先週は米政府機関閉鎖が解除される好材料があったものの、相場のけん引役だったAI株は不安定。しかし日本株は株主配当の増額など好業績割安株が健闘し、TOPIXは史上最高値を更新しました。

今週はエヌビディアが決算発表。予想を大きく上回らないようだとAI株急落第2弾も警戒されます。


今週のマーケット:エヌビディア決算次第で相場崩れも?9月米雇...の画像はこちら >>

今週のトピック:AI株の総本山、エヌビディア決算発表。遅れていた9月米雇用統計も。

日付 イベント 11月17日(月) ・日本の2025年7-9月期実質GDP速報値
・米国11月ニューヨーク連銀製造業景気指数 11月18日(火) ・10月訪日外国人観光客数 11月19日(水) ・ 東京海上HD(8766) など大手損保会社が決算発表
・米国10月FOMC議事録発表
・米国で エヌビディア(NVDA) が決算発表 11月20日(木) ・米国で遅れていた9月雇用統計発表予定
・米国で ウォルマート(WMT) などが決算発表 11月21日(金) ・10月全国CPI
・米国の11月製造業およびサービス部門購買担当者指数(PMI)速報値
  • 日本時間20日(木)早朝に米国の高速半導体メーカー、エヌビディア(NVDA)が2025年8-10月期の決算を発表。好決算ならAI株に再び火がつく可能性。期待外れの場合、AI株総崩れで全体相場急落も
  • 19日(水)夜の10月FOMC議事録発表で12月利下げ期待がさらに後退なら米国株に打撃
  • 米国政府機関が再開し、20日(木)に9月雇用統計発表。雇用落ち込みは景気不安、持ち直しは12月利下げ観測後退につながりそう
  • 21日(金)の日本の10月全国CPIは前年同月比3.0%の伸び予想。予想以上なら日本銀行の12月利上げ観測台頭で日本株にネガティブ?

11月17日(月)の日経平均

 前営業日比94円安の5万0,282円の続落スタート、一時は5万円台を割る530円安まで下がりました。その後、5万0.200円台で一進一退を続け、前営業日比52円安の5万0,323円で取引を終えました。


今週:エヌビディア決算でAI株急落も!?FOMC議事録で米国の12月利下げ期待はさらに後退!?

 今週は日本企業の2025年7-9月期決算の大半が終了したため、好業績や増配を発表した企業の株が買われる業績相場がスローダウンしそうです。


 それだけに、日本時間20日(木)早朝に発表される人工知能(AI)関連の花形株・エヌビディア(NVDA)の2025年8-10月期決算に対しても期待感より警戒感が先立つ展開になるでしょう。


 先週は日本のAI熱狂相場をけん引してきた ソフトバンクグループ(9984) が前週末比8.9%安。2025年4-9月の累計純利益が前年同期比2.9倍の2.9兆円に達する好決算を発表したにもかかわらず大きく売り込まれました。


 また、AIデータセンター向け半導体メモリに対する期待感で買われてきた キオクシアホールディングス(285A) も2025年4-9月期の純利益が前年同期比66.5%減に落ち込む決算を発表して16.7%安。


 AI株だけが一極集中的に売られる展開だっただけに、今週のエヌビディア決算はある意味、運命の分かれ道といえるでしょう。


 エヌビディアの前期2025年8-10月期は売上、利益ともに前年同期比50%を超える増収増益が市場予想になっています。


 AIデータセンター向け高速半導体の売上が絶好調で、高い市場予想をさらに上回る好決算をたたき出せば、AIバブル崩壊懸念が後退するかもしれません。


 ただ、AIデータセンター向け半導体はエヌビディアの独占状態から、 ブロードコム(AVGO) など競合他社が相次いで参入。


 競争激化で来期2025年11月-2026年1月期の業績見通しが予想より少しでも悪いようだと、AI株全てがたたき売られる展開も警戒されます。


 19日(水)深夜には、10月29日に0.25%の追加利下げを決めた米国の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録も発表されます。


 先週も米国内の高いインフレ率を警戒して利下げに消極的な地区連邦銀行総裁の発言が相次いでおり、FOMC議事録発表で12月利下げ期待がさらに後退すると米国株にとってネガティブです。


 先週は12日(水)に米国議会下院でつなぎ予算が成立し、史上最長となる43日間続いた米国政府機関の閉鎖が終了。


 そのおかげで20日(木)には9月雇用統計がようやく発表されます。


 雇用統計の結果が悪ければ12月利下げ期待が高まり株高が進む可能性もないとはいえません。


 しかし、雇用統計の結果が良すぎて12月利下げ観測が低下したり、悪い結果が逆に米国の景気後退懸念につながる恐れもありそうです。


 米国では今週、世界最大の小売チェーンであるウォルマート(WMT)など個人消費者向けの小売企業も相次いで決算発表。


 トランプ関税による原材料高や消費不振で米国小売企業の業績悪化が深刻だと、全体相場に悪影響を与えそうです。


日本株は銀行・損保株など内需系好業績株が相場をけん引!?物価高騰で日銀の12月利上げ観測が高まるとネガティブ!

