9月1日のドル/円相場は静かな週明けとなった。終値は147.17円で1日のレンジ幅は0.59円だった。

今週は雇用統計をはじめとして米国の重要指標が多く発表される。今週のデータがFRBの政策決定に重大なインパクトを与えることになるだろう。


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは147.70下値メドは146.55

トランプ関税:関税発動を延期しても、行き当たりばったりの政策で成長とインフレにすでに問題発生
FRB:コリンズ理事:関税によるインフレ:利下げを遅らせる
ドル売りセール:米国が従来の市場機能や規範を失って「ドル売り手市場」が発生する可能性
欧州:ECB「欧州のインフレはもう上昇しない。利下げ余地ある」
トランプ・インフレ:不透明さが便乗値上げの素地をつくりやすくしている


前日の市況

 9月1日(月曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.13円「円安」の147.17円。1日のレンジ幅は0.59円だった。NY市場が休場だったため目立った動きは見られず、147円を挟んだレンジ取引となった。


 2025年174営業日目は146.99円からスタート。東京時間昼前に147.38円まで上昇したが、前日の高値(147.41円)に届く前に折り返した。夕方には146.78円まで下落して前日の安値(146.75円)に迫る場面もあったが、すぐに147円台に戻した。


9月大相場の予兆?ドル/円147円で不気味に静か
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 この日の相場は、嵐の前の静けさといった様相だった。マーケットは今週金曜日の米国の雇用統計を警戒していて、それまではポジションを傾けることに慎重になっている。


 今週はそのほかにも製造業米サプライマネジメント協会(ISM)(2日)や雇用動態調査(JOLTS)求人件数(3日)、ADP雇用データ(4日)など重要な米経済指標がめじろ押しだ。今週のデータが9月のドル/円相場の方向を決める可能性もある。


レジスタンス:
148.78円 08/22
148.18円 08/27
147.49円 08/28
147.41円 08/29
147.38円 09/01


サポート:
146.79円 09/01
146.75円 08/29
146.66円 08/28
146.57円 08/22
146.22円 08/14


2025年 主要指標終値

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今日の為替ウォーキング I Just Can't Stop Loving You

今日の一言

心配事の80%は起こらない - ミシガン大学調査


I Just Can't Stop Loving You

 トランプ大統領の関税政策は、米国経済にどのような影響を与えるのだろうか。

エコノミストの多くは、トランプ関税によって米国のインフレは大幅に上昇すると予想しているが、意外にも、米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレへの影響はそれほど大きくないか、あったとしても一時的だと分析している。


 FRBは、トランプ関税とその影響について二つのシナリオを想定している。一つは、現在の25%程度の高い関税が長期間続くシナリオで、もう一つは、交渉によって関税が最終的に10%程度まで引き下げられるシナリオだ。


シナリオ1:高率関税(25%)継続:

 このシナリオでFRBは、高率関税のインフレへの影響は一時的であり、来年の消費者物価指数(CPI)は1.5%から2.0%の上昇にとどまると予測している。インフレで需要後退が起きるが、競争圧力による価格抑制をもたらすため、インフレが著しく上昇することはないとFRBは予測している。


 その一方で、景気減速が深刻になり、失業率が急上昇するリスクは高くなる。米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を、より早く、より大幅に引き下げる可能性があることを指摘している。


シナリオ2:低率関税(10%)妥結:

 トランプ関税が低率で落ち着いた場合、インフレへの影響は大幅に小さくなる。この場合、CPIは最大で0.5%程度の上昇にとどまるだろうとFRBは予測する。関税の経済成長や雇用へのマイナス影響は避けられないものの、限定的な範囲にとどまり、インフレ期待は安定し、雇用や消費活動は継続するとみている。


 このシナリオでは、FOMCによる政策対応は限定的で済む。昨年の予防的利下げのおかげでFRBには検討する時間が確保されており、政策の方向性が大きく変わる可能性は低い。


 しかし、本当に重要なのは最終的な関税率の水準よりも、「引き下げの速度」である。関税率が20%から25%の範囲にとどまる期間が長くなればなるほど、米国がリセッションに陥るリスクが上昇する。


 その半面、あまりにも早く関税率を下げると、米国が自らの関税に耐えられないことがばれてしまう。トランプ大統領の強硬な関税政策は、たとえ政治的に勝利しても、経済的には大敗するとの見方が増えている。


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(荒地 潤)

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