楽天証券は、個人投資家向けに日経平均や為替の見通しなどを聞くアンケートを実施しました。日経平均の見通しでは、1カ月先の「強気派」の割合が6割ほどを占めました。
はじめに
今回のアンケート調査は2025年10月27日(月)から29日(水)にかけて実施しました。
アンケートは、約2,900名を超える個人投資家からの回答を頂きました。
10月末の日経平均株価は5万2,411円で取引を終えました。前月末比では7,479円高(16.64%高)と、歴史的な上げ幅になったほか、月間ベースでも7カ月連続で上昇しました。
あらためて10月の値動きを振り返ると、前月末の終値4万4,932円近くの4万5,000円水準をうかがう格好で取引がスタートしました。その後まもなく、自民党総裁選をきっかけとした「高市トレード」が活発となり、4万8,000円台まで株価水準を切り上げていきました。
しばらくはこの株価水準でのもみ合いが続きましたが、その後は高市新政権の発足や、AI相場の再燃と関連企業の決算を好感する動き、米中関係の改善期待、日米金融政策イベントの通過などを通じて強気ムードが加速していきました。月末にかけてはさらに上値を追う格好で、5万円台を超えていく展開となりました。
このような中で行われたアンケートの結果を見ると、日経平均の見通しDIは、前回調査に続いて強気に傾きましたが、その傾向は1カ月先で顕著となりました。また、為替については、円安を想定する見方が強まっています。市場では相場の過熱感を指摘する見方も出てきていますが、堅調な見通しは維持される結果になった印象です。
次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。
日経平均の見通し「過熱感を帯びながらも強気の見通しが続く」
今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がプラス60.44、3カ月先はプラス24.09となりました。
前回調査の結果がそれぞれ+11.45と+18.54でしたので、両者ともにDIの値を大きく伸ばす結果となりました。
とりわけ、1カ月先の値は突出した数字となっていますが、今回の調査期間(2025年10月27日~29日)の日経平均が5万円台に乗せてきたタイミングだったことも影響したと思われます。
とはいえ、目先の見通しがかなり強気に傾いていることに変わりはありません。回答の内訳グラフを見ても、1カ月先の強気派の割合が65.44%なのに対し、弱気派の割合は5.08%となっていて、強気派が弱気派を圧倒している様子が読み取れます。
なお、1カ月先DIの値がここまで大きくなったのは、2024年2月調査の52.40以来です。
当時は、米半導体大手エヌビディアの好決算をきっかけにAI・半導体関連株が大きく上昇し、日経平均もその流れに乗る格好で34年ぶりに最高値を更新していました。
今回の調査についても、AIおよび半導体関連株が相場をけん引している構図は、当時の相場環境と似ている面があります。実際に、10月の日経平均の月間上昇幅(7,508円)のうち、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、フジクラ、レーザーテックのAI・半導体関連5銘柄だけで5,103円も上昇に寄与しています。
一部の銘柄に偏った株価指数の上昇には危うさもないわけではありませんが、3カ月先DIも強気派の割合が30%を超えており、「さすがに足元の株価急騰の勢いは続けるのは難しいものの、中長期的な上昇基調は継続しそう」という見方がうかがえます。
株式市場は11月相場に入り、2025年相場も終盤戦となっていますが、足元では国内企業の決算発表が本格化しています。
こうした国内企業の決算を通じて、AI・半導体関連銘柄以外の業種や企業に買いが入り、物色の対象を拡大することができるかが、株価の上昇基調継続のカギとなりそうです。
このほか、3カ月先DIの堅調さは、「相場が見据えている時間軸が長くなった」ことも意味している可能性があります。
最近の株価上昇について、「株価収益率(PER)などの面から見るとかなり割高」という指摘があります。実際に10月31日時点のPERは前期基準で18.18倍、予想ベースで19.66倍となっていて、12倍から15倍台で推移することが多かった過去と比べると、確かに割高感であると言えます。
また、PERは「株価÷1株当たり利益(EPS)」で計算されますが、10月31日の日経平均終値5万2,411円と、先ほどのPERを用いて、EPSを求めると、前期基準で2,882円、予想ベースで2,665円となっており、実は今期の業績見通しは減益となっています。
それでも、日経平均が5万円を超える上昇を見せているのは、今期よりも来期の業績の急回復を織り込み始めているからと考えられます。もちろん、来期の業績期待を今の段階で織り込むのはやや早過ぎるかもしれず、目先は株価の調整局面が訪れることも想定する必要があります。
今年の春先には、トランプ関税への警戒や米中関係の悪化懸念などの影響によって、相場が見据える時間軸が短かったことを踏まえると、時間軸を長く先取りできるようになった現在の相場地合いは、かなり改善してきたと言えそうです。
為替DI:11月の見通し。個人投資家の相場見通しは円安が多数
楽天証券FXディーリング部
今週からFX・CFDディーリング部が為替DIを担当する。
楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものである。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示す。
「11月のドル/円は、円安、円高、変わらず、のどちらへ動くと予想しますか?」
楽天証券が、個人投資家を対象にドル/円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の46.33%が「ドル高/円安」、34.96%が「変わらず」、18.71%が「ドル安/円高」に動くと予想していることが分かった。
