株式会社リクルートが2022年7月14日に公表した「派遣スタッフ募集時平均時給調査」によると、三大都市圏(関東・東海・関西)の平均時給は1594円で、前月からは33円増加、増減率+2.1%となりました。



また関西に限定した調査では、平均時給が1434円となり、前月からは27円増加、増減率+1.9%となっています。



関東の平均時給である1695円に比べると少ないものの、「医療介護・教育系」や「IT・技術系」などで盛り上がりを見せています。



では、派遣を含めた全体の年収では、東京と関西にどれほどの差があるのでしょうか。大阪を含む関西の都道府県の賃金事情について、公的な資料から探ってみましょう。



■関西と東京の平均年収は最新データでいくらか



まずは厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」より、都道府県ごとの賃金(男女系)を確認してみましょう。



「関西の派遣」平均時給が前月より1.9%増加。東京と大阪の平均年収はいくらか

出所:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」



  • 全国計:30万7000円
  • 東京:36万4200円
  • 滋賀:29万700円
  • 京都:31万2200円
  • 大阪:32万6900円
  • 兵庫:30万7900円
  • 奈良:28万9700円
  • 和歌山:28万7300円

例えば大阪の場合、年収として単純に12ヵ月分にすると、32万6900円×12ヵ月=392万2800円です。東京都の437万400円に比べると、約45万円の差があるという結果に。



こちらには賞与や各種手当てが考慮されないため、実際にはもっと差が開いていることが想定されます。



ちなみに全国計を上回るのは全国でも東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県のみとなっています。



関西には全国平均を上回る都道府県が複数存在するも、やはり東京都の収入が突出して多いことがわかりますね。



東京都は物価が高いと言われるため、支出額にも差が出ていることが予想されます。今度は東京都と関西の支出額を比べてみましょう。



■関西と東京の支出額は毎月いくらか



ここからは総務省の「2021年家計調査 家計収支編 第2表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出」より、総世帯のうち勤労世帯における都道府県庁所在地ごとの平均支出額を比べてみます。



※単身世帯だけでなく二人以上世帯も含まれます。



■消費支出(勤労世帯)



  • 東京都区部:31万9634円
  • 大津市(滋賀):27万3492円
  • 京都市(京都):29万6999円
  • 大阪市(大阪):22万4200円
  • 神戸市(兵庫):27万524円
  • 奈良市(奈良):31万93円
  • 和歌山市(和歌山):22万9816円

こうして見ると、やはり東京都の支出額が多いことがわかります。



ただし、賃金では関西トップだった大阪が関西で一番少ない支出額となり、必ずしも賃金の傾向と一致しないことがわかりますね。



■関西に本社がある企業



最後に、関西に本社を置く企業を10社ご紹介します。



※()内は本社の所在地



  • キーエンス(大阪)
  • 任天堂(京都)
  • サントリー(大阪)
  • 伊藤忠商事(東京・大阪)
  • シャープ(大阪)
  • 江崎グリコ(大阪)
  • 大阪ガス(大阪)
  • 日本商業開発(大阪)
  • 大和ハウス(大阪)
  • 塩野義製薬(大阪)

■まとめにかえて



株式会社リクルートが行う調査によると、関西地方の派遣の平均時給は増加しています。



一方で、年収には都心と地方の格差があるのも事実です。



企業のテレワーク化が進む中、働き方・働く場所ともに多様化が求められる現代。年収アップを狙う方は、さまざまな選択肢から検討したいですね。



また、賃金が高い大阪が他の関西圏よりも消費支出が低いことからわかるように、賃金と支出は一概に比例するとはいえません。



貯蓄アップに重きを置くのであれば、年収だけでなく支出の見直しに切り込む方が効率的なこともあるでしょう。



さまざまな視点からお金と向き合っていきたいですね。



■参考資料



  • 株式会社リクルート「派遣スタッフ募集時平均時給調査」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001611.000011414.html )
  • 厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/10.pdf )
  • 総務省「2021年家計調査 家計収支編 第2表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330019&tclass3=000000330020&stat_infid=000032195881&result_back=1&tclass4val=0 )
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