■NISA恒久化を求める声も
日本証券業協会は「資産所得倍増プラン」に対して、NISAの恒久化を提言しています。
投資未経験者の参入を促し、「1億総投資家」を目指す声も証券業界では高まっています。
日本証券業協会が公表する「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年3月31日現在)について」によれば、一般NISA及びつみたてNISAの口座開設数は以下の通り。
出典:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年3月31日現在)
一般NISAの口座数
- 2018年末:685万口座
- 2019年末:703万口座
- 2020年末:742万口座
- 2021年末:769万口座
- 2022年3月末:725万口座
つみたてNISAの口座数
- 2018年末:53万口座
- 2019年末:95万口座
- 2020年末:172万口座
- 2021年末:339万口座
- 2022年3月末:396万口座
つみたてNISAに関しては、実におよそ3年間で約7倍の口座開設数となっており、NISA制度を活用する人が増えていることが分かります。
一方で、リスクが怖い、運用にまわすお金がないといった理由で投資をしない方も日本では多いのが現状でしょう。
実際にNISAを利用している人の属性は、どのような人が多いのでしょうか。
今回は「年収」や「貯蓄状況」にスポットを当てて、NISA利用者をみていきたいと思います。
■NISA利用者の年収は?
日本証券業協会が2022年7月20日に公表した「中間層の資産所得拡大に向けて~資産所得倍増プランへの提言~」によると、NISA制度を利用する人の個人所得は以下のように区分されます。
出典:日本証券業協会「中間層の資産所得拡大に向けて ~資産所得倍増プランへの提言~」
■NISAの個人所得区分別利用状況
- 300万円未満:46.6%
- 300万円以上500万円未満:27.0%
- 500万円以上700万円未満:14.5%
- 700万円以上1000万円未満:8.2%
- 1000万円以上:3.8%
最も多いのは「年収300万円未満」の層で、全体の約半数を占めています。
そして「年収500万円未満」で括ると約7割を占めていることがわかります。
■年収500万円未満の層がNISA利用者の約7割を占めるワケは?
「投資」や「資産運用」と聞くと、「お金に余裕のある人がするもの」という印象が少し前までは強かったように思います。
ですが、結果を見てみるとNISA制度を活用している約7割は年収500万円未満の層であることが分かりました。
ここで、日本の平均年収に視点を移してみましょう。
国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円となっています。
同じ資料から、年収100万円以下~2500万円超の割合をみてみると、以下のようになります。
出典: 国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」(令和3年9月)
この資料から、年収500万円以下の割合は69.7%だとわかります。
また、冒頭で紹介した日本証券業協会の資料によると、一般NISAとつみたてNISAの口座数の年代別割合は以下のようになっています。
出典:日本証券業協会「中間層の資産所得拡大に向けて ~資産所得倍増プランへの提言~」
一般NISAは比較的幅広い世代で活用されている一方で、つみたてNISAに関しては、20代~40代といった、いわゆる若年層がメインで活用していることがわかります。
20代~40代は一般的にまだ給与が十分に上がっている年代ではありません。
そういった若年層が利用者の7割を占めていることが、年収500万円未満の層がNISA制度利用者の7割を占めていることに関連しているのではないかと考えられます。
■NISA利用者の貯蓄状況は?
続いて、NISA利用者の金融資産についてもみていきましょう。
出典:日本証券業協会「中間層の資産所得拡大に向けて ~資産所得倍増プランへの提言~」
■NISAの世帯保有金融資産別利用状況
- 100万円未満:11.4%
- 100万円以上300万円未満:11.8%
- 300万円以上500万円未満:10.9%
- 500万円以上1000万円未満:16.0%
- 1000万円以上3000万円未満:27.9%
- 3000万円以上:22.0%
上記の通り、金融資産1000万円未満が過半数を占める結果となりました。
同資料によると、日本の家計の平均保有金融資産は単身世帯で1062万円、二人以上世帯で1563万円です。
その数値と比べると、NISA利用者の貯蓄状況は少し低めだということがわかります。
■まとめにかえて
資産運用には「難しそう」「お金持ちがやっているもの」といった声をよく聞きますが、今回の結果をみると決してそんなことはないでしょう。
また、日本銀行調査統計局の「資産循環の日米欧比較」を確認します。
出典:日本銀行調査統計局「資産循環の日米欧比較」
■現金・預金
- 日本:54.3%
- 米国:13.3%
- ユーロエリア:34.3%
■債務証券・投資信託・株式等
- 日本:15.7%
- 米国:55.2%
- ユーロエリア:29.6%
欧米、特に米国では、富裕層に限らず一般家庭においても資産運用は馴染みのあるものといえるでしょう。
もちろん預貯金も大事ですが、時代は刻一刻と変化しています。
「投資をより身近なものにし、自分の資産は自分で守る」、そういう時代になってきていることは間違いないといえます。
■参考資料
- 日本証券業協会「中間層の資産所得拡大に向けて~資産所得倍増プランへの提言~」( https://www.jsda.or.jp/about/teigen/shotokubaizouplan/gaiyou_shotokubaizouplan.pdf )
- 日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年3月31日現在)について」( https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/nisaall.pdf )
- 日本証券業協会「中間層の資産所得拡大に向けて ~資産所得倍増プランへの提言~」( https://www.jsda.or.jp/about/teigen/shotokubaizouplan/honbun_shotokubaizouplan.pdf )
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」(令和3年9月)( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf )
- 日本銀行調査統計局「資産循環の日米欧比較(図表2 家計の金融資産構成)」( https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf )

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