円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは+27.62になった。先月のDI(+2)から大幅に円安予想が増えたことになる。
DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど、円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示す。
円安水準に対する日米双方からの警戒感
米国による年内の利下げの方向感がほぼ確定的な状況が継続している。米国政府機関の閉鎖が第1次トランプ政権下の35日を超える過去最長となり、米国経済指標が公表されないことを理由に米連邦準備制度理事会(FRB)は米国の体温計を見失ったままのかじ取りが迫られている。
日本銀行は10月29日、30日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.5%程度に据え置くことを決定した。足元の消費者物価指数、特に総務省が31日に発表した東京都区部消費者物価指数(コアCPI)が、前年比2.8%上昇し、足元のインフレ基調が急激に高まっていることも確認されている。
ベッセント米財務長官からの度重なる「日銀ナッジ(Nudge:肘でつついて促すこと)」もあり、本邦国内経済状況だけを見れば利上げに動くこと自体に特段の支障がないようにも見受けられる。現時点での12月、1月会合の利上げ確立はそれぞれ五分五分となっている。
一方で、米国をはじめとするグローバルな経済状況に関しては不透明感が強い状況は継続している。
前述のとおり米国の経済指標に関する政府公表は引き続き停止しており、活況で沸く米国株式市場にも、映画「The Big Short」で知られるマイケル・バーリ氏が一部AI銘柄に関して弱気ポジションを開示したことも、現在のトレンドの継続性に一定の疑義を投げかけている。
米国外を見ても、手打ちになったと見える米中貿易戦争も完全な収束を見たとも言い難い状況は続いており、このタイミングでの日銀のアクションには相当なConfidence(確信)が必要となっていると言わざるを得ない。
こういった環境を受け、円金利の観点では円安継続が、米ドル金利の観点では米ドルの買い控えが起きやすい状況となっており、いわば、ベッセントシーリングといわれる水準での微妙な均衡点をさまよう展開となっている。
この水準は、ある意味居心地の良い水準であるとともに、次のイベントに向けてマーケットがエネルギーを蓄積しているステージではないだろうか。最近では片山さつき財務大臣からも為替水準に関する言及が入っている。日米の協調的な動きが本物かどうか試される局面ではある。
ユーロ/円
ユーロ/円相場の先行きについては、回答者の33.47%が「ユーロ高/円安」、53.91%が「変わらず」、12.62%が「ユーロ安/円高」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは+20.85で、前回の+18から増加し過去1年間では最大となった。
豪ドル/円
豪ドル/円相場の先行きについては、回答者の27.48%が「豪ドル高/円安」、60.98%が「変わらず」、11.54%が「豪ドル安/円高」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは+15.94で、前回の+10から増加しこちらも過去1年間では最大となった。
今後、投資してみたい金融商品・国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「日本」「アメリカ」「インド」を選択した人の割合に注目します。選択肢はページ下部の表のとおり、13個です(複数選択可)。
図:今後、投資してみたい国(地域)で「日本」「アメリカ」「インド」を選択した人の割合
2025年10月の調査で、「日本」を選択した人の割合は84.03%でした。
10月4日、自民党総裁選を経て高市早苗氏が総裁となりました。同21日には、臨時国会の首班指名で内閣総理大臣に指名され、高市政権が発足しました。
今回の楽天DIの調査は、高市政権が発足したすぐ後に行われました。今回の「今後投資してみたい国(地域)」の調査結果に、新政権が発足したことが強く影響していると考えられます。
調査が行われた期間(10月27日から29日)とほぼ同時期に、トランプ米大統領が来日し、高市首相は会談を行ったりしました。二人が親密に握手をしたり、談笑したりするシーンが広く報じられたことが、高市政権への期待を大きく膨らませたと考えられます。
調査直前にも、ASEAN関連首脳会議に関する会見を行う(同25・26日)など、高市政権への関心が高まるきっかけとなる場面が見られました。
新政権の発足や米国の大統領とのやり取りについて、好意的な思惑を持った方が増え、その結果、今回の「今後投資してみたい国(地域)」において、「日本」が記録的な水準に達したと考えられます。
また、「アメリカ」は成功と評された日米首脳会談や、主要な株価指数の上昇をきっかけとして反発色を強めました。日本や米国といった主要な投資先になり得る国(地域)での不安感が高まった時に注目が集まる傾向がある「インド」は、「日本」と「アメリカ」が上昇・反発したこともあり、低下傾向を維持しました。
今後も、高市政権の動向、そして「日本」を選択した人の割合、それに関連する動きをする場合がある「アメリカ」「インド」の動向に注目していきたいと思います。
表:今後、投資してみたい金融商品 2025年10月調査 (複数回答可)
表:今後、投資してみたい国(地域) 2025年10月調査 (複数回答可)
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(楽天証券経済研究所)

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