引きこもり男性の行く末は…



先ほどは「休日のみ引きこもり」のケースですが、より外出の回数が少ない引きこもりも多く存在します。2019年3月に内閣府が発表した「生活状況に関する調査( https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/h30/pdf/s2.pdf )」によると、40~64歳までの引きこもりは推定61万であると示されています。なお、引きこもりの度合いごとに区別した該当者は以下の通りです。



・趣味の用事のときだけ外出する…推定24万8000人
・近所のコンビニなどに出かける…推定27万4000人
・自室からは出るが家からは出ない、または自室からもほとんど出ない…推計9万1000人



このような引きこもり状況は、やがて「8050問題」へと発展するケースがあります。これは、80代の親が50代の無職の子を支えている状態のこと。親が亡くなった場合、子どもは1人で生活を送ることが困難になり、生活保護を受給する、餓死や孤独死を招くといった可能性もあるでしょう。



さらに、身勝手な我が子に限界を感じ、親が中年の息子を殺害する事件も報道されています。高齢の親が引きこもりの我が子を支える負担は、精神的にも体力的にも想像を絶するものなのでしょう。



■子どもの問題は親の問題なのか



引きこもりの息子を生んだのは親。だったら、親がその責任を全て背負わなければならないのでしょうか。子の問題を抱える親に対する、世の中の意見を聞いてみました。



・「よく2世タレントが不祥事を起こし、親が頭を下げているシーンが報道されていますよね。

子どもが未成年ならまだしも、いい大人であることがほとんど。そういったシーンを見るたび、『本人だけ謝ればいいのに』と感じます」



・「交番で男性巡査を刺し拳銃を奪った事件で、容疑者の父親である関西テレビ常務取締役が謝罪、退任したことがありました。あれは、世間の声を意識しての判断だったのでは。それほど世間が『親の責任』を強く求めているという現状に、少し物々しさを感じます」



・「『引きこもりは親の責任』なんて掲げていたら、親の負担がさらに増すだけなのでは。団体や自治体などに助けてほしいと思っても、声を上げにくいでしょう」



■まとめ



子の責任を親がとる場面が多く見られる一方、「そこまでしなくても」「親の負担が増える」と捉えている人も少なくないようです。実際のところ、引きこもりになる原因は受験や就活の失敗、いじめ、病気などさまざま。にもかかわらず「親の責任だ」と責めるのは、正解とは言えないのかもしれません。



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