■節電ポイント2000円分とは?電力不足問題を考える
節電を促す警報が立て続けに発令されるなど、いま電力不足が深刻化しています。
家庭ごとに節電が求められるわけですが、政府が発表した「節電ポイント」をご存知でしょうか。
今回は、深刻化する電力不足と節電ポイントについてくわしく解説していきます。
■節電ポイントとは?2000円分に上乗せも
電力不足を背景に、政府が「節電ポイント」を付与する考えを発表しました。
各電力会社では、節電に応じるとポイントがもらえる節電プログラムを実施しています。
たとえば東京電力では1キロワットアワー節電すると5円分のポイントがもらえますし、東京ガスでは節電チャンスタイムを設定してその時間帯に電力を減らすとポイントが付与されます。
これらの節電プログラムに参加すると、各電力会社のポイントに上乗せされる形で政府の節電ポイントが付与されます。
付与されるポイントは2000円分で、電子マネーに交換でき買い物などで利用できます。
節電ポイントをもらうには、電力会社の節電プログラムへの参加が欠かせません。契約する電力会社が節電プログラムを実施しているか確認する必要があります。制度は8月を目途にスタートしますので、早めに確認しておくと安心でしょう。
さらに政府は秋以降、節電に応じた家庭に対してポイントの上乗せも検討していると示しています。これからの政府の動きが見逃せません。
■【節電ポイント】電力需給は厳しい見通し
近年電力需給のひっ迫で電力不足が心配されていますが、今夏の電力はどのような状況なのでしょうか。熱中症のこともありますし、夏は頻繁にエアコンを使います。多くの家庭で電力の需要が高くなる傾向にあるでしょう。
10年に一度の暑さと言われていますから、気になるところです。今夏の電力の状況について、経済産業省資源エネルギー庁が2022年5月27日に発表した「2022年度の電力需給見通しと対策について」を参考に見てみましょう。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「2022年度の電力需給見通しと対策について」
電力を安定的に供給するには3%の予備率(電力供給の余裕がどれだけあるかを表した数字)が必要とされています。しかし、東北・東京・中部エリアにおいて、最大需要発生時の予備率が3.1%とぎりぎりの数字です。
2017年度以降最も厳しい見通しとされているのです。同省が運営する「省エネポータルサイト」でも夏の間の節電を促しています。今夏の電力需給は厳しい状況と言っていいでしょう。
そもそも、なぜ電力不足が起こっているのでしょうか。
電力不足の背景として、火力発電の休廃止が相次いでいることがあげられます。
日本の全発電電力量の多くを火力発電が占めていますから、休廃止が相次いだことで電力が不足したわけです。またロシアのウクライナ侵攻でエネルギー供給が不安定になっていることや、コロナによるテレワークの増加で電力の需要が高くなったことも電力不足の背景としてあげられるでしょう。
■【節電ポイント】電力需給ひっ迫注意報とは?7年ぶりに節電要請も
大規模な停電を防ぐため、節電を呼びかける警報として「電力需給ひっ迫警報」があります。東日本大震災で電力需給がひっ迫したことを背景につくられた警報です。
今年の3月21日、初めて電力需給ひっ迫警報が発令されました。3月16日に福岡県沖で震度6強の地震が起こり、福岡県の火力発電が停止したことが主な理由です。
さらに、5月には電力需給ひっ迫警報の前段階になる「電力需給ひっ迫注意報」が新たに設けられました。電力需給がひっ迫するのに備えて、節電を少しでも早く呼びかけるためのものです。電力需給ひっ迫注意報と電力需給ひっ迫警報が発令される基準は以下のとおりです。
- 電力需給ひっ迫注意報…翌日の予備率が5%を下回る見込みの場合に発令
- 電力需給ひっ迫警報…翌日の予備率が3%を下回る見込みの場合に発令
どちらの警報も、電力需給がひっ迫する前日の16時を目途に資源エネルギー庁が発令します。
また、6月7日に政府が電力不足の対策を決定する関係閣僚会議を開催しています。
会議が開催されるのは5年ぶり。さらに対策として2015年以来7年ぶりの節電要請を行うことも決定しました。
7月1日~9月30日にかけて、太陽光発電の出力が減る午後5時~8時ごろの節電を呼びかけます。初の電力ひっ迫警報や注意報、7年ぶりの節電要請など、電力不足の深刻化が伺えますね。
■節電ポイントから電力不足問題を考える
電力不足は深刻な問題です。大規模停電が起これば灯りはもちろんつきませんし、冷房や暖房もストップすることから健康にも関わってきます。
各家庭で、節電への意識を高めていかなければなりません。各電力会社の節電プログラムに参加するともらえる節電ポイントは、2000円分のポイントがもらえるお得な制度です。
節電ポイントをきっかけに、意識を高めてみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 経済産業省資源エネルギー庁「2022年度の電力需給見通しと対策について」( https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/050_04_04.pdf )
- 経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」( https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/shoene_setsuden/ )
- 東京電力「TEPCO省エネプログラム2022」( https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2022/pdf/220608j0102.pdf )
- 東京ガス「夏の節電キャンペーン」( https://drlv.tokyo-gas.co.jp/campaign/dr2022_summer.html )