「オマハの賢人」といわれるバフェットの投資先を選ぶ基準は極めてシンプルだ。株式を取得する際には「安定期」にこだわることが重要だと述べている。

それはキャッシュフローに始まりキャッシュフローに終わる。


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バフェットはなぜアルファベットを買ったのか?

 バークシャー・ハザウェイは2025年7-9月期にグーグルの親会社である アルファベット(GOOGL) の株式を新たに保有した。バークシャーが先月14日に米証券取引委員会(SEC)に提出した2025年9月末時点のフォーム13Fによると、議決権があるアルファベットA株を約178万株、43億ドル相当を取得した。


アルファベット(週足)
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 米国で総額1億ドル以上を運用する大手機関投資家は、四半期ごとにSECに対し「フォーム13F」と呼ばれる報告書を提出し、保有銘柄を開示することが義務付けられている。これは米国市場に上場する銘柄が対象であるため、バークシャーが保有する日本の総合商社株などは対象外であり、その投資家のポートフォリオ全体を表すものではない。


三菱商事(週足)
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

バークシャー・ハザウェイの2025年9月末時点の保有銘柄と6月末時点の保有銘柄
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
出所:フォーム13Fより筆者作成

 11月27日のニューズウィークの記事『NVIDIA5兆ドル突破の陰で、賢人バフェットが見据えた「検索・広告」の強さ』は、バフェットは従来どおり、持続力のある競争優位性という観点からグーグルに着目したものだと指摘している。


 アルファベットへの投資はデジタル経済における持続的利益のありかについてバフェットが言い残したヒントだとするアナリストの見方を取り上げている。


バフェットの銘柄選択は極めてシンプル

「オマハの賢人」といわれるバフェットの投資先を選ぶ基準は極めてシンプルだ。株式を取得する際には「安定期」にこだわることが重要だと述べている。それはキャッシュフローに始まりキャッシュフローに終わる。


 投資キャッシュフローは将来のキャッシュを生み出すために使われる先行投資である。企業が成長している時期にはキャッシュが設備投資などに使われるためキャッシュが出ていき、基本的にはマイナスとなる。投資が進み、キャッシュが稼げるようになると、リターンが生み出され営業キャッシュフローがプラスとなる。


キャッシュフロー・マトリックス
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
出所:石原順

 多くの会社は営業キャッシュフローがプラスで投資キャッシュフローがマイナスであることから、以下の図の右下の領域に入る。

その中でも稼ぎよりも投資の方が多い場合には「投資期」に入り、稼ぎのほうが投資よりも大きければ「安定期」となる。


 会社に投資先がなく、それまでに投資してきたものを売却するようになると投資キャッシュフローはプラスに転じ「停滞期」となる。投資をしなければおのずと稼ぎも減ってくるため、営業キャッシュフローが減少すると「低迷期」に入り、さらに稼ぎが減少すると「後退期」となる。そして営業キャッシュフローがマイナスとなると「破たん期」になる。


 アルファベットのキャッシュフロー・マトリックスを確認してみよう。2020年からのアルファベットのキャッシュフロー・マトリックスである。いずれも安定期にあり、バフェットの投資コードを満たしている。グーグルの広告事業は巨額のキャッシュフローを生み出す収入源だ。


アルファベットのCFマトリックス(2020年から2024年)
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
出所:石原順

 バフェットは2017年のバークシャー・ハザウェイの年次株主総会において、グーグルへの投資機会を逃したことについて「私はグーグルの製品が機能しているのを見ていたし、どれだけ高い利益率かも分かっていた。クリックするのに対して実質的なコストがかからないというのは優れたビジネスだ。私は創業者たちを知っていたし、いくらでも質問したり、調べたりする機会もあったのに、チャンスを逃してしまった」と振り返っていたことがある。


 生成AI(人工知能)時代にハイテク企業の競争構造が変わる中においても、検索と広告という「収益装置」を持っていることを再評価したということがあるのだろう。


 そこに新たに、グーグルが独自半導体「テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)」の大型契約を相次いで獲得しているという話題が加わった。今回のアルファベット株の取得は単なる新規銘柄の追加ということ以上の意味を持っている。


エヌビディア(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

アルファベット(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 エヌビディアの直近の株価は下落し、9月以来の安値を記録した。一方、アルファベットの株価は急騰している。はたして市場はアルファベットとエヌビディアのどちらを追うのだろうか?


12月3日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 12月3日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、愛宕伸康さん(楽天証券経済研究所所長兼チーフエコノミスト)をゲストにお招きして、日本銀行ウォッチャーの愛宕さんに日米の金融政策について根掘り葉掘り質問してみました。面白い! ぜひ、ご覧ください。


ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
出所: YouTube

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  ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。


ウォーレン・バフェットの銘柄選択の方法
楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー ロゴ

12月3日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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