先週の日経平均は5万円に迫る場面もあった一方、米中関係や米企業決算などに左右され、値動きが不安定な一面も覗かせました。今週は、FOMCや日銀会合、日米決算、日米・米中首脳会談など、重要イベントが目白押しです。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【テクニカル分析】今週の株式市場 日経平均「5万円」からの上昇はある?「スピード違反」に注意<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し> 」
先週の振り返り~日経平均は最高値圏で推移も方向感に欠ける展開
先週末24日(金)の日経平均株価は4万9,299円で取引を終えました。前週末終値(4万7,582円)比では1,717円高と上げ幅が大きくなったほか、週間ベースでも上昇に転じています。
<図1>日経平均(5分足)の動き(2025年10月20~24日)
あらためて、先週の日経平均の値動きを日々の推移で追っていきます。週明けの20日(月)は、米国の地方銀行リスクや米中対立への過度な警戒感が後退したことを背景に、日経平均はいわゆる「窓」空けの格好で一段高スタートとなり、一気に4万9,000円台を回復するところまで値を伸ばして行きました。
翌21日(火)には、国内で臨時国会が召集されましたが、首相指名投票を前にした思惑からこの日も買いが先行しました。一時5万円に迫る4万9,945円まで上昇したものの、高市早苗新首相の誕生が決定してからは、材料の「出尽くし感」が広がり、上げ幅が縮小していきました。
週半ばの22日(水)から23日(木)にかけては、米国市場の流れを受けて売りに押される場面が目立ちました。米中関係への警戒に加え、米半導体企業(テキサス・インスツルメンツ)の決算が物足りないと受け止められたことで、米国株市場が下落。
日本株市場でもソフトバンクグループなどをはじめとする値がさハイテク株の下落が目立ち、23日(木)の終値では4万9,000円台を割り込みました。
週末の24日(金)は、米中関係の改善期待が再浮上したほか、米国株市場の取引終了後に発表した米インテルの決算が好感(時間外取引で上昇)されて持ち直しました。日経平均は4万9,000円台を回復、東証株価指数(TOPIX)も最高値を更新して1週間の取引を終えました。
このように、先週の日経平均は高値圏での推移が続いたものの、日々の株価の動きは意外と荒っぽく、不安定さも覗かせる展開でした。
先週の値動きの主なポイントは、米中関係で相場のムードが左右されたことや、高市新首相の誕生後に売られる場面があり、新政権への期待という材料に出尽くし感が出てきたこと、AIをはじめとする米テック系企業の決算の動きに日本株も反応しやすいことなどが挙げられます。
今週は「イベント目白押し」の重要な一週間
そんな中で迎える今週は、10月最終週となるだけでなく、とにかく注目イベントが多い週となり、その動向次第では大きく相場が動く可能性があります。
まず、日米欧の金融政策イベントが集中しています。具体的には、28日(火)~29日(水)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、29日(水)~30日(木)に日本銀行金融政策決定会合が、30日(木)に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されます。
先週末24日(金)に公表された米消費者物価指数(CPI)の結果が市場予想を下回ったことで、今回のFOMCでは0.25%の利下げが確実視される状況となっています。12月開催予定の次回でも追加利下げが行われるかどうかをパウエルFRB議長の会見で見極めて行くことになります。
また、日銀金融政策決定会合では、急激な円安進行などの情勢に変化がない限り、金融政策の「現状維持(政策金利の据え置き)」が優勢と見られています。今後の利上げ姿勢については、会合結果と同時に公表される「展望レポート」の内容や、植田和男日銀総裁の記者会見での発言などがヒントになります。
続いて、先週の相場のムードに影響した政治面でもイベントが控えています。週末31日(金)に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、日米首脳会談が28日(火)に、米中首脳会談が30日(木)に行われます。
日米首脳会談では、高市首相とトランプ大統領の初の会談となりますが、会談を通じて友好ムードが醸し出されるのか、トランプ大統領から防衛費増額など、何らかの要求が出てくるのかが注目され、関連銘柄(防衛、造船、レアアースなど)が反応する可能性があります。
また、米中首脳会談では、会談が実施されること自体が足元の相場の好材料となっているだけに、イベント通過で出尽くし感が出てくることが想定されます。一方、具体的な進捗があれば、さらに市場のリスクオンムードを後押しする可能性があります。
そして、日米で注目企業の決算が相次ぎます。今週からは国内企業も決算発表が本格化し、アドバンテスト(28日)やディスコ(29日)、東京エレクトロン(31日)、レーザーテック(31日)など、国内半導体企業の決算が注目されそうです。
