10月の全国消費者物価指数(前年比)が9月に比べ上振れました。高市政権による総合経済対策も予想以上に大きな規模となりました。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の愛宕伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 日本経済のリスクはインフレと長期金利の上振れ~10年金利2%超へ~? 」
10月全国CPIの前年比は9月から0.1%ポイント上振れ
11月19日に前回のレポートを配信した後、21日に総務省から10月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されたほか、高市政権による大型の総合経済対策(国費に財政投融資を加えた財政規模25.5兆円)が閣議決定されました。
2025年11月19日: 高市政権の「高圧経済政策」、本質は潜在成長率の引き上げ(愛宕伸康)
今年に入って筆者は、講演やレポート配信などを通じて、「日本経済にとっての最大のリスクはインフレと長期金利の上昇である」と、事あるごとに述べてきましたが、今週のレポートでは、改めてその二つのリスクについて考えてみたいと思います。
まず、10月の全国CPIから見ていきましょう。
<図表1 全国消費者物価指数>
図表1は全国CPIの前年比ですが、2025年10月は総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の3指標とも、9月に比べ0.1%ポイントの上振れとなりました。もともとCPIの先行きを強めに見ていた筆者にとっては想定の範囲内でしたが、日本銀行は少し慌てているかもしれません。
日銀の来年1月「展望レポート」の物価見通しは上振れ必至
というのも、日銀が10月の金融政策決定会合(MPM)で公表した「経済・物価情勢の展望(2025年10月)」(通称∶「展望レポート」)の物価見通しに比べて明らかに強いとみられるからです(図表2)。それは簡単な思考実験で分かります。
<図表2 10月「展望レポート」の経済・物価見通し>
図表2は、10月「展望レポート」の経済・物価見通しです。赤点線の囲みを付けた2.8%が2025年度の全国CPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)の見通しです。
そして、図表3は、全国CPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)の指数水準をそのままグラフにしたものです。2022年からかなりのペースで上昇していることが分かります。
<図表3 全国CPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)の指数推移>
ここで、図表3の赤い点線のように、指数が今回発表された10月の111.5でピタッと止まり、その値のまま2026年3月まで推移したとしましょう。その場合、2025年度の前年比は何%になるでしょうか。答えは3.0%。なんと日銀の見通しである2.8%より0.2%ポイント高くなります。
常識的には、10月の111.5で突然指数が横ばいになることも、急に下がり始めることもないでしょうから、十中八九、日銀の2025年度物価見通しは来年1月の次回「展望レポート」で上振れるはずです。それが今からほぼ確実であるにもかかわらず、次回利上げをその1月MPMまで待つということはないかもしれません。
動き出した銀行貸出もインフレリスクを高めている可能性
2025年度だけではありません。もっと長い目で見て、本格的にインフレリスクが高まっていることを示唆する指標がほかにもあります。銀行貸出です。
国内銀行の預金と貸出金の伸びを見ると(図表4)、新型コロナ禍が終息して以降、預金の伸び率が鈍化する一方で、貸出金の伸び率が大幅に拡大しています。
<図表4 国内銀行の預金と貸出金>
現在の投資環境は、アベノミクス当時と比べ格段に良くなっています。当時ゼロ%前後だった実質金利は、現在、2%を大きく上回るインフレによって大幅マイナスとなり、現預金を放置しておけば、刻一刻と価値が目減りするため、企業は資金を現預金以外の資産に振り向ける必要に迫られています。
そうしたこともあり、マネーが動き出している可能性があります。金融機関が日銀に預けている当座預金などのマネタリーベースは2024年9月から前年比マイナスとなり、直近の9月はマイナス6.2%と大幅に減少しました。金融機関は余資を日銀に置いておくのではなく、貸出に回している可能性があります。
こうしたマネーの前向きな回転は、企業の設備投資が活発化していることを示唆しており、そこに高市政権の掲げる17分野への「危機管理投資・成長投資」も加わるため、資本財や生産財の価格上昇を通じて、インフレリスクが大きく上振れる可能性があります。
高市政権の「高圧経済政策」により10年金利は2%超へ
次に、長期金利の上振れリスクです。
上で議論したインフレリスクの高まりや、財政支出拡大への懸念から、2025年6月末に1.432%だった日本の10年金利は、参院選で自民党が惨敗した7月以降上昇傾向を強め、11月20日には17年半ぶりとなる1.8%台乗せとなりました。
ここ5カ月間の上昇幅は35bp(ベーシスポイント、1bpは0.01%)に上り、その直前5カ月間の上昇幅18bpに比べ、ほぼ倍のペースで上昇したことになります。
ただ、この1.8%程度という今の10年金利の水準は、短期金利や経済・物価といったファンダメンタルズでほぼ説明が可能です。この水準は、筆者が今年1月ごろに作成した10年金利の見通しともほぼ一致しています(図表5)。
<図表5 2025年1月時点で作成した10年金利予測値と実績値>
図表5の見通しは、1990年1月から2024年12月までの10年金利を、無担保コールレート・オーバーナイト物、景気動向指数(先行CI)、消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く)、日銀の国債買入額などを説明変数として推計し、得られた結果を延長して作成したものですが、当時の予測では、日本銀行が12月か2026年1月に利上げすれば、10年金利は2%近くまで上昇し、2026年中にもう1度利上げすれば2%台前半で推移するとみていました。
しかし、現実には、もっと上振れる可能性があります。なぜなら、当時の推計では、高市新政権誕生も、新政権による「高圧経済政策」も想定していないからです。
高圧経済とは、過熱した経済を意図的につくり出し、労働参加率の上昇や生産性向上といった望ましい変化を誘発することによって潜在成長率を引き上げようとする政策です。2016年に当時米連邦準備制度理事会(FRB)議長だったイエレン氏が講演で述べて有名になりました。
労働市場がタイトでインフレ率も高い状況であるにもかかわらず、積極的な財政支出を行おうとする高市政権の政策は、まさに「高圧経済政策」そのものです。イエレン氏が前述の講演で指摘している通り、高圧経済政策はインフレを想定以上に高めるリスクをはらんでいます。インフレリスクが高まれば、市場のインフレ期待の上振れを通じて長期金利も上昇します。
もちろん、図表5の見通しの前提となっている2026年中の利上げがなければ、長期金利はそれほど上昇しないとの見方もできますが、為替動向がポイントになります。仮に日銀が従来の利上げスタンスを後退させるようなことがあれば、財政に対する信認が低下し、足もと1ドル=150円台後半まで進んでいる円安に拍車がかかり、それがインフレを助長させることにつながりかねません。
そう考えると、日銀としては従来の利上げスタンスを崩すのは適当ではなく、最近では高市政権もそれに理解を示しているようにうかがえます。
従って、図表5の利上げの前提が変わらないとすれば、高市政権の高圧経済政策によるインフレ圧力の高まりに応じて(そこに財政に対する信認低下が加わればなおさらですが)、図表5に示した長期金利見通しは上振れる公算が大きいと考えられます。
(愛宕 伸康)

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