7月10日(木曜)のドル/円は、終値は前日比0.11円「円高」の146.25円。1日のレンジ幅は1.04円だった。
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 ドルを侮ってもらっては困る!ドル高進行、FRB政策の行方に注目
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは146.90円↓下値メドは145.60円人事評価:ECBスタッフによるラガルド総裁の評価、50%以上が「非常に悪い、あるいは悪い」
トランプ関税:ナショナリズム的政策は経済効率を損なう可能性
NZドル:RBNZ「貿易戦争にはNZ安で対応する」
英利下げ:BOE利下げは8月と11月
前日の市況
7月10日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.11円「円高」の146.25円。1日のレンジ幅は1.04円だった。上下を試したが強い方向感は出なかった。

2025年137営業日目は146.31円からスタート。東京時間昼前に前日の安値(146.25円)を抜けて、145.75円まで下落した。
しかしドル売りは一時的で、夜遅くには146.79円まで上昇した。この日発表された米国の雇用関連の指標が予想より良く、今月会合を開く米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに対してより慎重になるだろうとの見方が強まったことが、ドル買いの理由となった。ただ上値も限定的で、147円台は回復できずに、東京市場の始値よりわずかに円高の水準でこの日の取引を終了した。
多くの米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは、インフレが目標の2%に戻る状況を見極める必要があると指摘していて、現時点では利下げを急ぐ必要性が低いと考えている。
今週のドル/円は、下値を徐々に切り上げているようだ。海外投機家が円ロングのポジションを大きく手じまいした動きとも一致する。短期テクニカル的には、144円台前半とその下の143円台前半にサポートがある。
上値は今週の高値147.19円を突破できるかに注目。この水準を超えると5月の高値水準である148円台後半が視野に入ってくる。利下げが据え置きかで意見が割れている今月末のFOMCを意識しながら、来週の経済指標に注目したい。
レジスタンス:
148.65円 05/12
148.45円 05/13
148.03円 06/23
147.19円 07/09
146.79円 07/10
サポート:
145.75円 07/10
144.22円 07/07
144.18円 07/04
143.44円 07/03
143.32円 07/02
2025年主要指標 終値

今日の為替ウォーキング The Air That I Breathe
今日の一言
結果に執着しないとは、無関心だったり、努力しなかったりということではない。自分の望みがかなうように最善の努力を尽くすことである。その上で、結果にはこだわらず、「あるがまま」を受け入れる。なるようにしかならないのだから。
The Air That I Breathe
米雇用市場の実態は、昔ながらの聞き取り調査に基づいた統計では、正しく把握することが難しくなっている。例えば、新型コロナ流行後の新しい働き方であるフリーランスやギグワーク、あるいは「インフルエンサー」と呼ばれる新しいタイプの職業の人数は(全体から見ると無視できるほど小さいとはいえ、)雇用者数には正確には反映されていない。
求職者はAIを利用することで、手書きの履歴書の時代に比べると、はるかに簡単に多くの求人に応募できるようになった。
最近では労働条件が事実とは異なる「ダミー求人」を出して人集めをする企業も出てきた。これも求人が以前に比べて手軽にできるようになったせいである。この結果、雇用市場の実態以上に求職者数や求人数が多くなる現象が起きている。
重要なのは、毎月の数字よりも労働市場の構造変化のトレンドを見逃さないようにすることだ。「旧手法」のモデルでは新しいトレンドを正しく予測することができないため、速報値と確定値のギャップが大きくなってしまう。短期トレーダーにとっては、予想と結果がずれるほど相場が動くので悪いことではない。
しかし、一国の金融政策を決める中央銀行がこのような信頼性の低いデータに頼っていることは重大な問題を生む。米国経済が誤った方向へ進むリスクが高くなるからだ。FRBの金融政策は、米国だけではなく、世界の金融市場にも影響を与える。最近では多くの中央銀行が、最近の米指標の「質の低下」に懸念を示している。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)