週明けのFX市場のドル/円は、米国の信用格付けを最上位から引き下げられたことでドル売りが進行し、ドル/円は一時1ドル=144円台後半まで下落しました。5月のレンジの中心値は145.50円。

この水準を短期間で回復できなければ、1ドル=143円を目指して円高が進む可能性があります。


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは145.45下値メドは144.45円

AIエージェントとは:人が設定した目標に対して、必要なデータを収集し、そのデータに基づいて自己決定タスクを決定しながら目標を達成するためのプログラム。目標は人間が決めるが、その目標を達成するために必要なアクションはAIエージェントが自律的に選択する
中国:実質的元安で輸出攻勢。新興国諸国にデフレ圧力
ドル安:下半期にドル安トレンドに転換の予想
トランプ関税:毎月2~5%の段階的導入を検討。インフレ上昇回避と取引材料に使うため
トランプ関税:米国貿易赤字の8割は対新興国諸国。


前日の市況

 5月19日(月曜)のドル/円相場の終値は144.87円。前日終値比0.76円の「円高」だった。


 ムーディーズが先週末に、米国の信用格付けを最上位「Aaa」から引き下げたことがドルの頭を重くした。格下げの理由は、米国の財政赤字の拡大と金利負担の急増。


 トランプ大統領の政策では持続的な債務削減は難しく、政府効率化省(DOGE)による人減らしは赤字削減に貢献していないというのが、格付け会社の分析のようだ。


ドル/円5日続落。「私はドルを買ったことはありません」
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2025年99営業日目は145.45円からスタート。この日の高値は始値とほぼ同じ145.46円で、夕方には先週末の安値(144.91円)を抜けて、144.66円まで円高に動いた。ただ米国格下げに対するマーケットの反応は限定的で、その後は145円をはさんだもみ合いとなった。24時間のレンジ幅は0.80円。


 今週開かれるG7財務相・中央銀行総裁会議では日米間の為替協議が検討される可能性があり、円安是正への警戒感が強まっている。


 米国と距離を置き始めている欧州連合(EU)と英国は、ブレグジット後初めての公式な首脳会談を開き、安保協定を締結した。これが米国の格下げニュースと相まってユーロ高に動くきっかけとなった。ただ、協定は市場の再統合を目指すほど踏み込んだ内容ではなかったため、上昇は続かなかった。


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2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング Valerie

今日の一言

増えた体重を減らすより、適正体重を保つほうがずっと簡単である。


Valerie

 トランプ大統領の関税政策は、米国経済にどのような影響を与えるのだろうか。エコノミストの多くは、トランプ関税は米国のインフレを大幅に悪化させると考えている。ところが意外にも、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレへの影響はそれほど大きくないと分析している。


 FRBは、トランプ関税とその影響について二つのシナリオを用意している。第1のシナリオは、現在の25%程度の高い関税が長期間続くというもの。もう一つは、交渉によって関税が最終的に10%程度まで引き下げられるケースだ。


シナリオ1:高率関税(25%)継続

 このシナリオでFRBは、高率関税のインフレへの影響は一時的であり、来年の消費者物価指数(CPI)は1.5%から2.0%の上昇にとどまると予測している。インフレで需要後退が起きるが、競争圧力による価格抑制をもたらすため、著しくインフレ上昇することはないと考えている。


 その一方で、景気減速が深刻になり、失業率が急上昇する可能性を指摘し、米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を、より早く、より大幅に引き下げることを検討するとしている。


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シナリオ2:低率関税(10%)妥結

 トランプ関税が低率でおさまった場合、インフレへの影響は大幅に小さくなる。この場合、CPIは最大で0.5%程度の上昇にとどまるだろうとFRBは予測している。関税による経済成長や雇用へのマイナス影響は避けられないものの、限定的な範囲にとどまる。インフレ期待は安定し、雇用や消費活動は継続する可能性が高い。


 このシナリオでは、FOMCによる政策対応は限定的で済むと考えられる。昨年の予防的利下げのおかげでFRBには検討する時間が確保されており、政策の方向性が大きく変わる可能性は低い。


 しかし、本当に重要なことは最終的な関税率が25%か10%かよりも、「引き下げ速度」だ。関税率が20%から25%範囲にとどまる期間が長ければ長いほど、米国がリセッションに陥るリスクが上昇する。


 とはいえ、あまりにも早く関税率を下げると、今度は米国が自らの関税に耐えられないことが見透かされてしまう。トランプ大統領の強硬な関税政策は、たとえ政治的に勝利しても、経済的には大敗すると予想するエコノミストは多い。


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今週の注目経済指標

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タイムゾーン 分析

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(荒地 潤)

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