昔は夜通し語り合ってもまだ話し足りなかったのに。くだらないことでも話題はつきなかったのに…。
ふたりの間に子どもが生まれ、成長し、また再びふたりの時間が多くなった…。そんな夫婦の間に立ちはだかる問題、それは「会話がない」。
夫婦の間に流れる気まずい空気、いつもの何倍も時間が経つのが遅く感じる…。果たしてそのままにしておいていいのでしょうか?
■私たち、何話してたっけ?
Aさんは結婚15年目。子どもは7歳の双子の女の子です。お互い故郷は県外なので、夫婦ふたりで協力して双子姉妹を育ててきました。毎日がめまぐるしく、でも幸せな日々。A子さんは夫にも感謝し、「この人と結婚してよかった」と改めて実感していたそうです。
子どもたちは20時に就寝。夫は帰宅が21時ごろなので、夫の分の食事を準備しては、自分は子どもたちと寝落ちしてしまう毎日。しかし、子どもたちが小学校に上がると同時に環境は一変しました。子どもたちが「小学生になったから、もう自分たちで眠れる」と宣言し、Aさんの寝かしつけが不要になったこと、夫の会社が働き方改革を実践、毎日21時帰宅だった夫が週に2回、19時ごろに帰宅するようになったのです。
「ということは、夫婦ふたりの時間が増える、ということ。最初はそのことについて何にも思っていなかったんですが、いざ夫婦ふたりになると…話すことがないんです」帰宅した夫も特に何を話すでもなくただテレビを見ているだけ。何か話そうと、昼間にあったことや、子どもたちのことを話すと、夫は「そうか」と返答してくれるんですが、そこから話が続かない。
「ただ黙ってテレビを見ているだけでもいいのかもしれないのですが、それはそれで気まずいような気がするし、夫婦でいるのだから、何か話さなきゃ…と思うし。でも、話すことが何もないんです」Aさんは次第に夫婦ふたりの時間に恐怖を覚えるようになりました。
「夫婦ふたりのときって、何を話してたんだろう、昔は沈黙の時間も心地よかったのかな?そもそも何も話さない時間ってあったっけ?とかいろいろ考えてしまうともうダメです。夫が帰ってくるのが憂鬱になってしまって。それに、話題を出して夫婦で会話をする努力をしてくれない主人にもだんだん腹がたってきたんです」
■意識しすぎると余計に空回りに
Aさんはこう分析してくれました。「今思うと、子どもがまだ手がかかっているときは、子どもを介して夫婦で会話をしている気になっていただけなのかな、って。あのときにほんの少しでも、夫婦ふたりだけで会話をする時間を作っておけば、現状は違っていたのかもしれません」
Aさんだけではありません。夫婦ふたりきりになると会話がない、何を話していいのかわからない、という夫婦は他にもたくさんいます。
だからといって、「何か話さなきゃ」と思うと余計に話題がでてこない、というのもよくある話。
しかし、やはりこの先も長く一緒にいる相手ですから、できるだけ楽しく居心地がいい時間を共有したい、と思うのが本音ではないでしょうか。思い出してみてください。昔、どうしてあんなに会話が途切れなかったのか?いつまでも話ができていたのか?それは会話が「義務」ではなく、相手に話したいことがたくさんあったからではないでしょうか?また、相手の話を聞きたい!という気持ちが強かったからではないでしょうか?
■「ありがとう」「お疲れさま」から始めてみては
その場を取り繕うための会話は余計に疲れてしまいますし、長続きしません。大切なのは、自然にお互いのことが話せるような関係になること。
何を話していいのかわからない、何も話すことがない…。そんなときは無理して話題を見つけなくてもいいと思います。ただ一言、お帰りなさい、おやすみなさい、のあいさつの後に「今日もお疲れさまでした」「いつもありがとう」のいたわりの一言を添えることから始めてみるのはいかがですか?
そこから少しずつ、会話が増えていくかもしれませんよ。