2025年4-6月期は低調、中国の業務用ビール需要に不確実性も

現地コード 銘柄名 01876

百威亜太控股


(バドワイザーAPAC)


株価 情報種類

8.77HKD
(7/31現在)


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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2025年4-6月期決算(現地通貨建て、以下同じ)は、売上高が前年同期比3.9%減、調整後利払い・税引き・減価償却前利益(EBITDA)が4.5%減だった。中国事業は業界サイクルの軟化により、引き続き減収。

戦略・運営面の調整も影響し、同業他社を下回る販売成績だった。韓国では前倒し出荷の影響で、販売量が前年同期比1桁台後半の減少率。一方のインドは4-6月期も成長軌道を維持した。BOCIは2025-26年の平均予想株価収益率(PER)20倍を当てはめて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを、「中立的」にダウングレードしている。


 4-6月期のビール売上高は前年同期比3.9%減。平均販売価格が2.4%上昇する半面、販売量が6.2%縮小した。調整後EBITDAは4.5%減少し、部門別では中国とインドで構成される「アジア太平洋(APAC)西」が1.4%増、韓国を主力とする「APAC東」が26.5%減だった。全体の粗利益率は51.8%と、0.3ポイント上昇。1ヘクトリットル当たりの単位コストは1.1%増えたが、この分は平均販売価格の1.7%の上昇で吸収した。


 人民元建てでは、中国事業の4-6月期の売上高とノーマライズドEBITDA(非経常要因を除外したEBITDA)は前年同期比6.4%減、4.0%減。1-3月期の12.7%減、17.1%減から下げ幅は縮小したが、引き続き低調だった。経営陣は「バド」というメガブランドとメガプラットフォームを活用した大型プロモーションなどを業績回復につなげる方針。

販路別では家庭用の重要度が増し、上期には家庭用のプレミアムおよびスーパープレミアム製品の売上高と売上構成比が、初めて業務用(外食店)チャネルを上回った。


 BOCIは2025-27年の予想売上高を4-6%減額修正したが、これは主に中国の短期業況見通しの後退を反映させたため。ほかに韓国での販売量の鈍化を考慮した。平均販売価格の安定化などを理由に予想粗利益率を小幅に引き上げながらも、営業費用率の上昇を見込み、ノーマライズドEBITDAと純利益に関する予想を減額修正した。


 バドワイザーAPACは特にハイエンドビール市場で高い知名度と充実した製品ラインを誇る上に、事業規模や採算性でも優位にあり、BOCIは中国の同業銘柄を上回るバリュエーションが妥当との見方。半面、中国ビール業界全体の不確実性として、「外食店でのアルコール消費の抑制につながる最近の政策動向」と「若年層を中心に、ビールの代替品としてフレッシュドリンクの人気が高まっている現状」に言及している。


 レーティング面では下方修正につながる潜在リスク要因としては、競争激化、原材料コストの高騰、中国の外食店需要の予想以上の苦戦、飲酒習慣や嗜好面の不利な変化を指摘。逆に上方修正要因としては、家庭用ビールのプレミアム化の加速、新製品の成功、価格引き上げの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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