投資家の心理を映す「恐怖指数」が低下しつつあります。まだ楽観するには早すぎますが、トランプ関税に緩和の兆しがあり、世界の株式相場は落ち着きを取り戻し始めています。

日本株を、少しずつ買い増ししていって良いと考えます。


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トランプ関税への恐怖がやや低下

 先週(営業日4月14~18日)の日経平均株価は、1週間で1,144円上昇して、3万4,730円となりました。トランプ関税に緩和の兆しが出たことから、世界不況の不安が低下して、買い戻しが増えました。


日経平均週足:2024年1月4日~2025年4月18日
日本株「買い」継続!トランプ関税への恐怖が低下(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより作成

 投資家の心理の変化は、恐怖指数といわれる指数の動きに表れています。「日本版恐怖指数」といわれる「日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)」は低下し、トランプ関税に対する恐怖がピークアウトしつつあることが分かります。


日経平均と日経平均VI
日本株「買い」継続!トランプ関税への恐怖が低下(窪田真之)
出所:QUICK、©日本経済新聞社、楽天証券経済研究所が作成

 テクニカル分析で見て、少し、底入れの兆しが出ています。ただ、予断は許しません。トランプ関税の緩和が期待通り進まないと、また恐怖が高まる可能性もあります。ただし、今後ゆり戻しがあっても4月7日につけた恐怖指数(日経VI)のピークは、超えないと私は予想しています。


トランプ関税が緩和に向かう五つの兆し

 4月2日に発表された相互関税は、あまりに高い税率かつ広範囲で、このまま実施されたら世界不況になると恐怖が広がりました。それでも、「これは脅しできっと緩和される」という期待があったので、すぐに株は暴落しませんでした。


 その後、トランプ大統領が「予告通り実施」「(世界景気が)調整期に入るのは仕方がない」と発言を続けると、急激に恐怖が高まって世界的に株が暴落しました。そこで4月7日に恐怖指数はピークをつけました。


 その後、トランプ関税に緩和の兆しが出るに従って、恐怖は低下し、株は反発しています。

以下五つが、これまでの日本株の反発につながりました。


【1】4月9日:ベッセント財務長官の発表

 中国を除き、相互関税の上乗せ分は90日延期(全ての国に適用される10%関税は維持)。


【2】4月11日:米国税関・国境取締局(CBP)通達

 米国が中国から輸入しているハイテク製品【注】は、当面相互関税の適用外に。


 ただし、13日には、ラトニック米商務長官が、「ハイテク製品は1~2カ月後に発表される半導体関連関税の対象となる」と発表。25%くらいの関税がかけられるリスクがありますが、とりあえず145%関税から除外されたことは朗報と言えます。


【注】相互関税の適用外となった主なハイテク関連製品
スマホ(iPhoneなど)・PC・PC部品・SSD(PCなどに使われるストレージ)・モニター・フラットパネルディスプレー・半導体製造装置・半導体素子(ダイオード・トランジスタなど)


【3】4月14日:トランプ大統領が自動車産業の支援策検討

 GM・フォードの陳情を受けて、メキシコ・カナダからの輸入にかかる、自動車関税の延期・減免を検討すると発表。


【4】4月17日:赤沢経済再生大臣が渡米してトランプ大統領と面談

 赤沢亮正大臣が関税交渉のために渡米。面談後、トランプ大統領・ベッセント財務長官が「有益な進展があった」と発表。日米交渉が成功して日本に対する上乗せ関税が解除される期待が高まりました。


【5】4月17日:トランプ大統領の記者会見での発言

 対中関税率の引き下げに向けて、中国と交渉を開始する意思があることを示唆。「習近平(シー・ジンピン)国家主席と非常に良い関係にあり、それは続くだろう。彼らは何度も接触してきた」と語りました。


 まだ楽観するには早すぎます。特に、米中交渉が良い方向に進む見通しは全くたちません。それでも、日本株は割安水準へ低下していると判断していますので、少しずつ買い増ししていく方針で良いと思います。


2025年の日経平均予想を振り返り

 年初のレポートで、「トランプ・リスクへの警戒が必要」とお伝えしました。


2025年1月6日: トランプ・リスク警戒!シートベルトゆるんでいませんか?(窪田真之)


 このレポートで以下の通り、お伝えしました。


「私は、2025年の日経平均は『前半、トランプ次期政権への不安で売られるが、後半に上昇して高値を更新する』と予想しています。」


 2月25日のレポートでは、以下の通り、短期的な下値リスクに警鐘を鳴らしました。


2025年2月25日: 日経平均は目先下値トライも。日本にインフレ・ショック、トランプ関税不安続く(窪田真之)


 4月に入ってからは、日経平均が下がる中で、日本株の買い増しを推奨しています。


2025年4月8日: 日経平均急落、今こそ「ダウの犬」!利回り4.5%の高配当株ポートフォリオに投資(窪田真之)
2025年4月10日: 日本株「良い買い場」!改めて強調!相互関税上乗せ、中国除き90日停止発表(窪田真之)


 年後半にかけて、私は、日本株の買い増し推奨を続けるつもりです。まだ、急落・急騰を繰り返しそうですが、それでも長期的に上昇余地の大きいと考えている日本株が、安くなっている時にリスク管理しながら買い増ししていくことの大切さを伝えていきたいと思っています。


(窪田 真之)

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