米腫瘍学会で「IBI363」治験結果発表、大腸がんやメラノーマ向けに有望
現地コード 銘柄名 01801信達生物製薬
(イノベント・バイオロジックス)
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このほど開かれた2025年「米国臨床腫瘍学会(ASCO)の会合」で、中国の抗体医薬品の創薬ベンチャー、信達生物製薬は自社の新薬候補「IBI363」に関する複数の発表を行った。このIBI363はファーストインクラス(FIC:画期的新薬)となるPD-1/IL-2α BsAb(BsAb=バイスペシフィック抗体)。
このうち、3種以上の抗がん剤治療を行った後も進展している進行性大腸がん患者(3L+ CRC)68人のグループを対象としたIBI363の治験では、全生存期間の中央値(mOS)が16.1カ月と、標準治療の6.4-9.3カ月を大きく上回った。肝転移があるグループ、ないグループともに有望な結果が得られ、mOSは各14.4カ月、17.0カ月。特に後者においては客観的奏功率(cORR:腫瘍が30%以上減少した患者の割合)が31.3%、無増悪生存期間の中央値(mPFS)が7.4カ月に達したという。安全性も管理可能なレベルで、グレード3以上の有害事象の発現率は単剤療法で27.9%、併用で35.6%だった。
2種以上の治療の効果が見られなかった粘膜メラノーマ患者に対するIBI363の治験では、患者31人のcORRが23.3%、病勢コントロール率(DCR)が76.7%に達した。mPFSは5.7カ月で、過去のPD-1モノクローナル抗体療法の基準値である3カ月未満を超えた。mOSは14.8カ月。有害事象の発現率は29%を超えたが、治療中止事例は1例のみ。非常に厳しい状況にあるこのグループにおいて、良好な安全性プロファイルを示した。
また、免疫療法(IO)の効果が見られない非小細胞性肺がんを適応症とする治験では、136人の患者グループのmPFSは9.3カ月。全生存期間に関するデータは未取得だったが(追跡期間の中央値12カ月)、抗体薬物複合体(ADC)やその他新興療法と比較で良好な結果が得られ、安全性プロファイルも許容範囲内だった。
米国食品医薬品局(FDA)は扁平上皮非小細胞肺がん(sqNSCLC)とメラノーマへの適応において、IBI363に新薬の優先審査指定を付与。中国国家食品薬品監督管理局も同じ二つの適応症について、ブレイクスルーセラピー指定(BTD:開発審査の迅速化)を付与した。同社は2025年下期に、IBI363に関する二つのフェーズ3試験を開始する計画。さらに、初回治療の末端・粘膜メラノーマを適応症に、IBI363とキートルーダ(がん免疫療法の主要な選択肢)を比較する実薬対象試験のフェーズ2が進行中だ。
BOCIはIBI363やその他中核資産による収益貢献を反映させる形で、2025-27年の予想売上高を114億元、142億元、179億元に増額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。
(Bank of China int.)