東芝は2021年11月12日、2022年度から3年間の新たな中期経営計画を発表しました。会社発表によれば、企業価値の向上につなげるため、会社全体を事業別に3分割する方針を盛り込みました。
各社がこの事実を報じているものの、いまいち内容が良くわからない方も多いのではないでしょうか。そこでテクノロジーに詳しい証券アナリストの泉田良輔氏に、このニュースについて気になることを聞いてみました。
■ーそもそもなぜ会社を3社に分ける必要があったのでしょうか?
会社としては、(株主)価値の顕在化、専門的かつ俊敏な経営、株主への選択肢の増加を上げていますが、一番大きな狙いはコングロマリットディスカウント(後述)の解消と機動的な資金調達の可能性を広げることにあると思います。
東芝は総合電機メーカーとして様々な事業を抱えてきました。ただし、こうしたざまざまな事業を抱えている場合には、株式投資家の場合であれば、どの事業の成長性に期待をして投資をするかの判断が不明瞭になったり、自分が投資をしたい事業にフルに投資をできないという問題点などが発生します。こうした事態を避けるために分社化をして、投資家が何に投資をしているのかを明確にしてやることができます。
また、今回のデバイスカンパニーのように、資金需要が相対的に必要な事業であれば(メモリーのような半導体事業ほどは必要ないが)、事業計画に応じて機動的に資金調達をすることも可能です。
■ー「コングロマリットディスカウント」とは何でしょうか?
コングロマリットディスカウントとは、複数の事業をしている会社の場合に、その会社の全体収益がどの事業でけん引されていくのかが不明瞭になったり、成長事業の収益が全体でみると薄まったりすることで投資家から高い評価を受けにくいということがおこります。
こうした事態は今回の東芝などに限らず、米国のGEやジョンソン&ジョンソンも同じような状況にあり、分社化が日本に限らず検討されているといえるでしょう。
特にこうした状況にある上場会社は、「物言う株主」など経営に積極的に口だしをする投資家により狙われることも多いです。ソニーも依然エンターテイメント事業の一部を上場させろとプレッシャーをかけられたこともありました。
■ーズバリ、東芝の未来はどうなるでしょうか?
結局は、各事業でどの程度解像度を上げた計画を資本市場で提示できるのか、またその計画に対して収益を上げることができるのかで今回の取り組みの評価が出ることにあります。
会社分割自体はテクニカルな話ですので、基本は分社した会社ごとの事業展開で東芝の評価がされるという形になります。
■会社分割の成功事例になるか?
今回は、東芝の会社分割について、プロの視点から解説してもらいました。一見難しそうに見える内容ですが、分社化することで「投資家が、どの事業に投資をしているのか」を明確にすることが狙いと言えそうです。
なお、国内で初ともいわれる東芝の会社分割ですが、もしうまくいけば、成功事例として後に続く企業が表れる可能性もあります。「モノづくり大国・ニッポン」をけん引した東芝の今後に期待したいですね。
■参考資料
- 株式会社東芝「株主価値向上に向けた東芝の変革」(2021年11月12日)( http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2021q2_2.pdf )

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