トランプ関税を受け、米国株、日本株ともに大幅に下落している。4日の日経平均株価終値は3万3,780円と、節目の3万4,000円を下回った。

このまま下落するのか、反発するのか。米国株と日本株の下値メドを考える上で注目したいポイントについて、楽天証券経済研究所の土信田雅之に聞いた。


トランプ関税ショックで世界株安、円高加速。米国株と日本株の下...の画像はこちら >>

 トランプ関税を受け、世界の株式市場に動揺が広がっている。3日のニューヨーク株式市場でナスダック総合指数は5.9%安となるなど大幅下落。4日の日経平均株価終値は、前日比955円(2.8%)安の3万3,780円だった。取引時間中の下げ幅は、一時1,400円を超えた。


 節目の3万4,000円を下回り、このまま下落するのか、反発するのか。米国株と日本株の下値メドを考える上で注目したいポイントについて、楽天証券経済研究所の土信田雅之に聞いた。


※以下のインタビューと動画収録は4日午前9時30分に実施した。


関連動画: 【速報】4/4 トランプ相互関税。貿易戦争の始まり?~世界株安、円高加速、これからどうなる?~(土信田 雅之)【楽天証券 トウシル】  


日経平均3万4,000円割れ、今後の注目点は

__トランプ関税の発表を受け、日経平均は3日3万4,000円台まで下落。4日は続落している。株式市場の動きをどのようにみている。

「トランプ関税の影響で株価が下がった」というシンプルなものだが、だからこそ今下がっている売りの中身に注目する必要がある。


 相互関税の発表前、日経平均は材料出尽くしで反発するとの市場予想が多かったが、ふたを開けてみれば相互関税の内容が厳し過ぎたために、買いが振り落とされて下落した。昨日、米国株が大幅下落したのも同じ理由だ。


 4日午前の段階では3万4,000円の節目水準を意識した展開で、「下げが下げを呼ぶ」ことにはなっていない。


__今後注目したい点は。

 目先の展開としては、景気減速の不安を織り込む売りがポイントになる。今日の夜は雇用統計、来週はCPI(消費者物価指数)、再来週には小売売上高の発表があるほか、今月中旬からは企業決算の発表が本格化する。


 こうした経済指数や企業の業績見通しに注目して、織り込んでいた景気悪化不安が現実のものになるのかどうかを答え合わせする段階に入ってくる。日経平均が3万4,000円からもう一段階下がるのか、反発していくかの分かれ目になるだろう。


 このほか、短期的には先物を中心に振り幅を大きくする売買がでてくるかに注目だ。また、政策変更を促す「催促相場」で株が売られる展開になるのかも注目したいポイントだ。


__トランプ関税は貿易相手国へのものだが、米国株が大幅下落している。
3日のニューヨーク株式市場で、NYダウは3.9%安、S&P500が4.8%安、ナスダックは5.9%安と、特にナスダックの下げ幅が大きい。

 ナスダックはテック株を中心とした成長期待で買われてきたグロース(成長)株だ。成長を織り込んで株価が上がっていたため、どちらかというと割高な株と言える。景気見通しが悪くなると、割高な分売られやすくなる特徴がある。関税政策で世界経済全体が縮小すれば、ナスダックの下げはきつくなる。


 また、米アップルのように自社工場を持たずに製造を海外に委託している企業は、関税政策の影響を大きく受ける。全体的なコスト増でテック株は売られやすい。


__ドル/円相場は1ドル=145円台まで上昇した。円高が進行している理由は。

 景気後退を織り込む形で米国10年債利回りが下がり、日米金利差が縮小して円高が進行している。これがトレンドとして続くかに関して、現時点では微妙だと考えている。


 関税政策によって輸入物価が上がり、米国でインフレが再燃すれば景気が悪くなるが、景気が減速しても金利が下がらない状況が想定される。

日米金利差が縮小しないと円高が止まり、逆に円安に進むかもしれない。為替相場の先行きは読みにくい状況だ。


このまま下落?反発?米国株と日本株の下値メドは

__株式市場は今後、リーマン・ショックのような長い下落トレンドとなるのか。

 現在の株式市場は、景気が悪くなるのではという不安を先取りして下落している。これからは、不安が現実化するのかどうか、さまざまな経済指数や企業の業績を見て答え合わせしていく期間になる。上げ下げの振れ幅をくり返しながらトレンド形成する展開を考えておいた方が良いだろう。


__米国株の今後の展開と下値メドは。

 一般に、直近の高値をつけてから10%下げると調整相場、20%下げると弱気相場といわれる。


 NYダウの週足チャートを見ると、高値から10%下げた調整相場は4万500ドル、20%下げた弱気相場は3万6,000ドルだ。3日の株価は調整局面入りといわれる10%安のラインで止まっている。景気減速を織り込むと、20%安をトライする動きになる。目先の株価の下げ止まりのメドは4万ドル割れのあたりと思われる。


 S&P500種指数も10%安から下離れしており、20%安の5,000ポイントあたりまでの下落は想定しておく必要がある。


 一方、ナスダックの弱さはチャートからも感じ取れる。10%安を下抜けて、一度回復しかかったが再び下げている。20%安の1万6,000ポイントあたりをトライしようとしており、ここを割れるかが目先の焦点になる。


__日経平均の今後の展開と下値メドは。

 日足チャートで見ると、高値から10%安が3万8,000円超あたり。現時点で20%安の3万4,000円割れのところにタッチしている。弱気相場が本格化するかは、3万4,000円を維持できるかがポイントになるだろう。反発していけば良いが、ギリギリのところ。株価が下振れた場合は、3万3,000~3万2,000円のレンジ(幅)になるだろう。


(トウシル編集チーム)

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