週明けのドル/円は、米政府機関の閉鎖懸念や、日銀審議員の利上げ前向き発言を背景にドル安/円高が進んだ。終値は先週金曜日に比べて0.90円の円高だった。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは149.45円↓下値メドは148.15円米雇用市場:ウォラー理事「関税の影響は秋に現れる。失業率が急上昇する可能性」
トランプ不況:FRB大幅利下げで景気後退は回避できても、通貨安招きインフレショック引き起こす
IMF:ベッセント財務長官「気候変動やジェンダー問題はIMFの使命ではない」
FRB:過去15年間のFRBの行動は、米政府に本来あるべき金額よりもはるかに多くの借金をさせていた
中国:中国政府、EUとの貿易関係改善に積極的
前日の市況
先週のドル/円は、堅調な米経済指標やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言によって米利下げ確率が低下する中で、一時150円目前まで円安が進んだ。しかし週明けは、米政府機関の閉鎖懸念や、日本銀行審議員の利上げ前向き発言を材料に円安の動きは小休止、ドル売り優勢でスタートした。

2025年194営業日目は149.45円からスタート。この日の高値は、東京時間朝の149.52円。ドル高は限定的だった。日銀審議委員が「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつある」との発言を受けて日銀10月利上げ期待が高まる中で、日経平均株価は続落し、円買いが強まった。
ドル/円は前日の安値(149.41円)を下抜けると夕方には、148.47円までドル安/円高に動いた。ただその後は様子見で148円台後半の小動きとなった。
レジスタンス:
151.31円 03/03
151.21円 03/28
150.92円 08/01
149.96円 09/26
149.52円 09/29
サポート:
148.47円 09/29
147.52円 09/24
147.46円 09/23
147.20円 09/19
146.77円 09/18
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Holding Back The Years
今日の一言
準備をしないということは、失敗のための準備をすることである
Holding Back The Years
今週は9月の米雇用統計が予定されているが、米予算失効により米政府機関が閉鎖された場合には、発表は停止となる。消費者物価指数(CPI)の発表も停止だ。閉鎖による経済的影響は、それが数週間あるいは数カ月間にならない限りは限定的と見られている。
前回8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)はわずか+2.2万人にとどまった。3カ月平均も+2.9万人と鈍化傾向が明らかになっている。
しかし、同日公表した同じFOMCメンバーによる先行き3年間の経済見通し(SEP)は、金利予想に反してはるかに強気の予想だった。

経済成長率を見ると、今年は1.4%と見込んでいるが、来年度は1.6%から1.8%へ、2027年は1.8%から1.9%へ、それぞれ引き上げられた。失業率は今年末に4.5%まで上昇した後、来年は4.4%、さらに4.3%へと低下する。コアインフレ率は、2025年3.1%、2026年2.6%、2027年2.1%と、徐々に低下を見込んでいるが、2年後もFRBの目標2.0%は達成できないようだ。
経済成長は加速、失業率は低下、インフレ率は高止まりという予測をしながら、今年さらに2回利下げするというのは、矛盾があるように思える。
この点に関してパウエルFRB議長は記者会見で、大幅かつ急な金融緩和が必要なほど、経済が悪化しているわけではないが、労働市場が減速しており、FRBがそれ以上の減速を望まないから、マンデートの重点をインフレ(物価安定)から雇用寄りに移したと説明している。
ではインフレは無視していいのかというと、そうではない。パウエル議長は、関税のコストは(輸出業者ではなく)米国の消費者の負担になるだろうと指摘している。
トランプ関税が物価上昇につながる確かなサインが見えているにもかかわらず、利下げに至ったのは、労働市場の減速が今後も続くリスクがある中で、「金融政策の引き締め幅を縮小する」ことが適切であるという判断だ。
パウエル議長は、金融政策を調整する、あるいはしないことが、FRBのマンデートのいずれかに対して簡単に悪影響を及ぼす可能性がある中で、今回の利下げは「リスクコントロール」のために行ったと説明した。
確かに、ドットチャートではFOMCメンバーが米経済に対してかなり悲観的な見通しをもっている印象を与えるが、これは1名の理事が今年に合計1.5%の利下げ(0.5%×3回)を行うべきだと主張しているせいだ。この極端な意見を除けば、FRBは、中立金利か、それをわずかに上回る水準への回帰をガイダンスしているに過ぎない。
今回の利下げは、金融緩和の始まりではなく、やや高すぎる金利を調整するのが目的であるというのがパウエル議長のメッセージである。パウエル議長は「データ次第」の姿勢を維持し、インフレリスクにも引き続き警戒を示している。

(荒地 潤)