日本株の急落が止まらない。3日の日経平均株価は一時3万4,100円台をつけ、8カ月ぶりの低水準となった。

トランプ米大統領による貿易相手国への「相互関税」や自動車関税を巡って経済悪化が懸念され、投資家心理を冷え込ませている。関税の影響や日経平均の動向について、楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之に聞いた。


【急落】日経平均一時3万4,100円台、自動車関税の影響は?...の画像はこちら >>

日経平均、一時3万4,100円台

 日本株の急落が止まらない。3日の日経平均株価は一時3万4,100円台をつけ、8カ月ぶりの低水準となった。トランプ米大統領が公表した貿易相手国への「相互関税」の内容が想定よりも厳しかったことで、経済悪化を懸念した売りが広がった。同日発動した自動車関税の影響も、投資家心理の重荷となっている。


 3日の日経平均は大幅反落して始まった。前日からの下げ幅は一時1,600円を超え、3万4,100円台まで下落。取引時間中として3万5,000円を割り込んだのは、歴史的な大暴落となった2024年8月以来8カ月ぶり。その後は買い戻しが入り、午前終値は3万4,673円だった。


 日本株は全面安の展開。業績悪化が警戒された自動車株では、トヨタ自動車、ホンダ、マツダなどが年初来安値を更新した。


 為替は1ドル=150円台前半から146円台後半まで円高方向に進んでいる。

リスク回避のため円を買う動きが強まった。


想定以上の「相互関税」、貿易戦争に警戒感

 「想定以上に厳しい内容だ」(楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト窪田真之)。相互関税の発表を受け、世界経済や企業業績の悪化は避けられないとの不安が広がり、投資家心理を一気に冷え込ませた。


 トランプ氏の公表によると、米国は各国・地域に基本税率10%をかけた上で、国・地域によってそれぞれ異なる税率で追加関税をかける。日本には合計で24%の追加関税を適用するEU(欧州連合)20%とした。


 発表を受け、中国やEUなど各国政府は対抗措置について相次いで言及。貿易戦争は激しさを増し、先行きへの警戒感が高まっている。


自動車関税、トヨタへの影響は?

 相互関税に加えて注目を集めているのが、同日発動された自動車関税だ。米国に輸入される完成車や、エンジン、トランスミッション(変速機)などの基幹部品に25%の追加関税を新たにかける。


 自動車産業を代表するトヨタ自動車に与える影響について、窪田は「楽観的にみれば、短期的には影響を受けるが、長期的には克服していけるだろう」と述べた。トヨタのお家芸である原価低減で収益改善が期待できるほか、同社が長年をかけて米国内で生産体制を整えてきたことから、機動的に増産対応できるとみている。


 トランプ関税は、米国の自動車産業にとっても「もろ刃のつるぎ」となる。米国では高価格帯の大型SUV(多目的スポーツ車)が主流だが、関税措置で自動車の販売価格が上がれば、低価格帯の日本車に消費がシフトする可能性があるためだ。「最大の犠牲者は、メキシコで多くの部品を生産している米ゼネラル・モーターズかもしれない」(窪田)との見方もある。


関税修正に期待、「日経平均は4~6月に底をつけて反発の可能性も」

 今後の日経平均の動きについて、窪田は「4~6月に底をつけて反発する」とみている。トランプ関税は米国消費者や米国農業にも大きな影響があることから、「トランプ氏の支持者からも反発があれば関税政策を緩和する方向で見直しする可能性もある」と指摘。「世界株安は避けられないが、行き過ぎた政策の修正が入れば、日経平均も反発し戻ってくるだろう」との考えを示した。


関連動画: 【速報】4/3 相互関税・自動車関税が日本直撃。日本の自動車産業の未来はどうなる?(窪田 真之)【楽天証券 トウシル】


関連記事: 日本に相互関税24%。自動車関税の影響:楽観論と悲観論(窪田真之)


 


(トウシル編集チーム)

編集部おすすめ