 一方、日本株は先週1ドル=154円50銭台で終了した円安トレンドの継続を背景に、株価が割安な非AI株に対する物色が今週も相場の下支え役になりそうです。


 先週の日経平均株価(225種)は前週末比100円(0.2%)高の5万0,376円で終了。


 ソフトバンクG以外にも指数に対する影響度の強い半導体製造装置メーカーの アドバンテスト(6857) が前週末比2.2%安、 東京エレクトロン(8035) が2.9%安と続落したにもかかわらず、辛うじてプラス圏だったのは、好業績を発表した非AI株に見直し買いが入ったから。


 それは株価が割安な内需大型株の組み入れ比率が高い東証株価指数(TOPIX)が前週末比1.85%上昇して、13日(木)に史上最高値を更新したことでも明らかです。


 先週は 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) が5.9%高となるなど、銀行株がTOPIX最高値更新のけん引役になりました。


 三菱UFJFGは14日(金)取引終了後に2026年3月期の年間配当を4円増額修正。


 同じメガバンクの 三井住友フィナンシャルグループ(8316) も今期の最高益予想の上方修正と年間配当の21円大幅増額を発表しています。


 今週もこうしたメガバンク株や19日(水)に決算発表を行う東京海上ホールディングス(8766)など大手損保株が相場のけん引役になりそうです。


 また先週は予想を上回る決算を発表した自動車向けタイヤメーカーの 住友ゴム工業(5110) が14.4%高、 いすゞ自動車(7202) が20.7%高となるなど、トランプ関税という逆風にもかかわらず「思ったほど悪くない」好決算を発表した自動車関連株も健闘しました。


 AIに関係のない業種の割安好業績株に対する見直し買いは今週も続きそうです。


 今週はすでに17日(月)朝に発表された2025年7-9月実質国内総生産(GDP)や9月鉱工業生産、19日(水)の9月機械受注、21日(金)の10月全国消費者物価指数(CPI)など、日本の景気・物価指標の発表も相次ぎます。


 実質GDPや機械受注が予想以上に良ければ、重厚長大な割安大型株に対する見直し買いがさらに加速する可能性もあります。


 一方、21日(金)の10月CPIは9月の前年同月比2.9%上昇から伸びが加速し、3.0%に達する見通しです。


 物価高が社会問題化する中、10月CPIの結果次第では政府・日銀も金融引き締めに多少は傾かざるを得ず、12月19日(金)終了の日銀の金融政策決定会合での追加利上げが濃厚になりそうです。


 その場合、先週には一時1ドル=155円を超えてきたドル/円相場が円高方向に逆戻りして、日本株の足を引っ張る可能性もあります。


 また、高市早苗首相の台湾有事発言に猛反発する中国政府が中国内で活動する日本企業に何らかの報復措置を打ち出すようだと、日中関係悪化が好調な日本株に影を落とす恐れもないとはいえないでしょう。


先週の振り返り:株主配当を増額した非AI株が下支え役に!AI一辺倒のソフトバンクGよりバランス重視のソニーGが買われる!

 先週の日本株の業種別上昇率1位は鉱業、2位は石油・石炭製品と資源株が独占しました。


 その理由は原油価格が上昇したからではなく、手厚い株主還元策が主要企業から相次いで発表されたからです。


 鉱業セクター最大手の INPEX(1605) は今期業績の上方修正と自社株の取得額を800億円から1,000億円に増額することを発表して前週末比9.7%高。


 石油元売り最大手の ENEOSホールディングス(5020) は今期業績を下方修正したものの、年間配当を従来の1株当たり30円から34円に増額したことで7.0%高となりました。


 また、銀行、不動産など内需の主力セクターが上位に食い込むなど、これまでのAI株一辺倒から幅広い業種が物色され、33業種中26業種がプラスでした。


 AI株は全般的にさえない展開が続いたものの、AIデータセンター向け銅関連の電子部材の販売が好調な 三井金属(5706) が今期営業利益予想を従来の460億円から780億円に大幅上方修正して24.6%高。


 一方、三井金属と同じ分野で株価が上昇してきた JX金属(5016) は今期の業績上方修正と年間配当3円増額を発表したにもかかわらず、好材料出尽くしで10.5%も急落しました。


 同じAI関連業種でも株価が真逆の展開になったことは、投資家がAI株の評価に迷い始めている証拠といえるでしょう。


 決算発表で保有するエヌビディア株全株の売却と、生成AIソフト「ChatGPT」を開発した米国のオープンAIへの集中投資を発表したソフトバンクG(9984)は投資分野の偏重ぶりが警戒されて8.9%安。


 一方、ゲーム、音楽部門の業績が好調で今期純利益予想を小幅ながら上方修正した ソニーグループ(6758) は10.4%高と急騰。


 一極集中のソフトバンクGが売られ、バランス重視のソニーGが買われたことからも、同じ大型ハイテク株でも事業形態が安定した銘柄への乗り換えが進んでいるようです。


 先週の米国株は機関投資家が運用指針にするS&P500種指数が0.08%高と辛うじてプラスだったものの、AI株が集まるナスダック総合指数は0.45%安と2週連続の下落。


 米国の政府機関の再開という好材料がありながら、米国株は12月利下げ観測が後退していることもあって低調でした。


 14日(金)にはトランプ大統領がコーヒー豆やバナナ、トマト、牛肉など多くの食品を相互関税の対象から除外すると発表するなど、トランプ関税による物価高が深刻化していることも不安材料です。


 今週も底堅い日本株、エヌビディア決算発表もあって不安定な米国株という図式が続きそうです。


(トウシル編集チーム)

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