■いつの間にか鳥取県にスタバが増えたのはスナバ効果か



自虐ユーモアで我が道を行く「スナバ」、スタバとの戦いは続く?...の画像はこちら >>

■拡大が続くスタバの国内店舗数、既にドトールを大きく上回る



多くの人が利用するスターバックスコーヒー(以下「スタバ」)が、日本に第1号店をオープンしたのは1996年8月です。それから約21年が経ち、国内の店舗数は1,268まで拡大しました(6月13日現在)。



この店舗数は、ドトールコーヒー(1,120店舗注1)より多く、ハンバーガーショップのモスバーガー(1,358店舗注1)に迫る規模です。



注1:グループ内の他ブランドを含めず。



■最後まで出店を見送った鳥取県、2年前に1号店がオープン



そのスタバが最後まで出店を見送ったのが鳥取県でした。鳥取県は全国で最も人口が少なく(約57万人、ちなみに2番目に少ないのが隣の島根県)、スタバ進出が遅れる理由の1つになったと言われていました。



しかし、2015年5月、遂に鳥取県1号店をオープンし、全国47都道府県での店舗展開となったのです。



スターバックスコーヒーの鳥取県1号店



自虐ユーモアで我が道を行く「スナバ」、スタバとの戦いは続く?

■「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」



鳥取県にスタバが1店舗もないということは、鳥取県民にとっても残念なことだったと推察されます。現在、任期3期目に入った平井信治知事は、2012年9月のインターネットテレビ放送で「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」と語り、大きな話題となりました。



もう説明不要かと思いますが、鳥取市にある日本最大の砂丘を“砂場=スナバ”としたものです。



平井知事はダジャレが好きなようで、鳥取に進出しないスタバを皮肉る形での発言だったようですが、平井知事のダジャレのセンス、かなり高いと思われます。少なくとも、周囲を凍らせるような、いわゆる“オヤジギャグ”とは質が違います。



■平井発言後に誕生した「すなば珈琲」、既に県内で8店舗を展開中



ところが、この話には続きがあります。平井知事の発言にヒントを得たのかどうか定かではありませんが(多分、ヒントを得ています)、何と鳥取市の地元企業が2014年4月に「すなば珈琲」という喫茶店をオープンしたのです(以下「スナバ」)。



しかも、このスナバは単なるシャレで始めたのではないようで、あっという間に県内で8店舗を展開する規模になりました。スナバの本気度が見て取れます。



ちなみに、鳥取県内にはマクドナルドが9店舗、モスバーガーが8店舗、ドトールコーヒーが3店舗あります。8店舗を構えるスナバは、名実共に鳥取県では最大級のファストフードチェーン店と言えましょう。



なお、スナバは大阪・愛知・福岡・東京・宮崎などで地域フェア開催時に期間限定の出店をしていますが、これらは店舗数には入れていません。



■県内のスタバはいつの間にか4店舗に、人口が約2.5倍の山口県と同数!



一方、スナバに遅れること1年強、鳥取県に第1号店をオープンしたスタバは現在、いつの間にか県内に4店舗を構えています。ご存知でしたか?



この店舗数は、鳥取県より人口が約12万人多い隣の島根県(3店舗)を上回っており、同じく人口が約15万人多い高知県、約18万人多い徳島県、約2倍弱の宮崎県、約2.5倍弱の山口県と同じです。



確かに、単純に人口だけで比較するのは意味がないかもしれません。しかし、たった2年間でこの規模に達したことは、十分注目に値します。スタバは鳥取県での事業拡大に本腰を入れている、というのは言い過ぎでしょうか? そして、その背景にはスナバに対する対抗心があると見るのは考え過ぎでしょうか?



■スナバ体験記①:ほぼ満席が続くが、店内は普通の喫茶店



さて、最後にスナバのメニューや店内の様子などを報告します(鳥取駅前店)。筆者が訪れた3日間ともほぼ満席で、店外では席が空くのを待つ人もいました。客層は地元の方々が中心と見られましたが、外国人を含めた観光客も多かったようです。



店内はごく普通の喫茶店で、何か目立った飾りがあるというわけではなかったと記憶しています。コーヒーの味も普通で、正直、特別に美味しいとは感じませんでした(注:筆者の個人的な感想です)。なお、ブレンドコーヒー(Mサイズ)は税込み324円です。



すなば珈琲のブレンドコーヒーと巨大なアイスコーヒー



自虐ユーモアで我が道を行く「スナバ」、スタバとの戦いは続く?

■スナバ体験記②:スナックメニューが充実、巨大なアイスコーヒーは飲み切れず



では、スナバの特徴は何でしょうか?



まず、スナック(食事)メニューの充実です。特に、カレーは多種多様にわたっています。有名な鳥取産「モサエビ」のフライがトッピングされたイカ墨カレーを筆者も食しましたが、なかなかの美味でした。また、残念ながら食する機会はありませんでしたが、特大エビフライドッグなどのサンドイッチ類も看板メニューのようです。



そして、筆者が何気なく頼んだアイスコーヒー(1サイズのみ、税込み432円)は、スタバのベンティサイズほどの巨大さで、飲み切ることができませんでした。



また、スタンプカードが用意されており、県内8店舗全てを制覇するともらえる「すなば特製マグカップ」が魅力的でした。しかし、観光客など県外の人にとっては極めて高いハードルと言わざるを得ません。



「モサエビ」のフライがトッピングされたイカ墨カレー



自虐ユーモアで我が道を行く「スナバ」、スタバとの戦いは続く?

■ユーモアセンス溢れる広告宣伝は特筆すべき内容



さらに、スナバはユーモアセンス溢れる企画や宣伝も行っており、ホームページでは『黒船襲来で大ピンチキャンペーン』なるものも展開しています(既に終了)。この「黒船」がスタバを指すことは説明不要でしょう。



その他にも自虐的な宣伝を始めとした色々ユニークな企画もありますので、スナバのサイト( http://www.sunaba.coffee/ )は一度覗く価値があります。そして、その企画の多くが、前述したようなスタバを意識した内容になっています。



■スタバ1号店も大繁盛、スタバvs.スナバの"因縁の戦い"は続く?



一方、鳥取駅の反対側にオープンしたスタバ1号店も大繁盛でした。特に、テラス席は家族連れや学生で一杯になっており、スナバでは味わえない雰囲気があります。



両者ともに、とりわけ、スナバが意識していそうな“因縁の戦い”であるスタバvsスナバ、これからも注目しましょう。鳥取に行く機会がある方は、ぜひとも両店を訪問してほしいと思います。



編集部おすすめ