働き盛りの若い夫婦には、出産や子育て、キャリアアップ、マイホームの購入など多くのライフイベントが控えています。目先の出費に手一杯で、「資産運用が大切だとわかっていても、そこまで手が回らない」というご家庭も多いかもしれませんね。



とはいえ、時間が過ぎ去るのはあっという間。「子どもが独立してから」と考えていると、「気づいたら定年退職が目の前」ということにもなりかねません。




「やっておけばよかった!」熟年夫婦の後悔



松井証券が2020年に実施した「夫婦の家計管理事情に関する調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000019241.html )」によると、熟練夫婦が「若いうちにやっておけばよかった」と後悔していることと、若い夫婦が「老後に備えてやっておきたいこと」のトップは、どちらも資産運用でした。



《熟年夫婦》「あなたが、若いうちからやっておけばよかったと後悔すること」

1位…資産形成・資産運用(37.6%)
2位…定期的な運動(26.0%)
3位…後悔したものはない(24.7%)
4位…旅行(19.9%)
5位…親孝行(18.7%)



《若年夫婦》「あなたが、まだやっていないことの中で、やらないことで将来、後悔したくないこと」

1位…資産形成・資産運用(30.9%)
2位…教育計画(26.0%)
3位…出産計画(22.0%)
4位…家計管理(21.3%)
5位…パートナーの資産確認(19.8%)



■熟年夫婦がおすすめする「資産運用の始めどき」



同調査によると、約8割の熟年夫婦が資産形成・資産運用を結婚時までに始めることを勧めています。結婚後は、マイホーム取得、子どもの誕生、といったライフイベントが次々に起るため、思うように資産運用ができなくなるケースが多いと考えられるためです。



資産運用にはさまざまな方法があり、貯蓄や投資もその一種です。マイホーム資金や結婚資金など、近い将来必ず必要になるお金は手堅く貯金で貯めることをおすすめします。



一方、銀行にお金を預けていても利息がほとんどつかない今、老後資金のような大金を貯金だけで用意することは簡単ではありません。将来的に必要なお金を投資で作るなら、できるだけ早く始めるほうがお得です。



■なぜ投資は早く始めるほうがお得なのか



資産運用には「長期 ・分散・積立」という3つの原則があります。若いうちから投資を始めれば、「長期 ・分散・積立」の効果が期待しやすくなります。



「長期」

長期投資がお得な理由は、「複利効果」が見込めるからです。資産運用で利子にさらに利子がつくことを複利といいます。



たとえば、100万円のお金を金利5%で1年間運用すると、1年後には105万円になります。

この105万円をさらに金利5%で運用すると1年後には110万2500円となり、運用期間が長いほどお金が増えていくことが期待できます。



「分散」

1つの銘柄だけに投資すると価格変動の影響をダイレクトに受けやすくなります。値動きの異なる金融商品に分散投資することで、リスクを抑える効果が期待できます。投資期間を長くとり、少しずつ金融商品を増やしていけば、分散投資によってリスクを抑えやすくなります。



「積立」

毎月決まったタイミングで同じ金額を出資して金融商品の購入にあてる方法を、積み立て投資といいます。時間を分散しながら購入することにより、価格変動リスクを抑える効果が見込めます。



投資を成功させるためには経験や知識が欠かせません。早くから投資を始めれば経験や知識を少しずつ積んでいけます。万が一失敗したとしても取り戻す時間は十分にあります。結婚後に投資をする場合はふたりの合意が欠かせませんが、結婚前なら自分の裁量で投資をコントロールしやすいでしょう。



■投資信託とつみたてNISA



「長期・分散・積立」投資ができる金融商品の代表が投資信託です。また、投資信託購入を検討したとき、国の税制優遇制度である「つみたてNISA」の活用も視野に入れるとよいでしょう。



投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を、投資の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券で運用する金融商品です。集めたお金を複数の株や債券に投資できるため、リスクの分散効果が見込めます。専門家に運用をおまかせする仕組みなので、信託報酬が発生する点に注意しましょう。



「つみたてNISA」

「つみたてNISA」とは、少額からの「長期・分散・積立」投資を支援するための非課税制度です。非課税となる期間は最大20年間、1年あたりの投資上限枠は40万円です。「つみたてNISA」は30代や40代の利用者が多く、2020年6月末時点では口座開設世代の約7割が40歳代以下となっています。



参考:「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20201007/01.pdf )」金融庁



■パートナーに「貯蓄額」を伝えていますか?



あなたは、独身時代に貯めた貯蓄額や所持額をパートナーに伝えますか?冒頭にご紹介した調査によると、パートナーに正確な金額を伝えない「サバ読み夫婦」も少なくないようです。所得額を正確に伝えていない人は3人に1人。貯蓄額を正確に伝えていない人は半数以上に上ります。



結婚前に資産運用を始めるなら、独身時代に貯めた金額をパートナーにどこまで伝えるかについても考えておくほうがいいかもしれませんね。



また、投資は必ず余裕資金の範囲内で行いましょう。ネット系証券会社では、100円や1,000円といった金額から投資信託を購入できるケースなども増えています。まずは、少額・低リスクの金融商品から始めてみてはいかがでしょうか。



【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。



【参考】
「夫婦の家計管理事情に関する調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000019241.html )」松井証券
「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20201007/01.pdf )」金融庁



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