昨年から、かんぽ生命の不正契約問題が世間を騒がせています。長年にわたって、お客様に不利益な乗り換え契約や、二重払いなどの詐欺まがいな契約を繰り返してきたそうですが、ここまでいかなくても、会社や自分の利益を第一に考えて、お客を削りにいく営業というのは実際少なくありません。
「ぶっちゃけ、10人いたら8人は、お客様を削る営業マンだと思います」と言うのは、『ヨイショする営業マンは全員アホ』(飛鳥新社)の著書を持ち、野村證券出身のビジネス系ユーチューバーとして人気の宋世羅(そん・せら)氏です。
どうしたらお客を削る営業マンを見分けて、信頼できる2割の営業マンを引き当てるのか、探すのか。その判断基準についてお話しをうかがいました。
■営業マンの正義とは何か
そもそも、お客様のためになる提案をして商品を契約させる2割の営業マンが正義で、8割の営業マンが悪なのでしょうか。
たとえばかんぽ生命の例で言うと、営業マンは結局はかんぽ生命から給料もらっているのだから、かんぽ生命のために仕事をして、かんぽ生命にとにかく利益を落とすという考えは、ある意味当たり前。
もっと言えば、たとえ目の前のお客様が損をしてぐちゃぐちゃになろうとも、企業が潤ったほうが日本経済が回るという考え方もあるんですね。目の前ではなく、トータルで見るとその方が幸せになる人が多いという。そういう考えでやっている大手企業も少なくないと思います。
結局は、どこに正義を置くのかという話なんです。
■2つの質問で見分けろ
とはいえ、かんぽ生命の不正販売は当然許されるものではありませんし、もし私が消費者の立場で家や保険を買うことになったとしたら、「日本経済ではなく、こっちを見てよ」という気持ちになると思うので、やっぱりお客様の立場に立ってくれる、2割の営業マンを選びたいです。
その、いい営業マンの見分け方ですが、次の2つの質問をするだけである程度は分かります。
「なんでその仕事してるんですか?」
「どういう思いで営業をしているんですか?」
この2つです。
これに対する回答パターンは様々ですが、たとえば「たまたま新卒でXX生命にお世話になったので、ここで働いています」とか「一応年収が高い会社に内定できたので、やってます」みたいなパターン。
結論、これはノーです。結局、自分に意思がなく、会社から出されたノルマをこなすために行ってこいと言われているだけ。
次に、そもそも答えられないというケース。もちろんこれもノーです。
もう一つよくあるのが、「お客様のために毎日仕事しています」とか、「保険業界をよくするために頑張っています」みたいな、超抽象的なことをかます営業マン。
そういった回答がきた場合は「じゃあ、どうなることがお客様のためになることだと思います?」とか「どうなることが保険業界にとっていいことなんですか?」とさらに突っ込んでいって、その反応を見てください。
ぶっちゃけ、いい営業マンかどうかって、そんな簡単に判断できるものではありません。きっと、私が見ても一発では分からないので、一般のお客様だとなおさら難しいでしょう。
だから、そういう質問をすることで、その人なりの思いとか考えていることを引き出して、その人を信用できるかを自分なりに判断するしかないわけです。

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商品ではなく人を見ろ
私が言いたいのは、つまり、商品の良し悪しではなく、人で選ぶべきということ。
一般の方のほとんどが、たとえばAという商品を見て騙されていないか悩むと思いますが、これは間違い。
経験上、経営者の方たちは、1対9で商品ではなく人を見ています。
提案資料を見ているフリをして、「お前、この仕事やっていてどう?」「なんで保険屋になったの?」「どうなりたいの?」と質問を投げて反応を見て、見込みのある人間だと認めたら「じゃあ、これでいこう」と契約して終わり、みたいな感じです。
つまり、その時の営業マンの雰囲気や発言を見て、そこで任せるか任せないかを品定めしているんです。鋭いんですよね。
これは消費者サイドから見た、いい営業マンの見分け方をお伝えしていますが、逆に営業マンサイドで考えたら、当然ですが、なんでこの仕事をやっているのかを常に考えて、自分なりの回答を持っておく必要があるということです。
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宋 世羅(そん・せら)
保険営業マン/ビジネス系ユーチューバー
1989年生まれ。大阪府出身。早稲田大学野球部を経て、野村證券入社。証券営業マンとして4年間勤務の後、独立し、現在はフルコミッション(完全歩合制)の保険営業マン。2020年2月よりYouTube「宋世羅の羅針盤ちゃんねる」にて保険、株、投資信託、貯金、営業などのノウハウを、現役のプロとして発信。チャンネル登録者数は12万人超(2020年11月時点)。

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