8月5日のドル/円相場の終値は、前日比0.50円「円安」の147.56円。1日のレンジ幅は1.24円だった。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは148.15円↓下値メドは146.60円理想と現実:関税が所得や雇用の増加などをもたらすという政治公約と、実体経済の悪化という矛盾
FRB:政策の最優先はインフレ対策。成長が弱まるまで行動しない
トランプ関税:パトロン(えこひいき)的な関税免除の取引は予測不可能で、関税の直接的効果に不確実性をもたらす
米EU関税戦争:EU、米国の銀行やハイテク企業を制限することを検討
米財政:格付け会社ムーディーズ「トランプ政策で米国の財政健全性リスクは高まった」
前日の市況
米雇用統計を境にして、ドルの上値が重くなり始めた。先週末に発表された7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が10万人を下回った。さらに6月と5月の就業者数が修正されて、合わせて26万人近くも減少。米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げ期待は急速に高まっている。
しかし、積極的にドルを売ることをマーケットはまだ迷っているようだ。米国の雇用市場が構造的人手不足であることに変わりはなく、トランプ関税の不確実性がなくなれば、雇用市場はすぐに回復するとの見方もある。FRBは単発のデータよりもトレンドを重視している。9月利下げが決定したわけではない。
8月5日(火曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.50円「円安」の147.56円。1日のレンジ幅は1.24円だった。

2025年155営業日目は147.06円からスタートした。FRBの早期利下げ期待が高まる中で東京市場ではドル売りが優勢。朝に7月25日以来の147円割れとなってこの日の安値となる146.60円をつけた。
しかし、その後は反発。夜遅くになって147.64円まで戻したが、前日(4日)の高値148.09 円には届かなかった。終値ベースでは前日比円安で引けた。
個人投資家 8月の相場見通し
「8月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」
楽天証券が、個人投資家を対象にドル/円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の61%が、ドル/円が「円安/ドル高」に動くと予想していることが分かった。個人投資家の円安予想が円高予想を上回ったのは、2025年になって初めて(注:アンケートは7月米雇用統計発表より前に実施)。

円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは、円安予想が前月から22ポイント増えて、プラス22になった。

ユーロ/円:
ユーロ/円相場の先行きは、個人投資家の67%が、今月のユーロ/円は「円安/ユーロ高」に動くと予想している。円安予想は、2カ月連続で円高予想を上回った。

豪ドル/円:
豪ドル/円相場は、個人投資家の62%が、今月の豪ドル/円は「円安/豪ドル高」に動くと予想している。円安見通しの割合は、今年になって初めて円高見通しを上回った。

2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング You've Lost That Lovin' Feelin'
今日の一言
役に立つものが増え過ぎると、役に立たない者が増え過ぎる
You've Lost That Lovin' Feelin'
7月FOMCレビュー「2名の反逆者」米連邦公開市場委員会(FOMC)は、7月29~30日に開催された会合において、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、4.25~4.50%の範囲に据え置くことを決定した。決定は市場予想通りで、5会合連続の金利据え置きとなった。据え置きの理由としてFOMCは、関税が物価に与える影響がいまだ不透明であることや、雇用市場が堅調なことを掲げている。
ウォラー理事とボウマン副議長の2名は、金利の据え置きに反対票を投じた。FOMCの政策決定において2名の反対者が出たのは1993年以来のことである。
ウォラー理事は、関税が物価に与える影響は一時的だとして、景気減速に先手を打って金利を下げるべきと主張する。ボウマン副議長も、インフレ圧力が物価全体に広がっていないことや、また労働市場の冷え込みを防ぐために利下げを支持している。ウォラー理事は、次期FRB議長候補として名前が挙がっている。

9月以降の見通しとしては、利下げの可能性が高まっているものの、パウエルFRB議長は今後発表される経済指標を確認した上で慎重に判断を下すとして、現時点での利下げの明確な手掛かりは示されなかった。
次回9月のFOMC(2025年9月16~17日)までの間に、雇用統計は1回(9月5日)、消費者物価指数(CPI)は2回(8月12日と9月11日)発表される。
(荒地 潤)