新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響で、国民1人あたり10万円の特別定額給付金を受け取ったり、消費活動が変化したことで貯金額にも影響が出ています。平均の貯金額や誰がどのくらい増やしたのかなど、リーディングテック㈱が行った「貯金実態調査2020( https://kyodonewsprwire.jp/release/202010286314 )」をもとにして見ていきましょう。
■貯金額の平均は389万円
リーディングテック㈱が行った「貯金実態調査2020」で、まずは貯金額の分布を見てみましょう。もっとも多かったのは「100万円未満」で33.8%、次いで「1,000万円以上」の11.5%、そして「500万円~600万円」の7.9%となりました。中央値は200万円ですが、貯金額の平均値は389万円となっていて、これは1,000万円以上の貯金がある一部の世帯が平均を押し上げているためと思われます。

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貯金の分布について(出典:リーディングテック㈱の調査より)
■2019年度と2020年度では貯金額はどのくらい増えた?
ここで2019年度と2020年度を比較してみましょう。

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貯金額の分布 2019年度(青)と2020年度(赤)の比較(出典:リーディングテック㈱の調査より)
2019年度(青)と2020年度(赤)の貯金額の比較
2019年度の平均値:317万円
2020年度の平均値:389万円
2019年度の中央値:100万円
2020年度の中央値:200万円
いずれも2020年度の方が増加していて、平均値では72万円、中央値では100万円増えたことがわかりました。
■貯金1,000万円以上の層が増えている
今回の調査でわかったことの1つが、貯金1,000万円以上の層が増えていることです。2019年度は7.3%、2020年度では11.5%となり4.2ポイント増えています。一方で100万円未満の層で見ると2019年度は43.5%、2020年度は33.8%で9.7ポイント減っています。

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貯金額の分布。2019年度と2020年度の比較(出典:リーディングテック㈱の調査より)
■貯金額100万円未満では「50万~55万円」が増えている
100万円未満の中でも5万円未満の層が10.2%から6.4%に減り、「50万~55万円」の層が5.1%から7.8%に増えました。これは特別定額給付金の影響と思われます。

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貯金額の分布。100万円未満で、2019年度と2020年度の比較(出典:リーディングテック㈱の調査より)
■貯金額が一番多いのは誰?
年代別に貯金額の平均を見てみると、もっとも多かったのは60代で905万円、次いで50代の616万円、40代の554万円となりました。

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年齢別の貯金額の平均値(出典:リーディングテック㈱の調査より)
■貯金を一番増やしたのは?
そして貯金額の平均値を2019年度と2020年度で比較した場合、貯金額がもっとも増えたのは60代で、402万円増との結果が出ています。2019年度は503万円で2020年度は905万円となっています。(※60代のサンプル数が2019年度は12、2020年度は22と少ないのですが、各回答を個別に確認したところ大きな外れ値は見つかっていません)

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年代別の貯金額の平均値。2019年度と2020年度の比較(出典:リーディングテック㈱の調査より)
また割合で考えると70代も貯金額の平均値が上がっています。2019年度は197万円で2020年度は413万円で2倍以上となっているようです。
■まとめ
COVID-19の影響で貯金額は増えたものの、貯金額の二極化はまだまだ見られるようです。また60代を境にして貯金額が減ることもわかりました。これを見越して、長期的に積立など貯金への対策をしていくとよさそうです。
【参考】
「貯金実態調査2020( https://wiseloan-cash.com/savings2020/ )」 リーディングテック㈱
調査期間:2020年10月8日~2020年10月14日
調査方法:オンラインによるアンケート調査
調査対象:全国の18歳以上の男女2,432人
回答数(率):1,121人(46.1%)
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。