野菜の栽培から観葉植物に至るまで、近年注目されている水耕栽培。土を使わないため、害虫の発生を防いで野菜を育てられると人気です。
野菜の水耕栽培の中でも、特に注目を集めているのがトマト。しかし、トマトの水耕栽培は比較的難易度が高いのも事実です。
そこで、初心者でも育てやすいミニトマトの水耕栽培から挑戦してみるのはいかがでしょうか。今回は自作水耕栽培キットを使った、室内でのミニトマトの育て方を解説します。
■水耕栽培初心者はミニトマト苗がおすすめ
種まきから始めることも多い水耕栽培ですが、初心者は苗から育てるのがおすすめです。ミニトマトの苗を購入し苗をポットから外したら、根を傷めないよう土を十分に落とし、植え付けます。

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ミニトマトの花。最近は秋でも収穫できるミニトマト苗が出回っている。
ミニトマトの水耕栽培に必要なもの
水耕栽培キットの自作に必要なのは以下の5点。
- 2Lペットボトル等の容器
- 液体肥料
- 水
- ミニトマトの苗
- アルミホイル
- フェルト布(幅1.5~2センチ、長さ3センチ)
- ハイドロボール
自作キットで苗を植え付ける手順
自作で鉢の代わりを作る場合、多くの人が実践しているのがペットボトルを使う方法。大きめのペットボトルは室内で使用する分には耐久性も十分。鉢代わりにして育てられるので、ぜひチャレンジしてみてください。
まずペットボトルの上から3分の1を水平にカットします。
ペットボトル内は常に水がある状況なので、藻が発生しやすくなります。そのため、下半分のペットボトル全体にアルミホイルを巻きます。これで直射日光が当たらなくなり、藻が発生しにくくなります。
ペットボトルには、500倍ほどに薄めた液体肥料を溶かした水を入れます。水は水道水が適しています。液体肥料の入れすぎには注意しましょう。
根を傷めないようにペットボトルの飲み口に土を落とした苗を差し込み、根が底面の水に届くように固定します。飲み口にハイドロボールを敷き詰めて、苗を固定するのがおすすめです。
根が水面に届かない場合は、水を吸い上げるため長さ約3センチ、幅1.5~2センチ程度のフェルト布を用意し、飲み口から水面に垂らしましょう。フェルト布と根をつなぐよう固定します。
以上で苗の植え付け作業は完了。こまめな水換えと日照が、ミニトマト栽培成功の秘訣です。
自作水耕栽培キットに植え付けたトマト苗も、土で植えた場合と同様、日照が必要です。日当たりの良い場所に設置し、水は常にきれいな状態に保ちましょう。可能なら毎日水を入れ替えるのが理想的です。
水換え後も、適宜液体肥料を与えます。藻の発生を防いだり内部を清潔な状態に保つため、容器の中も頻繁に掃除するようにして下さい。
■植え付け後のお世話
次に、ミニトマトの苗を植え付けた後のお世話について解説します。
成長に応じて支柱を立てる
ミニトマトの成長に合わせて、苗が高さ15センチ程に成長したら支柱を立てましょう。背が高くなったトマトをそのままにしていると、ちょっとした風などでも折れてしまうこともあります。ミニトマトの成長に合わせて支柱を準備することが大切です。
ミニトマトは最終的に1メートル程に成長するので、120~150センチくらいの支柱が必要になります。支柱はミニトマトを支えられる棒状のものなら何でも構いません。
必要に応じて「わき芽」を摘み取る
ミニトマトは成長するにつれ、枝と枝の間から「わき芽」と呼ばれる新しい芽が出てきます。わき芽をそのまま放置すると、実を作るエネルギーが消費されてしまうので、わき芽はこまめに摘み取りましょう。
ミニトマトの様子を毎日観察して、わき芽が出ていたら、わき芽が大きくならないうちに摘み取ることが大事です。
病害虫対策
こまめな水換え、十分な日照、適度な肥料が病害虫を防ぐ鍵になります。健康なトマトであれば、病気になりにくく、虫害にもあわずに済むということです。トマトの様子を毎日観察する習慣をつけましょう。
観察することで異変に気づき、被害を防ぐことができます。
■ミニトマト収穫のポイント
病気のリスクを減らすため、ミニトマトの収穫時はヘタをのこしたまま、実だけ収穫しましょう。
室内で栽培していると、結実のための受粉が思うようにいかないこともあります。花を指先で弾いたり枝をゆするなどして、受粉を促すことも必要です。
■まとめにかえて
土を使わず、室内やバルコニーでも野菜を育てられる水耕栽培。室内に土を持ち込むことに抵抗がある場合や、畑やプランター栽培が難しい環境でも家庭菜園を楽しめます。
今回ご紹介した水耕栽培は、土で栽培するのとは違って、少しハードルが高い育て方です。
とはいえ、ミニトマトはそもそも育てやすい野菜です。食卓の彩りにも活躍してくれる便利な野菜ですから、水耕栽培にもチャレンジしていただければと思います。
秋冬でも暖かい室内で日照があれば、トマトもすくすく育ちます。育てる楽しみと収穫の喜びを感じてみませんか?