テーマパーク運営の大連聖亜旅遊を傘下に、株価急落は過剰反応か

現地コード 銘柄名 00780

同程旅行


(トンチョン・トラベル・ホールディングス)


株価 情報種類

20.35HKD
(7/30現在)


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 上海A株上場のテーマパーク運営会社、大連聖亜旅遊控股(600593)は7月28日、有力オンライン旅行会社の同程旅行に対し、新株3,864万株を割り当てると発表した。これにより、同程旅行は支配株主となり、大連聖亜旅遊の連結化が可能となる。

BOCIはこの取引が同程旅行の既存事業に長期のシナジー効果をもたらす可能性を指摘しつつも、利益率の低下や減損リスクに言及。また、同程旅行の最近の大型投資2件(うち万達酒店管理(香港)の買収に関する万達酒店発展(00169)との取引は承認待ち)を考慮した場合、企業価値評価に影響する可能性もあるとした。ただ、同程旅行株の急落は市場の過剰反応との見解。目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続している。


 大連聖亜旅遊は28日大引け後、同程旅行に対して新株3,864万株を1株当たり24.75元、総額9億5,630万元で割り当てると発表した。議決権の調整後、同程旅行は大連聖亜旅遊の株式23.08%、議決権の30.88%を握り、支配株主となる運び。BOCIは取引完了に伴い、大連聖亜旅遊を連結子会社化するとみる。


 大連聖亜旅遊は遼寧省大連市と黒竜江省ハルビン市に施設を置くテーマパーク運営会社。この取引前の段階では所有権は分散していたものの、大連市・国有資産監督管理委員会の支配下にあった。2024年の売上高は5億500万元(前年比8%増)で、純損失が7,000万元(前年は純利益3,400万元)。営業外項目を除く調整後純利益は64%減の2,080万元で、純利益率は4.1%だった。東北部に位置する同社は7-9月期の黒字、1-3月期と10-12月期の赤字が常態化しており、事業の季節性が高いという。


 2024年実績に基づく連結化後の影響をみると、同程旅行の売上高は3%上乗せされ、純利益は0.8%目減りする。従って実質的な影響は限定的。財務状況の悪化も考えにくいが、それでも同社株価は正式発表前の取引で前日比10.9%急落した。


 今回の買収について、BOCIはパックツアー運営など既存の観光事業を補完する目的との見方。ただ、大連聖亜旅遊の企業価値を41億4,300万元と評価した買収価格には一部疑念がある上に、将来的な減損に対する懸念もくすぶり、投資家が消化するまでに時間がかかる可能性があるとした。


 また、同程旅行が純粋なオンライン旅行代理店から逸脱し、事業が複雑化することで、利益見通しの明確さが後退する可能性や、低利益率事業への投資の拡大による悪影響、相次ぐ買収による配当への懸念につながる可能性にも言及している。


 BOCIは同社の4-6月期決算の好決算(前年同期比12.6%増収と調整後で14%増益)を予想。2025年通期では大連聖亜旅遊と万達酒店管理の買収による影響を除外し、調整後純利益を前年比20.5%増の3,357億元とする予想を据え置いた。買収完了まで利益見通しを据え置くとして目標株価を維持。同社株価の先行きに強気見通しを継続した。


(Bank of China int.)

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