当面の注目材料は、米エヌビディアの決算発表、12月の日米金融政策決定会合前の経済指標などです。もしエヌビディアの決算が米AI関連株の出尽くし材料になったり、米国の利下げ継続期待が後退する状況となった場合は、グロース株から高配当利回りなどのバリュー株に資金シフトが期待されることになります。


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アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15

コード 銘柄名 現在値 配当利回り コンセン
サス
レーティ
ング 移動
平均線
乖離率 月間
騰落率 7148 FPG 2,318.0 6.90 4.0 ▲ 1.59 1.49 6481 THK 3,903.0 6.33 3.8 ▲ 4.84 ▲ 8.64 3002 グンゼ 3,985.0 5.42 3.6 4.53 6.27 4521 科研製薬 3,660.0 5.19 3.5 ▲ 2.85 ▲ 0.11 1890 東洋建設 1,739.0 5.18 4.0 ▲ 0.23 ▲ 0.29 5938 LIXIL 1,772.5 5.08 3.6 ▲ 3.77 2.43 8130 サンゲツ 3,060.0 5.07 4.0 ▲ 0.48 2.00 2154 オープンアップグループ 1,772.0 4.88 3.7 0.31 6.68 7283 愛三工業 2,056.0 4.86 4.0 2.54 1.53 9104 商船三井 4,490.0 4.75 3.5 ▲ 2.43 3.31 9076 セイノーホールディングス 2,217.5 4.70 3.6 ▲ 0.45 2.24 7994 オカムラ 2,221.0 4.68 3.7 ▲ 5.27 ▲ 2.24 7267 ホンダ(本田技研工業) 1,556.5 4.67 3.6 ▲ 2.90 2.57 8725 MS&ADホールディングス
(MS&ADインシュアランス
グループホールディングス) 3,346.0 4.63 3.6 ▲ 0.68 2.70 4502 武田薬品工業 4,443.0 4.50 3.6 1.80 6.01 ※データは2025年11月14日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は億円。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。


※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。


 上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。


 11月14日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。


 なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。


10月日経平均は5万円大台乗せと続伸へ

 10月17日終値~11月14日終値までの日経平均株価(225種)は5.9%の上昇となりました。


 期間中前半は、自民党と日本維新の会が連立政権の樹立で合意したと伝わり、財政拡張派の高市政権樹立への期待が高まる形となりました。また、トランプ米大統領が対中通商協議に楽観的な見方を示したことも安心感につながりました。


 そして、消費者物価指数(CPI)を受けての米国利下げ継続観測の高まりや、日米首脳会談への期待感などにより、27日には史上初の5万円台乗せを果たしました。その後も、日本銀行金融政策決定会合における政策金利の据え置き決定、米中首脳会談での通商交渉進展がポジティブ材料視されて、上値を5万2,636円まで伸ばしました。


 一方、11月に入ってからは、米国の12月利下げ継続期待が後退する流れとなったほか、AI関連株に対する過熱警戒感が日米の株式市場で広がりました。これにより、上値追いの動きは一服、もみ合いの展開となっています。


 こうした中、ランキングTOP15も総じて上昇し、下落は4銘柄にとどまりました。7-9月期の決算発表が集中したタイミングでもあり、決算内容によって明暗が分かれる形にもなりました。


 比較的下落率が大きかったのは THK(6481) でした。通期業績予想を下方修正、市場コンセンサスと比べても下方修正幅が大きく、ネガティブ材料視されました。前月に上昇した反動も強まったようです。


 一方、 オープンアップグループ(2154) 、 グンゼ(3002) 、 武田薬品工業(4502) などが相対的に強い動きとなりました。それぞれ決算サプライズは限定的でしたが、決算発表の通過が安心感につながったようです。期間中後半にかけて値を上げており、AI関連株への過熱警戒感が強まる中で、出遅れ銘柄物色の資金が向かったものと考えられます。


FPGや愛三工業は会社計画との乖離が大きい

 今回、新規ランクインしたのは、 LIXIL(5938) 、 オカムラ(7994) 、武田薬品工業(4502)の3銘柄です。除外となったのは、 コスモエネルギーホールディングス(5021) 、 いすゞ自動車(7202) 、 UBE(4208) でした。


 LIXILはゴールドマン・サックス証券の買い推奨格上げが観測されており、コンセンサスレーティングが基準に達したことが背景です。オカムラと武田薬品工業は、前回ランキングでは16位、17位であった銘柄であり、上位銘柄の株価上昇で利回りが低下したことからランクインとなった形です。


 一方、いすゞ自動車は会社側が来年度の好業績見通しに自信を示したもようで株価が急伸。コスモエネルギーHDも12%強、UBEも9%強の上昇と、それぞれ7-9月期決算が好感されて株価が上昇し、利回り水準は相対的に低下しています。


 アナリストコンセンサスと会社計画の配当予想で乖離が大きいのは、 FPG(7148) 、 東洋建設(1890) 、 愛三工業(7283) 、 商船三井(9104) 、 ホンダ(本田技研工業:7267) となります。


 東洋建設に関しては、大成建設による株式公開買い付け(TOB)が完了しており、12月16日に上場廃止予定であるため、配当金は無配になります。ほか、会社計画ベースの配当利回りは、FPGが5.41%、愛三工業が3.65%、商船三井が4.45%、ホンダが4.50%となっており、それぞれコンセンサス水準が上回る状況になっています。


 FPGは10月末に配当予想を公表したばかりで、現在のコンセンサス水準は高過ぎると考えられます。しかし、配当性向を50%としていることで、今後の業績上振れが確認されるに従い、コンセンサス水準並みにまで近づく可能性を残します。


 愛三工業は足元の業績は底打ち傾向にありますが、配当性向35%を照らしてみると、コンセンサス水準は依然として高すぎる印象です。


 ホンダも業績予想を下方修正しており、会社側計画が妥当と考えます。

商船三井は第1四半期(150円→175円)に続き配当予想を上方修正(175円→200円)しており、今後もコンセンサスレベルまで一段の切り上がりが期待できます。


12月上旬から中旬にかけて日米で金融政策イベント開催

 直近の注目材料として、現地時間11月19日(日本時間20日早朝)に米 エヌビディア(NVDA) の決算発表が予定されています。決算内容そのものは良好なものと想定されますが、それを受けて株価がどう反応するのかが焦点となるでしょう。


 もし好材料出尽くしと捉えられて株価が下落するようであれば、米AI関連株全般的に株価がバブル状態にあるとの懸念が強まると考えられます。この場合、株価水準が割安である高配当利回り銘柄などに、相対的に資金が向かうことになる可能性があります。


 また、12月9日から10日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)、12月18日から19日にかけて日銀金融政策決定会合が開催されます。両会合ともに、金融政策変更の有無に対して見方が分かれている状態にあり、今後発表される両国の経済指標にはこれまで以上に関心が高まるでしょう。


 とりわけ、米国では足元で利下げ継続期待が後退しつつあり、こうした見方がより強まるようであれば、こちらもハイテク株からバリュー株への資金シフトにつながることになります。


(佐藤 勝己)

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