多角的な収益化戦略を推進、豊富なコンテンツや運営ノウハウが強み

現地コード 銘柄名 01698

騰訊音楽娯楽集団


(テンセント・ミュージック)


株価 情報種類

67.85HKD
(6/2現在)


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 中国の音楽配信最大手、テンセント・ミュージックについて、BOCIは豊富なコンテンツや多様なパートナー関係、強力な運営ノウハウを生かし、すでにビジネスの好循環を実現させたとみている。今後も音楽バリューチェーンに沿ったさまざまな分野への投資を加速させると予想。

有料ユーザー1人当たり月額平均収入(ARPPU)重視型の戦略やサブスク以外の多様な収益化チャネルに裏打ちされたサブスクリプション業務の持続的成長もあり、この先一段の収益化に向けた潜在力を発揮する見通しを示した。年間30%超の配当性向や自社株買い計画にも触れ、同社株価の先行きに強気見通しを継続している。


 同社は長期的には、持続的成長につながる音楽配信のサブスクリプション業務の収益化を最優先課題とする半面、短中期ではARPPUの優先戦略を持続する見込み。値引き率の縮小や「SVIP(超級VIP)」プランの浸透などを背景に、2028年下期にはARPPU15元という中期目標を達成する見通しという。


 音楽配信部門ではサブスクだけでなく、非サブスク業務の収益化も注目ポイント。うち広告収入(BOCIの推計で音楽非サブスク収入のうち広告は5割強)は多様な商品・フォーマットを強みに、着実に成長するとみられる。その他の補完的な収益化モデルは主にプロジェクト型で、例えばデジタルアルバムやサブライセンス、ファンベースチャネル(オフライン・オンラインのライブ、物販など)。同社はまた、投資収益率(ROI)重視の慎重なアプローチを取りつつも、長期的に海外業務の拡大を目指す見通しという。


 同社は最近、Kポップ・エージェンシーである韓国SMエンターテインメント社の株式約220万株を約1億8,000万米ドルで取得。持ち株比率約9.7%の第2位株主となった。SM社とは音楽配信の域を超えて戦略提携し、中国のアイドルグループの共同プロデュースやIPビジネスなどを展開する計画。BOCIは同社が潤沢な手元現金を背景に、今後も長編オーディオやオリジナルなどのコンテンツをはじめ、他社との提携、オフラインパフォーマンス、買収や合併(M&A)など、幅広く投資を加速するとみている。


 BOCIは2025-27年の音楽配信部門の非サブスク収入見通しを2-6%引き上げ、同社全体の予想売上高を1%増額修正した。また、コンテンツの拡充と他社との提携強化によるシナジー効果を反映し、営業費用に関する想定値を下方修正。向こう3年間の調整後1ADS=米預託株式当たり利益(EPADS)に関する予測を2-3%上方修正した。


 また、2025年の音楽配信事業とその他ソーシャルメディア事業の利益比率を8対2と想定した上で、それぞれ同年の予想調整後株価収益率(PER)25.0倍、8.0倍を適用。全体で22.0倍を当てはめ、目標株価を引き上げた。同社の米株、香港株の先行きに対し、いずれも強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、音楽サブスクサービスが不振に陥る可能性や競争激化などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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