■4年間の平均学費を比較
もうすぐ夏休みです。夏期講習を控えた今、いよいよ進路を悩む生徒は多いものです。
受験するのは子ども本人とはいえ、それを支える親も緊張する季節となりました。
将来の就職先や生涯年収にも影響するかもしれないと考えると、大学選びは慎重になるものです。しかし、その学費も気になるところではないでしょうか。
今回は大学の学費について、「私立」「国公立」「短期大学」でいくらの差があるのか見ていきます。
■国公立大学の学費は安いのか
国公立大学に進学した場合の目安について、文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」で学費を確認します。
■国立大学(国立・医歯系学部以外・4年間在籍)
- 入学金:28万2000円
- 授業料:53万5800円
- 4年間の学費総額:242万5200円
※受験検定料を除く
■公立大学(国立・医歯系学部以外・4年間在籍)
公立大学の学費では、「地域内入学者」と「地域外入学者」で費用がかわることがあります。
【地域内】
- 入学金:22万8613円
- 授業料:53万6363円
- 4年間の学費総額:237万4065円
【地域外】
- 入学金:39万1305円
- 授業料:53万6363円
- 4年間の学費総額:253万6757円
ただし、日本政策金融公庫の「2021年度 教育費負担の実態調査結果」によると、実際に国公立で負担した教育費平均は次のとおりとなっています。

出所:日本政策金融公庫「2021年度 教育費負担の実態調査結果」
- 入学費用:67万2000円
- 授業料:103万5000円
- 4年間の学費総額:481万2000円
(4年間大学の場合)
公表されている学費に加え、受験費用や入学しなかった大学などへの納付金が負担を高めます。
さらに授業以外にも費用がかかるため、国立大学であっても500万円弱の費用は覚悟した方が良さそうです。
■私立大学の学費はいくらくらいなのか

出所:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
続いて私立大学にかかる学費もみていきましょう。文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を参考にします。
■私立大学文系学部
(文・人文学系、経済・経営・商学系、教育系、法・政治学系ほか)
- 407万9015円
※「入学金」(初年度のみ納入:22万5651円)と「授業料」(年額81万5069円×4年分)と施設設備費(年額14万8272円×4年分)
■私立大学理科系学部
(理・工学系、農・獣医・畜産学系ほか)
- 551万1961円
※「入学金」(初年度のみ納入:25万1029円)と「授業料」(年額113万6074円×4年分)と施設設備費(年額17万9159円×4年分)
■私立大学医歯系学部
(医学、薬学、歯学など)
- 2396万1844円
※「入学金」(初年度のみ納入:107万6278円)と「授業料」(年額288万2894円×6年分)と施設設備費(年額93万1367円×6年分)
■私立大学その他学部
(家政、芸術、体育、保健など)
- 507万3940円
※「入学金」(初年度のみ納入:25万4836円)と「授業料」(年額96万9074円×4年分)と施設設備費(年額23万5702円×4年分)
■私立・短期大学
前述の文部科学省の「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を見ると、私立短期大学にかかる費用は以下のようになっています。
- 201万7557円
※「入学金」(初年度のみ納入:23万7615円)と「授業料」(年額72万3368円×2年分)と施設設備費(年額16万6603円×2年分)
志望者の中には、いったん短期大学に進学し、その後4年制などの大学への編入を視野に入れているケースもあります。
この場合では、「入学料」と在籍する年数分の「授業料」「施設設備費」、また「受験料」などが新たに必要となることもあります。
また国公立の学費でも触れた日本政策金融公庫の「2021年度 教育費負担の実態調査結果」によると、実際に負担した教育費平均は次のとおりとなっています。
■私立大学文系
- 入学費用:81万8000円
- 授業料:152万円
- 4年間の学費総額:689万8000円
■私立大学理系
- 入学費用:88万8000円
- 授業料:183万2000円
- 4年間の学費総額:821万6000円
やはり、公表された学費よりも実際に負担する教育費は大きく上回ると言えます。「私立か国公立か」「文系か理系か」または大学ごとにより大きく差はありますが、問題は見えない費用をどのように準備するかという視点になります。
■大学の学費は「私立」「国公立」以外でも多角的に捉えておく
私立や国公立では学費事情が大きく異なることがわかりました。
一昔前は「安い」というイメージのあった国公立ですが、それでも実際には500万円近い負担があります。
子どもが2人以上いれば、負担感も倍に増えることでしょう。
どこまでを「教育費」と捉えるかは家庭によって異なるところですが、「定期代」や「一人暮らしの仕送り」に始まり、教材費用など細かな出費は事前に用意しておく必要があります。
奨学金やアルバイト等も加味しながら考えておきたいですね。
■参考資料
- 文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」( https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm )
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」( https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2017/12/26/1399613_03.pdf )
- 日本政策金融公庫「2021年度 教育費負担の実態調査結果」( https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf )