■【就活企業研究シリーズ】企業業績、従業員数、給与と最近の株価



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3月に入り、2020年卒業の大学生による就職活動についての話題を耳にするようになってきました。業界研究や企業研究に時間をかけているという学生も多いのではないでしょうか。



シリーズでお伝えしている「就活企業研究シリーズ」。今回はその中でも慶應義塾大学理工学部の卒業生が就職する就職先人数が上位企業ランキング及びその一部上場企業について、有価証券報告書をもとに過去5年間の業績動向、従業員数、年間平均給与や最近1年間の株価動向について見ていきましょう。



■慶應義塾大学理工学部の卒業生が就職する上位企業ランキング



慶應義塾大学が発表した2018年4月現在の同大学理工学部を卒業した上位就職先は以下の通りです。



  • キヤノン:8人(4人)
  • 新日鉄住金ソリューションズ:8人(4人)
  • 三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行):5人(1人)
  • 東京海上日動火災保険:4人(2人)
  • NTTドコモ:3人(3人)
  • エヌ・ティ・ティ・データ:3人(2人)
  • キーエンス:3人(1人)
  • トヨタ自動車:3人(1人)
  • ベイカレント・コンサルティング:3人(0人)
  • 日本航空:3人(1人)

※カッコ内は女子で内数



理工学部なので多くは大学院に進学しますが、194名の就職者のうち、3人以上の就職者がいる企業が先に示した通りとなります。



■就職先企業の業績、従業員数、給与と最近の株価



さて、上位就職先企業について、特徴的な企業の業績動向や従業員数、給与とともに最近の株価を見ていきましょう。



大学に入学する際には自分が勉強したいことがさらにできる大学、また自分の学力や偏差値にあった学校を選ぶというのは熱心に誰もがしてきたかと思います。



一方で、高校生の段階で「大学卒業後にどの企業に就職しているのか」というところまでは気が回らないと思います。ただ、大学を卒業して就職する企業を事前に知っておくというのはよいのではないでしょうか。



新日鉄住金ソリューションズ

同社の過去5年の業績動向を見ていきましょう。



まず、経常利益を見ると、120億円台から230億円台のレンジで推移しています。直近2年間は200億円台となっており、2017年3月期に221億円、2018年3月期は231億円となっています。



また、投資家が注目する当期純利益(親会社株主に帰属する)は70億円台から140億円台で推移しています。



では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。



連結の従業員数は6232人。また、単体の従業員数は2899人。単体の年間平均給与は837万円で、平均年齢は39.4歳。ちなみに、単体の経常利益を従業員数で割ると一人当たり経常利益は610万円となります。



最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。



過去1年の株価を見ると、一言でいえばレンジ内での推移といえます。1年前は3000円を下回る水準でしたが、夏以降は3500万円を上回る展開となりました。しかし、その後年末にかけて株価は下落。一時は2500円を割れる状況となりました。現在は3000円水準となっています。



NTTドコモ

まず、法人税等及び持分法による投資損益前(損失)前利益をみると、6000億から1兆円の間で推移しています。

もっとも2018年3月期は1兆966億円と、1兆円を超えています。



また、投資家が注目する当期純利益(当社に帰属する)は4000億から7000億円台で推移しています。過去5年で見れば概ね増益傾向です。2018年3月期は7445億円となっています。



では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。



連結の従業員数は2万7464人。単体の従業員数は7767人。単体の平均年間給与は873万円で、平均年齢は40.2歳。ちなみに、単体の経常利益を従業員数で割ると、一人当たり経常利益は1億2480万円となります。この生産性の数字には驚かれる方も多いのではないでしょうか。



最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。



昨年は国からの携帯電話料金に関する指摘などもあり、秋に急落。

それ以降は横ばいが続いている状況です。一時は2400円を割るシーンもありましたが、その後は持ち直し、現在は2500円台での推移となっています。



■まとめにかえて



ここでお示ししたランキングや企業が必ずしも学生の人気ランキング順というわけではありません。



積極的に採用する企業が結果として上位就職先企業となっている側面もあります。ただ、学生が就職を希望しないことには最終的には就職先にはなりません。その観点からも、採用側の企業と大学生の需要と供給が一致した結果といえるでしょう。



また、注意すべきは連結従業員数と単体従業員数の違いです。たとえば、連結子会社が多い企業は一見すると従業員数が多く見えます。自分がどの会社に応募をしようとしているのかは改めて注意するのが良いでしょう。連結での従業員数が多く見えても、自分が応募している企業の従業員数が少ないこともあります。



最後に、企業研究をする際には、今回参考したような有価証券報告書や決算説明会資料なども参考にするとよいでしょう。決算説明会資料はどの投資家にもわかるように説明がされていることも多く、学生にとっても有益な資料といえます。

決算説明会資料はアニュアルレポートほど堅苦しくなく、事業ごとの業績が分かりやすい資料といえます。



【参考文献】

慶應義塾大学「慶應義塾大学 2017年度 上位就職先企業(3名以上上位20社)」( http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf )



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