自由に楽しい人生を選ぶために、ファイナンシャル・ウェルビーイングでライフプランの見直しを

2025年06月03日(火)17:30

自由に楽しい人生を選ぶために、ファイナンシャル・ウェルビーイングでライフプランの見直しを

　お金と上手に向き合い、経済的に良好な状態にある「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現できると、人生において幅広い選択肢を持てるようになります。今回はファイナンシャル・ウェルビーイングの一つの要素である、現在の選択の自由度についてご説明します。

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ファイナンシャル・ウェルビーイングとは？

　ファイナンシャル・ウェルビーイングとは、経済的に良好な状態、具体的には「当面の支払いを着実に行うことができ、将来のお金について安心しており、人生を楽しむためにお金の面で幅広い選択ができる状態」（米国消費者金融保護局）とされています。

　ファイナンシャル・ウェルビーイングという考え方については、これまで以下の記事でご説明してきました。

幸せな人生のため、お金と上手に向き合う「ファイナンシャル・ウェルビーイング」とは？
資産が多くても幸せとは限らない？「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現している人の特徴
経済的に良好な状態とは？「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現する四つのポイント

　今回はファイナンシャル・ウェルビーイングを実現していくために、「現在」と「将来」、「安心感」と「選択の自由度」という、次のような2×2のマトリクスで考えていく実践的な方法についてご説明します。

出所：「Financial well-being: The goal of financial education」（Consumer Financial Protection Bureau /消費者金融保護局, January 2015）をもとに、筆者訳。赤字は筆者追記

　今回はこの四つのポイントのうち、左下の「選択肢」について、つまり、日々の生活において、幅広い選択の自由度を持っておくことについてご説明します。

今の自分を優先するか、将来の自分を優先するか

　一般的に現役世代の人であれば働いて収入を得ることで生活しています。毎月の収入から一部を現在の生活費として使い、残りを将来に使うお金として貯蓄・資産形成にまわしているはずです。

収入の内訳

　よく「手取り収入の1～2割を資産形成にまわしましょう」などと言われますが、その場合、8～9割を現在の自分（家族）のために使い、残り1～2割を将来の自分（家族）のためにとっておく、という選択をしていることになります。

　今の生活を最大限充実させたければほぼ全額を使い切ってしまう、つまり「宵越しの銭は持たない」ことになりますし、いわゆるFIRE（Financial Independence, Retire Early）を目指したい場合は手取り収入のうち半分以上を将来に向けた資産形成にまわす、といった選択をされている人もいるでしょう。

　今の自分を優先するか、将来の自分を優先するか、これに万人に共通の正解というものはなく、一人一人のライフプラン、生き方、価値観に応じて決めていくことになります。

「現在」の「選択の自由度」を持てるとは？

　マトリクス左下の「現在」の「選択の自由度」を持てる状況というのは具体的にどのような状況でしょうか。

　一つの考え方として、ニーズ（needs）とウォンツ（wants）があります。ニーズは生きていくために必要なもので、典型的には衣食住があります。寒さ、暑さをしのぐために服が、空腹を満たすために食べ物が、雨風から身を守るために住居が必要になりますが、これらの条件を最低限満たすものはニーズといえます。

　一方、ブランド物の洋服や、高級レストランでのディナー、最新設備の広い住居などは、生きていくだけなら必ずしも必要ではないものの、あったらいいな、欲しいなというウォンツです。

　日々の生活に彩りを添えるために、ニーズに加えて、ある程度のウォンツも満たしていくことが必要でしょうし、そういった選択肢を取れるかどうかがファイナンシャル・ウェルビーイングの一つの要素といえます。

ライフプランを見直し、実行していけるか

　現在の選択の自由度の例として、ニーズやウォンツ以外にも、ライフプランを見直し、実行していく選択肢を取ることができるかどうか、といった視点もあります。

　例えば、大学卒業後10年ほど働いてきたが、異なる分野でのキャリアを歩んでいきたいので一度大学に戻って学び直してから再出発したいという方や、現在の仕事は労働時間が長いため週4日勤務の企業に転職し、家族との時間を大切にしたいという方もいらっしゃるでしょう。

　このようにライフプランを見直して実行していくためには、一定の経済的な負担が発生しますから、先立つもの、つまり手元にある程度のお金がなければ実行していくのは容易ではありません。キャリアプランを含む、実現していきたいライフプランを実行に移していけるかどうかも現在の選択の自由度を持てているかということになります。