米国でもマイクロソフトやアルファベット(Google)、メタ、アップル、アマゾンといった、「M7(マグニフィセントセブン)」銘柄の決算が集中します。これらの企業の業績やガイダンス(見通し)はもちろん、AIおよびデータセンターへの投資の動向なども含め、日米の株式市場に大きく影響しそうです。
「株価上振れ期待」と「相場の過熱感」と「上昇スピード警戒」
今週の株式市場はこれらのイベントを見極めつつ、さらに上値をトライできるのか、それとも、いったん天井をつけて売りに転じてしまうのかが焦点になります。米国の利下げ姿勢が維持されるほか、日米および米中関係でも進展が見られ、さらに、企業決算や見通しも明るいものが続出するなどの好条件が揃えば、上値を追える可能性もでてきます。
その場合、「5万円超えからどこまで上値を伸ばせそうか?」が気になりますが、先週24日(金)に掲載したレポートで紹介した「値幅観測論」による上値の目標値を日経平均でも当て嵌めてみたいと思います。
2025年10月24日: 米国株市場の上値めどは?CPI、決算控え「勝負の来週」(土信田雅之)
<図2>日経平均(週足)と上値の目標値
今回の値幅観測論で用いる基準は、直近過去において、「移動平均線における上昇のパーフェクト・オーダーが出現する直前の安値」「そこから株価が天井とつけた高値」、そして、「下落のパーフェクト・オーダーが出現し、株価が底打ちした安値」の3点になります。
上の図2で確認すると、2023年1月の安値(2万5,661円)、2024年7月の高値(4万2,426円)、2025年4月の安値(3万0,792円)がその3点に該当します。
これらをベースに、VT計算値、V計算値、N計算値、E計算値を求めていきますが、具体的な株価水準は図4にある通りです。現在、VT計算値とN計算値はすでにクリアしていますので、次の目標はV計算値の5万4,060円となり、さらにその先の目標はE計算値の5万9,191円です。
普通に考えれば、「さすがにそこまでは上昇するのは難しい」となりますが、実は、相場の基調が強い場合、E計算値まであっさり上昇することは珍しくありません。
<図3>日経平均(週足)と上値の目標値 その2
上の図3も、先ほどの図2と同じチャートですが、2023年1月から同年6月を高値とした目標値計算になっています。この時の上昇幅8,111円を元にE計算値を求めると4万1,883円となりますが、2024年7月につけた高値4万2,426円はE計算値を超えていたことが分かります。
とはいえ、実際のところ、図2のE計算値に届くには時間が掛かると思われます。その理由として、「相場の過熱感」と「上昇ピッチのスピード警戒」が挙げられます。
<図4>日経平均(日足)と移動平均線乖離率(2025年10月24日時点)
上の図4は、上段に日経平均(日足)と3本の移動平均線(25日、75日、200日)、下段にそれぞれの移動平均線と株価の乖離率を示しています。先週末24日(金)時点の乖離率は、25日がプラス4.96%、75日がプラス13.19%、200日がプラス23.64%となっています。
前回のレポートでも指摘した通り、株価との乖離率がプラス方向にそれぞれ5%、10%、20%を超えてくると、株価が天井をつける傾向があり、足元の相場は過熱感がある状況と言えます。
▼前回のレポート
【今週の日米株】21日の首相指名選挙、米CPI、テスラ決算発表などに注目
また、株価の上昇スピードが早いことも注意する必要があります。
<図5>日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2025年10月24日時点)
上の図5は2023年1月を起点とした線形回帰トレンドですが、右肩上がりの上昇トレンドが継続する中、先週の日経平均はプラス2σ(シグマ)を超えて推移していることが分かります。
この上昇トレンドが継続していった場合、プラス2σが5万円に到達するのは18週間後、図2のV計算値5万4,060円に到達するのは61週間後となっており、2023年1月を起点とした上昇ペースで見ると、かなり急ピッチの上昇であると言えます。
また、足元の上昇トレンドの起点となった4月7日を起点とする線形回帰トレンドでも確認していきます。
<図6>日経平均(日足)の線形回帰トレンド(2025年10月24日時点)
4月7日以降の日経平均は力強い上昇トレンドを描いていますが、このトレンドが継続した場合、プラス2σが5万台に到達するのが6日後、5万4,000円台に到達するのが45日後となっています。
このままの勢いで5万4,000円を目指して行くのは、週足や日足の上昇ピッチから見ても、かなり「スピード違反気味」であると言えます。
現時点で強気相場を崩す必要はありませんが、いつ株価の調整局面が訪れてもおかしくない事は意識しておいた方が良さそうです。
(土信田 雅之)

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