昨年(2021年)12月から、楽天証券のスマートフォン向けトレーディングアプリ「iSPEED」でも、「アルゴ注文」が使えるようになりました。前回、アルゴ注文の1つであるトレイリング注文について記事を掲載しました。
今回は「IFO注文」について見ていきたいと思います。
IFO注文とは、新規の注文に加え、利益確定と損切りの注文をセットで出す注文方法です。「〇〇円で買って、思惑通り△△円まで上昇したら利益確定、反対に□□円まで下落したら損切りしたい」といった具合に、3つの注文をまとめて1回で発注します。
一度発注してしまえば、あとの取引は条件を満たせば自動で行ってくれるので、専業トレーダーのように、頻繁に取引画面を確認できない投資家にとってはかなり便利な注文と言えます。とはいえ、「IFO注文を使っても、思ったように利益が上がらない」というケースは珍しくなく、IFO注文の便利さを生かすにはコツや工夫が必要でもあります。
<IFO注文とは?>
そもそもIFO注文とは、「IFD注文」と「OCO注文」と呼ばれる注文の組み合わせでできています。似たようなアルファベット3文字が並び、ややこしくなりそうですが、本題に入る前に、まずはIFO注文の仕組みについて整理します。
基本となるのは「IFD注文」です。「If done(イフダン)注文」とも呼ばれています。
「もし(If)、新規注文が約定したら、指定した条件で反対売買の注文を発注する」というもので、いわば新規と反対売買のセット注文です。ただし、反対売買の注文は、利益確定と損切りのどちらか一方しか選べません。
そこで登場するのが「OCO注文」になります。
つまり、IFO注文はIFD注文とOCO注文それぞれの「いいとこ取り」をした発注方法というわけです。
■(図1)IFO注文の仕組み

<IFO注文のメリットとデメリット>
IFO注文の最大の特徴は、「注文をまとめて発注できる」という点にあります。これによって、冒頭でも触れたように、常に市場の動きを注視することなく、注文の手間を省くことができるほか、損失を限定できるといったメリットがあります。
また、あらかじめ設定した条件で新規注文から反対売買注文まで自動的に執行してくれるので、自身の気分やメンタルに振り回されず、冷静に取引できるといった心理的な効果もありそうです。
その一方、IFO注文のデメリットについてはメリットの裏返しの面があります。これまで見てきたように、IFO注文を発注するには、現物買いであれば、買い付け価格・利益確定価格・損切り価格の3つを発注時に設定する必要があり、ある程度の株価シナリオを描けていないと、「じゃあ、いくらに設定すれば良いの?」という問題にぶつかります。
また、自動で注文を執行してくれるとはいえ、最初の買い注文が約定しないと、次の取引注文自体が発注されないことになります。
そのほか、利益確定の注文が執行・約定した後も株価が上昇し、利益を伸ばせないというケースもあり、特に強いトレンドが出た時には歯がゆい思いをすることになります。そのため、レンジ相場など、ある程度の範囲内での値動きや、トレンド発生中の一時的な修正のタイミングといった場面でIFO注文は使えそうです。
また、トレンドの発生で利益を伸ばしたいのであれば、IFO注文ではなく、IFD注文の損切りだけを設定してあえて利益を確定させない発注や、トレイリング注文を組み合わせてトレンドに乗るなどの方法もあります。
また、実際に楽天証券で現物買いのIFO注文を発注するには、「注文」をタップし、「現物買い→現売り(IFD)」の順で選択します。
■(図2)楽天証券iSPEEDの注文画面

すると、上の図2のように、専用の注文画面が表示されます。画面の上部が新規注文を入力する箇所、下部が反対売買注文を入力する箇所になります。反対売買の入力画面には、「利益確定のIFD」、「損切りのIFD」、「IFO(利益確定+損切り)」、「トレイリング」の順でボタンが並んでおり、発注したい注文の種類を選びます。
なお、新規注文の入力画面には「通常注文」、「逆指値付通常注文」、「逆指値注文」があり、その中から選ぶことができます。
利益確定と損切りの注文をセットで出す「IFO注文」知っておきたい「ホント」の使い方と注意点 ▶ (1)IFO注文とは? (2)IFO注文の発注例
(土信田 雅之)